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コーチングの神様が教える「できる人」の法則
著者・マーシャル・ゴールドスミス
出版社:日本経済新聞出版社
本書の要約
成功している経営者を指導してきたエグゼクティブ・コーチのマーシャル・ゴールドスミスは、どんなに優秀な経営者でも何かしらの悪癖があることを発見します。彼が見つけた「20の悪癖」をやめることで、部下との人間関係が改善し、より結果を出せるようになります。
自分と会社の悪癖を手放そう!
一緒に働く人たちが不快に思う個人的な癖を探しだしてとり除き、彼らが組織にとって価値ある存在でありつづけるように手助けする。それまで彼らを成功に導いてきたスキルや習慣は、さらなる成長のためには必ずしも適切なものではないことを彼らに悟らせるのが私の仕事だ。彼らの従来のやり方では、目的の場所にはたどりつけない。(マーシャル・ゴールドスミス)
ジャック・ウェルチをはじめ何人もの名経営者を指導してきた名コーチのマーシャル・ゴールドスミス。彼はエグゼクティブ・コーチとして活動するうちに、有能な経営者たちには何かしらの「悪癖」があることに気付きます。
会社のCEOたちは目標を達成するために、様々な努力を重ねますが、彼らだけでは自分の悪癖を治すことはできません。会社の業務も同じで、一旦スタートしたことをやめるのは至難の技です。 会社には誤った判断を回避したり悪い癖をやめたりしたときに褒め称えるシステムがありません。著者はコーチングの手法によって、これらの悪癖を治せると言い、本書でそれを紹介しています。
業績は、どのような数字を達成したか、前年同期比でどのくらい上昇したかなど、何を成し遂げたかに基づいて評価されます。しかし、悪癖を治さなければ、いくら努力しても自分も変えられませんし、会社もよくできません。そのためには、「やめること」を決め、さっさと行動することです。ノートを用意して。TODOリストに「今日やること」を書く代わりに、TO STOPリストをつくって「やめること」を書き出すようにしましょう。
いい人になるためには、毎日小さなポジティブな行動をして箱をいっぱいにしなくてはなりませんが、箱をいっぱいにするには時間がかかります。箱がいっぱいになっていることをまわりの人に気づいてもらうには、もっと時間がかかります。一方、いやなヤツであることをやめるには、新しい行動を学ぶ必要はありません。箱のなかのネガティブなものを取り除き、いやなことをやめればよいのです。
リーダーの20の悪癖
よい面のたくさんあるリーダーでも、1つぐらいの悪癖を持っています。著者は20の悪癖をまとめ、これをやめるべきだと指摘します。以下の20のリストに注意を向け、自分の習慣を見直しましょう。
1、極度の負けず嫌い。
何を犠牲にしても、どんな状況でも、まったく重要でない場合でも、勝ちたいと思う気持ち
2、何かひとこと価値をつけ加えようとする。
どんなことにでもちょっと口出ししたいとい強い欲望。
3、善し悪しの判断をくだす。
他人を評価して、自分の基準を他人に押しつけようとする気持ち。
4、人を傷つける破壊的コメントをする。
不要な皮肉や痛烈なコメントをする。そうすれば自分が切れ者で機知のある人に見えると思う。
5、「いや」「しかし」「でも」で文章を始める。
これらの否定的・限定的な言葉を使いすぎる。ひそかに「私が正しいんだ。あなたは間違っている」と言っているようなものだ。
6、自分がいかに賢いかを話す。
他人が考える以上に私は賢いんだと見せたい欲望。
7、腹を立てているときに話す。
感情的な興奮を経営ツールとして利用する。
8、否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う。
頼まれもしないのに否定的な考え方を他人に吹きこもうとする。
9、情報を教えない。
優位な立場を保つために、情報を他人と共有しようとしない。
10、きちんと他人を認めない。
賞賛し、褒賞を与えることができない。
11、他人の手柄を横どりする。
成功に対する自分の貢献度を過大評価するいちばんいやな手口。
12、言い訳をする。
不愉快な行動を、変えることのできない生まれつきのものとして片づけ、他人がしかたないと思うようにさせる。
13、過去にしがみつく。
自分の責任を過去の出来事や人のせいにする。自分以外の人すべてのせいにすることの一例。
14、えこひいきする。
誰かを不公平に扱っていることに気づかない。
15、すまなかったという気持ちを表わさない。
自分の行動に責任をとらない、間違いを認めない、自分の行動が他人にどう影響したかを認めることができない。
16、人の話を聞かない。
職場の人に対して敬意を払わない、もっとも受動攻撃的な形。
17、感謝の気持ちを表わさない。
非常に基本的な悪いマナー。
18、八つ当たりする。
たんに手助けしようとする罪のない人を攻撃したいという誤った欲望。
19、責任回避する。
自分以外の人みんなを責める。
20、「私はこうなんだ」と言いすぎる。
自分の欠点をまるで長所のようにほめそやす。それが自分なんだと主張する。
極度の負けず嫌いは、いちばんの問題だ。というのも、この癖がほとんどすべてのほかの問題の下地になっているからだ。議論をしすぎるのは、他の人を自分の考えで説き伏せたいと思うからだ(つまり、勝ちたいのだ)。他の人をけなす癖があるとしたら、こっそり他人を自分よりも下に置いておきたい願望があるからだ(これも勝とうということだ)。人を無視するのも、これも勝とうとすることだ。他の人を自分の視界から消すことによって。情報を自分のところにとどめようとするのは、それで他人に対して有利に立つためだ。
優秀な経営者ほど、負けず嫌いであることが多いのですが、これが他の悪癖の下地になっています。他人を不愉快にさせる行動の大半は、どんな状況においても必要以上に「勝とう」と努力することから生じます。
成功するために、他者を出し抜き、勝とう、勝とうと思いはじめると、ありとあらゆるところで有害な考えが頭に浮かびます。自分の不利になると明白にわかっていても勝ちたいと思い、行動するとろくな結果を得られません。勝とうという欲求を表に出さず、対人関係ではその気持ちを抑えることで、さらなる成功を収められるというのが本書の重要なメッセージになっています。勝とうという気持ちを抑制し、負けず嫌いなどの悪癖を今すぐ治すようにしましょう。
「自分がやめるべき悪癖20」を今日は紹介しましたが、次回は、どう行動すればよいのかを書きたいと思います。
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