藤原帰一氏、石田衣良氏の世界一ポップな国際ニュースの授業の書評

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世界一ポップな国際ニュースの授業
著者:石田衣良、藤原帰一
出版社:文藝春秋

本書の要約

国際的な視点を持ち、様々な情報に接することで、日本の現状を理解できます。メディアの日本特殊論を鵜呑みにすると危機感を失い、世の中の変化に対応できなくなります。日本をこれ以上劣化させないためには、一人一人が海外に関心を持ち、どう行動すべきかを自分の頭で考えるべきです。

日本特殊論は正しいか?

日本人は日本という国や文化を、特別である、変わっていると思う傾向が強いですよね。(石田衣良)

小説家の石田衣良氏と国際政治学者の藤原帰一氏の2人は、テレビ局の番組審議会の雑談がきっかけになり、国際情勢に興味を持つ初心者向けの本を作ろうと盛り上がります。

若者が海外に関心を持たなくなったこと、2時間くらいでサクッと国際情勢を理解できる新書があってもいいはずだと著者たちは考え、本書のコンセプトが出来上がります。海外の政治・経済状況だけでなく、日本の現状分析を2人は、映画を見るようにわかりやすく解説しています。今日は本書の第5章の「日本−この世界でどう生きるか?」を中心に紹介していきます。

日本のメディアは「日本特殊論」を展開しがちですが、藤原氏はその議論はあまりに極端で、偏りすぎだと指摘します。
①日本をネガティブに捉える。
②海外にはない独自の特殊なものがあって素晴らしいというポジティブな視点。

石油危機の後、1980年代くらいから、日本は外国に学ぶべきだという方向から、日本独自の特質を世界的に誇るべきだという議論に変わってきました。エズラ・ヴォーゲルの『ジャパンアズナンバーワン アメリカへの教訓』がヒットし、「日本スゴイ論」というコンテクストが生まれ、今に至ります。

今のような「日本」と言う中央集権国家は明治維新からスタートします。富国強兵や教育勅語によって、一つの日本という考え方が広まり、「忠君愛国」をベースに政治が行われるようになったのです。

ナショナリズムは後天的に身につけるものではなく、生まれながらにして持ち合わせているという考えは、フィクションです。(藤原帰一)

日本人という意識や、それに基づく大和魂の伝統の歴史は浅く、わずか150年のものでしかないのです。自分は日本人だから、日本について知り尽くしていて当然と思い込んでいますが、それが過度に強くなると「同じ日本人なのだから、○○するのが当たり前」という同調圧力になると藤原氏は指摘します。

ナショナリズムというフィクションは、日本だけのものでなく、世界中でヒットしています。日本だけでなく、アメリカやイギリス、ECでも仮想敵をつくり、他者に怒りを向けることで、自分のプライドを保とうとしています。為政者たちはナショナリズムを使い、自国の悪政を隠していますが、正しい視点をもてば、それが誤りであることを見抜けます。

危機感が足りない日本

この国の行く末を考えるとき、何か転換点や危機を迎えたときの反応が、ひとつの判断基準になると思います。たとえばバブル経済が破綻したとき、まだ日本は大丈夫だとか、すぐに景気は回復するといった楽観論が根強くて、危機感を抱いていなかった。私、これにはがっかりしたんです。

バブル以降日本人の危機に対する対応力が下がっていると藤原氏は言います。危機感を失うことで、日本人の劣化が始まり、様々な問題が起こっています。「日本は大丈夫だ」と言っているとき、逆に危ないことが起こっているのです。

今回の新型コロナの流行については、楽観論が強かったので当初から心配だったと藤原氏は述べていますが、1年たった今でも対策は後手後手になり、逆に患者数を増やしています。中国や台湾、韓国のように初めから危機感をもち、思い切った対策をとった国の方が結果を残しています。ナショナリストがバカにする国の方が、先進国のように振る舞ったことを忘れてはいけません。

経済面でも自動車や一部の素材産業以外の業種は活力を失っています。世界に誇れる技術を持つ部品産業はありますが、アップルなどの下請けとなってしまい、利益を稼げなくなっています。

日本は急速な成長はないけれども、安定した経済状況で、格差が緩やかに拡大しているとはいえ、極端な階級対立はありません。決して悪い社会ではないですが、一番気がかりなことは、日本が目指すべきモデルを外の世界から学ばなくなってしまったことです。

アジアに目をむけると、シンガポールはかつて日本の製造業をモデルにしていましたが、すでに新しいモデルに切り替え、アジアの金融センターとして発展しています。海外の優れたモデルを常に学ぶことで、アジアの国々は成長していますが、日本は危機感が不足し、学ことをやめています。

ネットフリックスなどのアメリカのグローバル企業のアジア部門の本社は東京をスルーし、シンガポールに集まっています。グローバル企業の視点に立てば、東京はすでにアジアのローカルマーケットの一つでしかないのです。日本国内にいると、こうした厳しい現実には気付けず、日本スゴイというメディアの洗脳され、結果、危機感を失い、学ぶことをやめてしまうのです。このままの状態をよしとする「ぬるま湯状態」の中で、日本は今後もゆっくりと衰退していきます。

そろそろ日本人は国際感覚を取り戻し、厳しい現実を知るべきです。メディアにコントロールされるのをやめ、自分の頭で考え、日本語以外のニュースに接するべきです。海外の動きを知ることで、日本の状況を理解できます。危機感を持ち行動することで、日本の課題を発見でき、やがてイノベーションを起こせるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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