ティナ・シーリグの未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義IIの書評


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未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II
著者:ティナ・シーリグ
出版社: CCCメディアハウス

本書の要約

「イノベーション・エンジン」の6つの要素である知識・想像力・姿勢・資源・環境・文化をポジティブかつ密接に絡み合せることで、 創造性が解き放たれ、個人やチームに変革がもたらされます。自分のイノベーション・エンジンを機能させることで、様々な課題を解決できるようになります。

「イノベーション・エンジン」の6つの要素

脳はクリエイティビティ・マシンである。(エリック・カンデル)

ティナ・シーリグが書いた何冊かの本をこの数日再読していますが、メッセージやケーススタディに気づきが多く、自分がやるべきことが整理できました。長年、スタンフォード大学で起業家精神とイノベーションを教えてきた著者は、クリエイティビティを引き出すための手法を私たちに教えてくれます。

このメソッドを毎日使うことで起業家マインドが身につき、自分で人生を切り開けるようになります。私はこのスキルをより多くの起業家に伝え、彼らの成功をサポートしたいと思います。

スタートアップやベンチャー企業は、問題を解決しよう、チャンスを活かそうとするところからビジネスを始めます。特にスタート時は、創業者のクリエイティビティを拠り所にしています。個人とおなじように、企業も成熟するにしたがって独創性を失い、製品やプロセスが固定化し、想像力よりも実行を重視するようになります。想像力を失えば、何も生み出せずに、現状の延長線上でビジネスを行い、やがて顧客に飽きられてしまいます。

では、経営者はどうすればよいのでしょうか?ティナ・シーリグは本書で、「イノベーション・エンジン」というメソッドを紹介しています。私たちは「イノベーション・エンジン」の6つの要素を回すことで、クリエイティブな存在になれると著者は言います。

イノベーション・エンジンの内部→ 「知識」「想像力」「姿勢」
■知識は想像力の燃料
■想像力は知識をアイデアの変える触媒
■姿勢はイノベーション・エンジンを動かす触媒

イノベーション・エンジンの外部→ 「資源」「環境」「文化」
■資源とは、あなたが所属するコミュニティに存在するすべての資産
■環境とは、家庭や学校、職場など、あなたが過ごす場所
■文化とは、あなたが所属するコミュニティの集団的思考、価値観、行動様式

これらがポジティブかつ密接に絡み合うことで、 創造性が解き放たれ、個人やチームに変革がもたらされます。これらの要素をぐるぐると回し、自分のイノベーション・エンジンを機能させることで、様々な課題を解決できるようになります。

イノベーション・エンジンを機能させる方法

シリコンバレーでイノベーションが盛んなのは、個人や企業のあいだで活発なアイデアの交換が行なわれているからです。シリコンバレーでは、狭いエリアに企業が集中しているので、気軽な交流が盛んに行なわれ、正式な会議も簡単に開催できます。経歴や社会経済レベルの異なる人たちのあいだで、文化的な垣根がきわめて低く、コミュニケーションが取りやすいことも要因のひとつです。  

サンフランシスコのベイエリアの学校で野球の試合があるあらゆる階層の子どもがチームに集まると言います。その親たちが観戦に来るとダイバーシティな集団が生まれ、そこから化学反応が起こります。その学校で企業の幹部やベンチャーキャピタリストが、スタートアップの創業者と出会うことで新たなビジネスが生まれます。

何気ない会話から、貴重なヒントをもらえたり、社員になりそうな人を紹介してもらえたり、新しい事業の資金調達の話がまとまることがあります。このようにシリコンバレーでは、知らない人と出会ったり、次々と湧いてくるアイデアを磨いたりする機会が無数にあります。講演会や会議はもちろん、カフェなどの場所からイノベーションが起こることで、シリコンバレーに人が引き寄せられるのです。

「イノベーションとは、ほぼつねに社会的な取り組みであり、他者との交流が必要だ」とアナリー・サクセニアンは言います。世界的に移民の多い地域は、魅力的なフュージョン料理がたくさんあります。ペルーの首都リマでは、地元の中南米の食材や伝統的なスペイン料理に、中国やイタリア、アフリカ、日本料理の影響がミックスされ、そこから新しい料理が生まれています。多様な国の人が集まり、様々な要素を組み合わせることで、新たな文化が生まれます。

人類が成し遂げてきた最高のものにふれ、それを自分の課題に取り込むことである。(スティーブ・ジョブズ)

アップルの開発者には、多様な才能が集まります。その中には音楽家や芸術家も含まれますが、様々な分野の知識から開発者がインスピレーションを得ることで、斬新な製品が創出されてきました。経歴や文化の異なる人が出会うと、いつでも点と点が結びつき、そこから新しいアイデアが生まれます。

私はこのルールを意識し、異質な人々との交流を積極的に行い、新しいアイデアを生み出すようにしています。広告会社出身の57歳の私があえて、若い起業家や士業の人に会いに行くのは、そこからイノベーションが起こせると信じているからです。

人や場所、モノ、アイデアを思いがけない形で結びつけることで、想像力は大きくふくらみます。著者はこのスキルを鍛えるために、以下のことをするとよいと言います。
■刺激的な比喩を使うこと
■普段とは違う世界にふれること
■既存のアイデアに積み上げていくこと
■ありえない場所にヒントを探すこと
こうした方法を使い、イノベーション・エンジンを機能させることで、斬新なアイデアを生み出せるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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