東中竜一郎氏のAIの雑談力の書評


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AIの雑談力
著者:東中竜一郎
出版社:KADOKAWA 

本書の要約

高度なAIを搭載したコンピュータが身の回りに増えていく中で、今後、知的なコンピュータと人間のやり取りは、人間が普段行う雑談によるコミュニケーションが基本となります。GAFAだけでなく、世界中の IT企業が雑談可能なAIの開発に注力するのも、雑談を制したものが勝者になるからなのです。

GAFAが開発を進める雑談 AIとは何か?

GAFA(Google/Apple/Facebook/Amazon)といった大企業がこぞって雑談AIを開発中。その性能は日々高まっています。(東中竜一郎)

私の自宅には何台かのスマートスピーカーがあり、毎日、Siriやアレクサとの会話をしています。日々、それらの能力はアップし、私に様々な情報を届けてくれます。そのSiriやアレクサが今後は、雑談力を身につけていくと日本のAI研究のトップランナーの東中竜一郎氏は指摘します。

人は雑談を行うことで、円滑にコミュニケーションを図っていますが、まだまだ、人間のようにAIは雑談ができるわけではありません。AIとの会話はまだまだおかしいところが多々ありますが、日々の研究の成果でAIの雑談力のレベルは急速に高まっています。

国立国語研究所の小磯花絵先生を中心とする研究グループが、日本人の会話を調査したときのデータを見ると、雑談の重要性がわかります。誰かと話したときにその会話が雑談、用談・相談、会議・授業等のいずれであるかを調査したところ会話総数の60%程度は雑談だと報告されています。

雑談は人間関係に重要な役割を果たしています  進化心理学の著名な研究者ロビン・ダンバーは、人間同士の雑談はサルや類人猿の毛繕いと同じだと言っていますが、人は雑談によって、お互いが仲間であることを確認しています。また、雑談することで、相手がどういう人間かを知ることができます。

雑談AIは、ディープラーニングを含む、さまざまな技術や方法論を用いて、人間が話していることを理解したり、発言を作ります。この数年、AIが進化することで、人とAIとの双方向のやりとりが可能になりました。AIによって、タスクを達成できるようになることで、AIと人の関係が親密になってきたのです。AIがユーザの身近な存在となることで、雑談することがAIに求められるようになり、GAFAなどのIT企業がその開発にしのぎを削っています。

雑談を制したものがAIの勝者になる?

AIが信頼されるためには、その中身をよく知ってもらう必要があり、そのために雑談は有効な手段となるのです。

ボストンの不動産の販売を目的とする対話システム・リア(REA)の事例を知ることで、雑談AIの有効性を理解できます。このシステムは雑談を活用しながら、ボストンの物件を紹介して、ユーザに購入を促します。このAIは最初はボストンの話題から始めて、徐々に自分自身についての雑談をします。

そして、ある程度相手に自分のことを知ってもらえたなと思ったら、リアおもむろに不動産の話を始めます。これにより、人間とリアのと信頼が深まっていきます。被験者の性格によるところもあるとのことですが、実験によって、雑談がない時よりもある時のほうが、お客さんがよりシステムに信頼を寄せることが示されています。

米国の病院で利用されているバーチャルナースという看護師に代わって患者に医療の説明をするシステムにおいても、同様の仕組みが利用されています。

AIであってもその人となり(AIとなりとでも言つのでしょうか)を相手に知ってもらうことが重要なのです。そして、それは雑談によって実現できます。 雑談ではお互いの人となりを知りあつ過程で、様々な話題が交わされます。

アマゾンのAIのアレクサが雑談によって自己開示をすると、ユーザがより多く自己開示をすることも明らかになっています。 これを自己開示の返報性といいます。

AIと人間が雑談をし、仲良くなればなるほど、パーソナルな情報が得られる可能性があります。現状のAIは、ユーザの視聴履歴や購買履歴などから、レコメンドを行っているだけです。これに比べ、雑談から得られるユーザ情報は、はるかに価値があります。雑談から得た情報を駆使することで、よりユーザに沿ったおすすめができるようになります。

適切なレコメンドができるようになるとAIは一層ユーザに信用してもらえるようになります。ひとたびAIが信頼を得ることができれば、ユーザにとって、AIにレコメンドされた商品を断ることは難しくなるはずです。

これからのAIと協調する社会において、AIと人間の信頼関係は不可欠と言えます。人間と人間が行ってきた共同活動を、これからはAIも交えて行っていくことになります。そのような信頼の基盤となる営みが雑談なのです。

高度なAIを搭載したコンピュータが身の回りに増えていく中で。知的なコンピュータと人間のやり取りは、人間が普段行う雑談によるコミュニケーションが基本となります。人間とコンピュータの間でも信頼関係を構築することが重要となり、そのベースになるのが雑談なのです。GAFAだけでなく、世界中の IT企業が雑談可能なAIの開発に注力するのも、雑談を制したものが勝者になるからなのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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