ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる
著者:宮村岳志
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
本書の要約
ブランディングとデザインが今後の経営戦略を左右するようになってきました。大企業だけでなく、中小企業がブランディングを行う理由がここにあります。ブラディングとは、自社の差別化にも、
ブランディングの本質とは?
私たちの考えるブランディングの対象は、その企業や組織において一番大切な宝物です。そして、その宝物をクライアントの柱=ブランドに育て上げるのが目的となります。(宮村岳志)
ブランディングとデザインが今後の経営戦略を左右するようになってきました。自社の本質的な魅力を徹底的に追求し、 何を伝えるべきかを見極め、それを積極的に発信することで、顧客に見つけてもらえるようになります。自社の大切な宝物を見つけ、それを柱に育てていきましょう。
経営者は、自社の進むべき道を明らかにすると同時に顧客からどう見られたいのか?を明らかにすべきです。
自社の使命とは?
社会に何をもたらせるのか?
これらが明確になると、進むべき方向も明確になるので、社員の意思統一がなされ、無駄が省かれ、意思決定のスピードが上がります。
巷では「ブランディング」と言うとメディアを活用し広告を積極的に展開したり、ロゴやウェブサイト、会社案内をつくる「イメージ戦略」だと言われていますが、実は「経営戦略」の重要なファクターなのです。 ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)など企業の指針となるものを考え、決めることが、ブランディングのファーストステップになります。
社外への訴えかけである「アウターブランディング」を意識するだけではなく、社内に向けての「インナーブランディング」を同時に行うことでブランディングは初めて機能します。顧客に選ばれる企業になることで、従業員満足度が高まり、売上や利益アップに大きく貢献します。
自社の強みを磨き、差別化できなければ、ユーザーに選ばれません。経営者の意思決定のスピードが遅いと、自社のプロダクトが時代遅れのものになりますし、イノベーションを起こさなければ、ベンチャーにマーケットを奪われてしまいます。社員が自社に愛着を持たなければ、人材が定着せず組織力が低下していきます。 ブランディングを行うことで、経営者はこの3つの課題を解決できるようになります。
大企業だけでなく、中小企業がブランディングを行う理由がここにあります。ブラディングとは、自社の差別化にも、
ブランディングにソーシャルグッドの発想を!
ユーザーが価値を感じるのは、ブランドのマークを見ることで、頭の中で再生される”さまざまな要素の集積”たるイメージが商品と一致するから。そして、そのイメージをつくってきたのは、企業であり、そこで働く人々です。 つまりマークとは、企業や従業員の営為の具現化なのです。そのビジュアルは、イメージを想起するきっかけとして重要なものです。
インナーブランディングによって、顧客に支持されるブランドが育ちます。従業員が価値を生み出してくれるから、その先に柱たるブランドができるのです。プロダクトのつくり手のマネジメントなしに、ブランディングの実現は不可能だと捉え、インナーにも働きかけるようにしましょう。
著者はソーシャルグッドによって、ブランドがパワーを持つと言います。Cotopaxiと言うアメリカのアウトドアブランドをご存知でしょうか?2013年創業の同社は、店舗数も少なく、ザ・ノース・フェイスやL.L.Beanといったアメリカのメジャーアウトドアブランドと比べると規模では完全に見劣りしています。しかし、環境や地域コミュニティなどの「社会」に対して良いインパクトを与える活動を行うことで、多くの熱狂的なファンが同社に集い、ソーシャルグッドなプロダクトを買っています。
「“Gear for Good”=アウトドア用品をつくり、売ることを通して貧困に苦しむ人々を助ける」というのが同社のブランドプロミスです。 Cotopaxiの人気商品のバックパックは、フィリピンの協力工場で一つひとつ手づくりされており、カラーパターンなどデザインの一部もフィリピン人の職人の裁量に任されています。
製造を通じて、フィリピンを経済的に支援するだけでなく、一部の裁量を任せることで、工場で働く現地の人たちのプライドの醸成にも貢献しています。 ほかにも、年収が100ドル以下と言われるボリビアの放牧民が育てるリャマ毛を使ったジャケットを展開するなど、Cotopaxiは「貧しいコミュニティを支援する」という思いからブランドを確立し、メジャーに負けない存在感を発揮しています。
Cotopaxiの新しさ・強さは、製品の性能差がほとんど感じられなくなったバックパックやジャケットといった製品に「ストーリー」という新しい価値を付加したことです。 すなわち、バックパックやジャケットの性能・デザインだけでなく、その背景にある「ストーリー」に共感を集め、買ってもらう。同時に、若者たちは「このバックパックって、実はフィリピンでね……」など、そのストーリーを人に話したくなる──そんな新たなブランディングが共感と熱狂を生み出しているのです。
日本の企業はクリエイティブ視点でブランディングを見直すべきです。自社ならではのストーリーを語り、それを様々な自社メディアやSNSで発信することから始めましょう。
最新のデジタルやテクノロジーを活用し、オンオフ両方でブランディングを展開することで、新たな顧客との関係がスタートします。アメリカに比べ、日本の中小企業のブランディングは10年遅れていると言われていますが、著者はここにポテンシャルがあると述べて述べています。自社の宝を見つけ、それを育てることを経営者はもっと意識すべきです。ブランディングファーストで経営戦略を組み立てるのです。
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