國武大紀氏の「聞く力」こそが最強の武器であるの書評


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「聞く力」こそが最強の武器である
著者:國武大紀
出版社:フォレスト出版

本書の要約

上司が聞き役に徹し、部下の感情に注意を払うことで、部下は親近感を感じます。みんなが安心して話せるような空気を作ることで、心理的に安心安全な場が生まれます。コーチングによって、部下の承認欲求が満たすことで、部下が主体的かつ積極的に動いてくれるようになるのです。

上司が聞く力を鍛えなければならない理由

「聞く力」とは「相手を理解する力」(國武大紀)

多くのリーダーが部下との人間関係に悩んでいます。どうしたら部下との信頼関係を築け、結果を出せるようになるのでしょうか?そのヒントを組織心理学のプロフェッショナル國武大紀氏の新刊「聞く力」こそが最強の武器であるからもらえました。

國武氏は、JICA職員として世界40カ国以上を渡り歩き300件を超える発展途上国の組織開発やグローバル・リーダー人材の育成などで実績を上げています。リーダーシップ開発や組織変革を専門とするコーチ兼コンサルタントとして活躍した著者は、会社組織で起こる人間関係の問題は、全て「相手に対する理解不足が原因」だと指摘します。部下との理解が深まらないために、多くのリーダーが苦労を重ねているのです。

リーダーである上司サイドにも、問題があることを忘れてはいけません。ただ、部下の話を聞いているだけのリーダーは、組織を上手に運営できません。部下の気持ち(心)まで聞き、彼らを理解しようとすることが、現代のリーダーには求められています。リーダーはただ部下の話を聞くだけでなく、相手の心や感情の動きにも注意を払うべきです。

部下との関係がうまくいかないと嘆く前に、自分のコミュニケーション力をチェックし、至らない部分を改善しましょう。部下とのラポール(架け橋)が欠けたままでは、信頼関係を築けるわけがありません。部下の話をしっかりと聞き、心を開いてもらうことで、上司は結果を出せるようになります。

本当のコミュニケーション力とは、「心と心が通じ合い意思疎通ができること」を言います。相手の気持ちを聞くことができるからこそ、心と心を通わすことができる。本当のコミュニケーション力を身につければ、上司と部下との関係にとどまらず、ビジネスで最も大切な「信頼関係という最高の資産」を築くことができるのです。

指示命令で部下を動かすのをやめ、心理的安全性をつくりましょう。この心理的安全性は1対多のアプローチでは作れないことがわかっています。1on1を部下と行い、聞き役に徹することからスタートしましょう。心理的安全性を確保するために、忙しいを言い訳にせず、部下との時間を積極的につくるようにするのです。

上司は聞き役に徹する!

感情を聞くには、相手の非言語メッセージ(顔の表情、声のトーン、姿勢等)に意識を向けて相手の感情に共感していきます。シンプルに、相手の感情表現に呼応してあげればOKです。たとえば、相手が悲しそうな表情であれば悲しそうに、楽しそうであれば楽しそうな表情で聞いてあげるのです。人間は感情の生き物ですから、話の内容だけでなく、感情までも聞いてもらえると安心安全や親近感をより強く感じます。

上司が聞き役に徹し、部下の感情に注意を払うことで、部下は親近感を感じます。みんなが安心して話せるような空気を作ることで、心理的に安心安全な場が生まれます。いろなことを画策するより、上司は聞き役に徹し、部下一人ひとりにしっかりと向き合う方が、はるかに効果があると著者は言います。

上司に話をしっかりと聞いてもらうことで、部下の承認欲求が満たされます。安心安全だ、上司に守ってもらえると思えると積極的に行動できるようになります。相手を承認することでラポールを築けるようになるのですから、まずは、部下の話を傾聴することからはじめましょう。ラポールが深ければ深いほど、上司の言葉が強い影響力を持つことがわかっています。逆にラポールが欠如していると、部下は主体的に動けなくなるのです。

少し前に話題になったフレデリック・ラルーのティール組織はマネジメントの変革であると同時にコミュニケーションの変革であると捉えるべきです。ティール組織は以下の3つの重要な基盤によって、マネジメントだけでなく、コミュニケーションのあり方をも変えてしまいました。

①セルフマネジメント(自主管理。人一人が自分の判断で行動して成果を上げていくやり方)
②ホールネス(全体性。個々人が能力を発揮できるようお互いに支え合う集まりとして、開放的で安心できる場)
③エボリューショナリーパーパス(進化する目的。リーダーは方向性を示して指示する人ではなく、耳を傾け導く人)

このティール組織では、上司はコーチのように振舞います。今までの上意下達のコミュニケーションではなく、フラットな水平型のコミュニケーションが、組織に成果をもたらします。コーチは、AかB のどちらかを選択させるようなクローズドクエスチョンではなく、「はい」や「いいえ」では答えられない質問(オープンクエスチョン)を用いて、部下の主体性を引き出すべきです。

無理にマネジメントするのではなく、部下とのコミュニケーションを重視することで、部下の力を引き出せるようになります。主体的に考え、行動できる部下をつくることが、ティール組織時代の上司の役割だと考え、自らの働き方を変えましょう。コーチングによる傾聴とオープンクエスチョンを身につければ、課題であった部下との関係が改善し、強い組織をつくれるようになります。

本書はフォレスト出版さんから献本いただきました。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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