テスラの圧倒的な強みは何か?


2025年を制覇する破壊的企業
著者:山本康正
出版社:SBクリエイティブ

本書の要約

テスラはユーザーからのフィードバックをスピーディに受けることで、最高のユーザーエクスペリエンスを顧客に提供しています。既存自動車メーカーにはできない仕組みを一気に作り上げることで、テスラは勝ち組になったのです。購入後の顧客体験を高めることで、テスラは熱狂的なファンを増やしています。

テスラの圧倒的な強みは何か?

私の会社についてのモチベーションは、偉大なる変化を世界に起こしたいという気持ちが根幹にあります。(イーロン・マスク)

今年になってからテスラの株価は急上昇し、イーロン・マスクはジェフ・ベゾスにつぐ資産家になりました。7月にはテスラの時価総額が日本の全自動車メーカーの合計上回り、その差は開くばかりです。なぜ、テスラの株価は投資家からこれほど評価されているのでしょうか?

そのヒントが山本康正氏の2025年を制覇する破壊的企業に書かれていたので、今日はそれをご紹介します。イーロン・マスクにとって電気自動車はあくまで手段でしかありません。彼は強烈なビジョンを実現するために、テスラを経営しているのです。

マスクのビジョンは、エネルギー問題、大気汚染の解決や地球温暖化の防止など、環境問題の解決であることを忘れてはいけません。ビジネスの観点で電気自動車を販売している他の自動車メーカーとは、その点が大きく異なります。

マスクはこのビジョンの実現に向けて、「Powerwall=(パワーウォール)」と言う事業も手掛けています。これはソーラーパネルの設置ならびに充電などのサービスを、サブスクリプションで行うもので、なんと初期費用は無料です。月額5000円支払えば、毎月平均して6000円ほどの電気が発電され、利用者はここから毎月1000円の利益を得られます。発電した電気をテスラの車両に充電することで、車への充電問題も解決します。

渋滞中に発生する二酸化炭素やエネルギーロスに対する取り組みも始まっています。マスクは渋滞を解消するために、地下にトンネルを掘り、そこに車を通すというものです。

ドライバーはエレベーターのような装置で地上から地下に降り、あとは特に何もすることなく、自動運転で目的地まで移動可能です。このトンネルを通行することで、時間が大幅に短縮され、エネルギーが節約できます。(詳細はボーリングカンパニーのサイトを参照ください。)

テスラと既存自動車メーカーの違いは何か?

毎週80時間から100時間くらい、がむしゃらに働くことで、成功する確率を高めることができる。(イーロン・マスク)

自動車のようなハードウェアビジネスは、計画・製造から実際に製品が売れ、キャッシュが入ってくるまでかなりの時間を要します。テスラの資金は絶えず枯渇し、マスクがPayPalで得た100億円を使い果たしてしまいます。

マスクはラインナップを増やすという選択を行い、1000万円ほどの価格帯に、500万円のモデルを追加し、キャッシュを稼ぐ戦略を立てます。しかし、ここで大きな問題が起こります。工場の自動化がうまくいかなかったのです。マスクは逆境でも決して諦めず、工場に泊まり込み、寝る間も惜しんで新しいモデルを作り上げました。こうして完成したモデル3をきっかけに、テスラは急成長していきます。

彼の動向を見ていると、お客様志向というよりは、自分なりのビジョンや主義があり、その実現に対しこれまで培ったサイエンスなどを活用し、何がなんでも実現させる。そのような強い信念が感じられます。地球の人口が増えすぎるから、火星に移住する。そのためにはロケットが必要だ。だからスペースXという企業も手がける、といった具合です。そしてもちろんそのロケットにも、テスラ同様自動運転技術が導入されています。(山本康正)

マスクはビジョンを実現するという強いビジョンのもと、世の中を変えようとしています。同時に様々な事業を手掛けることができるのも、そのビジョンの強さ故です。世界に大きなインパクトを与え続けることで、ビジョンに共感する人が増えています。

