マーティン・ファクラーの米国人ジャーナリストだから見抜けた日本の国難の書評

日本に限らずどこの国でも、経済とは生き物のように、関数体のように変化し続ける。変化が厳しくピンチに陥るときもあれば、反対にチャンスが訪れることもある。ピンチをチャンスに転換するのか。はたまたチャンスからピンチへと転落してしまうのか。新しい時代を迎えようとしている日本経済は、いったいどちらの方向へ向かおうとしているのだろう。日本経済には悪いところもあるが、世界にはない素晴らしい側面も多い。日本の人たちは悲観することなく、ポジティブ・シンキングで21世紀を歩んでいってほしいと私は願う。(マーティン・ファクラー)


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課題先進国の日本にチャンスはあるか?

日本のマスメディアだけに触れていると判断をあやまります。特に政府や役所の情報を垂れ流す一部の新聞メディアの情報を鵜呑みにすると痛い目にあうので、注意が必要です。アメリカ人ジャーナリストのマーティン・ファクラー米国人ジャーナリストだから見抜けた日本の国難で日本の現状を客観的に整理し、私たちに伝えてくれます。課題先進国の日本は一見ピンチだらけのようですが、それをチャンスに変えることもできるのです。

人口減少、高齢化、格差、デフレ、AI、縮小国家、移民国家、米中覇権、トランプ現象、安倍一強による政治の停滞など日本の課題はどれも難しく、解決のためには真剣な議論が必要です。「3.11前の平成」は課題を先延ばししてきましたが、「3.11後の平成」を通じて、日本人は目の前に迫る「国家の危機」をようやく我が事ととらえるようになりました。

日本は現実を直視せず、公共投資を重ね、借金を増加させてきました。しかし、人口が減少する中で、大判振る舞いを続けることが難しくなっています。

IMF(国際通貨基金)の見立てによると、日本が抱える国の借金は実に1000兆円を超える。日本経済は大まかに言って500兆円のスケールだ。日本が抱える借金はGDP(国内総生産)の250%という計算もある。恐るべき数字だ。なぜ日本経済は、構造的な「日本病」とも言うべきまずい状態に陥ってしまったのだろう。まず第一に、高齢化社会が進むにつれて社会福祉にオカネがかかりすぎたことが、「日本病」を悪化させた主因だと思う。第二に、昭和から平成にかけて、あまりにも公共事業に多額の予算を投入しすぎたせいであることは間違いない。日本経済を元気にするために、日本全国津々浦々に道路や橋、トンネルやハコモノをたくさん造りまくる。こうした事業によって土木業者は仕事が増えてうれしいし、国の施策によって雇用を創出できる。だが、長い目で見たときに無駄遣いだった事業も数多くあるはずだ。

自民党の土木政治は「公共事業中毒」から抜け出せずに、今も続いています。1000兆円の借金を抱える現在の日本は予算の枠組みを変えて、無駄遣いを見直す必要があります。政治を変えるためには、スマホ世代が自分たちの意思を政治家に伝える必要があります。そのためにも現状の課題をもっと若者世代が認識しないと、シルバー世代に果実を全て食い尽くされてしまいます。

 

本当はクリエイティブな日本、もっと自信を持とう!

ウォークマンで世界を席巻したソニーがアイフォンやアイパッドを作れず、アップルに完敗する。IT産業の分野で、シリコンバレーのアントレプレナー(起業家)たちのようなイノベーションを生み出せない。「自分たちはいったいどうすればいいのだろうか」と迷いあぐね、手をこまねいているうちに、ますます日本とアメリカ、中国やインドとの差は広がっていった。

日本はシステムを変えることがとても下手です。ダメだとわかっていることをやめられません。第二次世界大戦の頃と日本人のマインドセットは変わっていないのでしょうか?

経済のシステムや働き方が変わったにもかかわらず、日本は年功序列・終身雇用という大企業モデルを長年やめられませんでした。既得権益があまりにも強すぎたせいで、日本はずっと低成長に甘んじてしまったのです。アメリカを追いかける「キャッチアップ型の経済」から「イノベーションの経済」に切り替えない限り、日本経済が停滞の現状を打開できるわけがないと筆者は言います。

大企業が旧態依然の体制を維持し続ける中、日本にアントレプレナーやイノベーターが皆無だったわけではない。製造業の分野では目覚ましいイノベーションは起きはしなかったものの、小売業やサービス業の分野で、日本には「静かな革命」が起こっていた。ハードからソフトへの静かな大転換が起こっていたのだ。

「日本はもともと強かった製造業の技術力を生かし、世界の流れにキャッチアップするのはうまい。だが、世界の誰も考えもつかない新しいアイデアは、なかなか生み出せない」「日本はイノベーションが苦手だ」というイメージが流布されていますが、それは本当なのでしょうか?最近は日本も変化していると著者は指摘します。

今では「日本はデザインや建築、ファッションの分野がとても強い国だ」「小売やレストランの分野でも、世界トップクラスと言ってもいいほど強い」「これらの分野で見ると、日本は革新的でイノベーティブな国だ」というイメージに変わってきたというのです。

アドビシステムズが、2016年に実施した創造性に関する国際的な意識調査によると。「世界で最もクリエイティブな国と都市」に、それぞれ日本と東京が第1位に選ばれています。
「世界で最もクリエイティブな国」は、
①日本(34%)
②アメリカ(28%)
③フランス・ドイツ・イギリス(11%)
④その他(5%)

「世界で最もクリエイティブな都市」は、
①東京(26%)
②ニューヨーク(23%)
③パリ(14%)
④ロンドン(10%)
⑤ロサンゼルス・サンフランシスコ・ベルリン(7%)
⑥その他(5%)になっています。

しかし、海外が日本をクリエイティブだと評価しているにもかかわらず、日本人の評価は逆に低くなっています。「自分はクリエイティブだ」と考える人が世界平均で41%いるのに対し、日本人でそう考える人ははたった13%しかいないのです。日本や東京は他国からクリエイティブだと称賛されているのに、日本人の自己評価は驚くほど低いのです。

世界から賞賛されている日本人はもっと自信を持ち、自分たちの課題に前向きに取り組むべきです。デフレ経済は確かに悪いものですが、日本人はMUJIやユニクロや格安の料理を進化させました。今では、外国人が日本のファンになり、それを楽しんでいます。ソフトのイノベーションに長けた日本人が本気になれば、多くの課題を解決できると私は信じています。

まとめ

日本は課題先進国と言われて久しいですが、国民が現状を把握し、解決策を真剣に考えれば、ピンチをチャンスに変えられます。日本経済には確かに悪いところもありますが、素晴らしい側面もたくさんあります。日本の人たちは悲観することなく、自己重要度を高めることで、自国の可能性を広げられます。課題に向き合い、クリエイティブ力を活用し、積極的に改革を行えば、まだまだ日本は成長できるはずです。

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