People vector created by macrovector – www.freepik.com
科学的に幸せになれる脳磨き
著者:岩崎一郎
出版社:サンマーク出版
本書の要約
ホモ・サピエンスは、知性はあったものの特別に優れていたわけでもなく、身体は華奢でした。ゆえに生き延びるためには血縁関係を越えて、多くの仲間を作り、力を合わせなければなりませんでした。ホモ・サピエンスがネアンデルタール人に勝てたのも、このつながりの力のおかげだったのです。
ネアンデルタール人はとホモ・サピエンスの違い
人類の進化の過程もまた、良き人間関係を築くことの大切さを私たちに教えてくれます。(岩崎一郎)
岩崎一郎氏の科学的に幸せになれる脳磨き の書評を続けます。私たちはホモ・サピエンスと呼ばれていますが、進化の過程においては、およそ20種類ぐらいの「人類」が存在していたことがわかっています。ホモ・サピエンス以外の人類はすべて滅んでしまい、私たちだけが生き残りました。
かつては、ホモ・ サピエンスがもっとも賢かったので、生き残ったと考えられていましたが、最近の研究では、ホモ・サピエンスが生き延びた理由は「頭の良さ」では説明がつかないことがわかってきました。 特にネアンデルタール人との比較によって、ホモ・サピエンスが生き残った理由が明らかになりました。
ネアンデルタール人の頭蓋骨はホモ・サピエンスより10%以上大きいことから、彼らはホモ・サピエンスと同等あるいはそれ以上の知性を持っていたと考えられるようになっています。実際にネアンデルタール人の頭蓋骨の化石を見ると、言語を使っていたらしいことがわかり、化石が出てきた遺跡には石器や装飾品が発掘されたことなどから、彼らもホモ・サピエンスと同じような高度な技術を持っていたと考えられています。
さらに、ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスより身体が頑丈で力も強かったのです。仮にいま、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが一対一で戦ったらホモ・サピエンスは負けてしまいます。 しかし、実際には強者であったはずのネアンデルタール人は滅びてしまい、ホモ・サピエンスが生き残ったのです。では、なぜホモ・サピエンスはネアンデルタール人に勝てたのでしょうか?
人とのつながりがホモ・サピエンスを強者にした?
以前、 NHKで「ヒトは何故生き残ったのか」と言う特集がありましたが、そこではホモ・サピエンスが道具を進化させていたからだと言う見解が述べられていました。番組のサイトからプロデューサーの柴田周平氏の言葉を引用します。
サピエンスは「アトラトル」という道具を使用していたと言われています。これは、写真の右側を手で持ち、左側の先の部分にヤリを引っかけて、テコの原理を使って投げる投てき具。すると、手で投げるよりも飛距離にして2倍以上、破壊力は10倍にもなるのだそう。これによって獲物に気づかれず、遠くから狩りができるようになった。圧倒的に効率的に狩りができるようになった革命的な道具なんです。しかし、これはサピエンスしか使っていなかった。それだけじゃなく、サピエンスの道具は小型で複雑なものへと、どんどん改良が進み進化していく。一方でネアンデルタール人の石器は極めてゆっくりとした進化しなかった。(柴田周平)
スペイン、クロアチアなどで見つかったネアンデルタール人の骨格からのDNA抽出と遺跡調査によると、ネアンデルタール人が家族単位という小さな社会で暮らしていたことがわかっています。彼らは知性もあり、体格も良かったため比較的少ない人数で暮らすことができたのです。
一方、ホモ・サピエンスは、知性はあったものの特別に優れていたわけでもなく、身体は華奢でした。ゆえに生き延びるためには血縁関係を越えて、多くの仲間を作り、力を合わせなければなりませんでした。武器を進化できたのも、他者とのアイデアの交換があったからです。
この社会性を築くうえで大きく関わったのが、脳の「島皮質」といわれています。つまり、私たち人間は島皮質を鍛えるような脳の使い方をしてきたからこそ、生き延びてこられたわけです。
この点から考えても、良き人間関係を築くことはとても大事です。 私たちは島皮質を鍛えるような脳の使い方をしてきたからこそ生き延びることができたのです。
著者は島皮質を鍛える方法を紹介しています。
・感謝の気持ちを持つ
・前向きになる
・気の合う仲間や家族と過ごす
・利他の心を持つ
・マインドフルネス(脳トレ座禅を行う)
・大自然の中でAwe(オウ)体験をする
よい人間関係を築くために、島皮質を鍛えるようにしましょう。
ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。
|
コメント