著者の愛車もモデル3だそうですが、ビジョン以外にも売れる理由があります。
■車のコンセプト(エコ、スピード、かっこよさの追求)
■プロモーションの巧みさ(広告宣伝を行わず、マスクやセレブが広告塔になることで、PR効果を最大化)

テスラの車を開発するコンセプトは他社とは全く異なります。

車を開発するそもそもの発想が、テスラと旧来の自動車メーカーでは異なるからです。これまで自動車メーカーは、車両にコンピュータを載せることで自動化などの機能を備えていきました。ところがテスラは真逆です。コンピュータに車輪をつけているとの考えだからです。このような考えですから、ソフトウェアの処理が抜群に優れているのです。

テスラの車はインターネットでクラウドとつながり、およそ2カ月ごとにソフトウェアがアップデートされ、機能追加が施されていきます。アップデートのたびに車の性能がよくなります。例えば、バッテリーの減りが遅くなり、充電回数が少なく済むようになったり、ブレーキの性能がアップしていくのです。

また、テスラではハードウェア、半導体の交換も定期的に行っています。自動運転のテクノロジーが日々進化する中、テスラでは自動運転に関するコンピュータのパーツを変えてくれるのです。顧客体験を高めることで、他社との差別化をはかり、テスラを選ぶ人が増えています。

お客様がいかに気持ちよく自動車を利用できるか。ハード・ソフト関係なく、車両を活用した心地よい体験ができるかどうか。この点に着目してビジネスを進めているからです。そのため特に自動車の性能と関係ないサービスも、テスラには多く備わっています。

電気自動車が普及しない理由の一つに、充電ステーションの不備がありますが、同社もここでも顧客の利便性を重視します。充電ステーションや駐車スペースをショッピングモールの入り口付近、スターバックス、高速道路のそばなどの使いやすい場所に設けています。さらに初期ユーザーは充電料金が無料となります。また、有料になってからも、フル充電で500円ほどと、ガソリン車と比べると圧倒的に燃料代安くできます。

テスラは広告も出稿しませんし、ディーラーのネットワークもありません。ユーザーにはソフトウェアのアップデートの際には必ずメッセージが届くなど、ダイレクトのコミュニケーションを重視しています。広告やディーラーにお金をかけるのではなく、ユーザーエクスペリエンスを高めることに注力しているのです。

テスラならではのソフトウェアサービス
■スマホによる遠隔操作
車に乗っていなくてもスマートフォンで車両を操作可能。

■モニターが季節によって変わる
たとえばクリスマスの時期には、車内のモニターがクリスマス仕様に変更できます。

■ドッグモード  
遠隔操作による車内の空調設定に、自動調節機能が付随したサービスが「Dog Mode(ドッグモード)」です。

■エンターテインメントが充実
ユーチューブ、ネットフリックス、スポティファイといった動画配信ストリーミングサービスいち早く実装。

テスラはユーザーエクスペリエンスを高めるために、ビッグデータを活用しています。自社で販売した公道を走っている約100万台の車両に搭載されている、カメラやセンサーからデータを取得し、サービス改善につなげています。

テスラはテストコースではなく実際の公道からのデータを使い、自動運転に関する試験やアップデートをし、100万台の車からリアルタイムにフィードバックを得ています。既存自動車メーカーとの情報量の差は圧倒的で、これがテスラの強みになっています。テスラは得た膨大なデータを元に、自動車保険まで手がけています。「テスラ・インシュランス」というもので一般的な自動車保険と比べ、同様の保障内容で20~30%安くなっています。

テスラはユーザーからのフィードバックをスピーディに受けることで、最高のユーザーエクスペリエンスを顧客に提供しています。既存自動車メーカーにはできない仕組みを一気に作り上げることで、テスラは勝ち組になったのです。購入後の顧客体験を高めることで、テスラは熱狂的なファンを増やしています。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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