スティーブン・G・ブランクのアントレプレナーの教科書の書評


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アントレプレナーの教科書[新装版]
著者:スティーブン・G・ブランク
出版社:翔泳社

本書の要約

成功した企業は、顧客からの学習と発見のプロセスを生み出しています。彼らは「製品開発」ではなく、「顧客開発」を行っています。顧客開発をしたければ、「顧客発見」「顧客実証」「顧客開拓」「組織構築」の4つのステップを踏むべきです。

スタートアップを成功させる4つのステップ

英雄の旅のアナロジーはスタートアップを考えるのに適している。すべての新会社と新製品は他人には見えない目標と共に想像上のビジョン、すなわちこうありたいという願望から始まる。この明るく燃えさかるビジョンこそが、起業家と大企業のCEOの、スタートアップと既存企業の違いである。創業者となる起業家は自らのビジョンと事業が本物であり、幻想ではないことを証明するために飛び出す。成功のために現状を捨て、しばしば不確実性に覆われたそれらしく見える新しい道のりへと出発する。障害、苦労、災難が待ちかまえ、成功への旅では資金力以上のもの、すなわちスタミナ、俊敏さ、勇気の限界が試されるのである。(スティーブン・G・ブランク)

多くのスタートアップが、イノーベーティブな製品を開発しているにも関わらず、生き残れずにいます。シリコンバレーのシリアルアントレプレナーだったスティーブン・G・ブランクは、その原因を顧客開発を怠っているからだと指摘します。スタートアップの経営者は製品開発のみに集中し、顧客との関係を構築することを忘れているのです。

成功した企業は、顧客からの学習と発見のプロセスを生み出しています。彼らは「製品開発」ではなく、「顧客開発」を行っています。顧客開発をしたければ、「顧客発見」「顧客実証」「顧客開拓」「組織構築」の4つのステップを踏むべきです。

■ステップ1:顧客発見

顧客発見の目的は、その名前が示すとおりである。つまり、自社製品の顧客が誰であるかを見出し、自社が解決できる課題が顧客にとって重要なものであるかどうかを明らかにする。型通りに表現すれば、このステップは自社のビジネスプランで想定する顧客の課題、製品、および顧客に関する仮説が正しいことを明らかにするためのものである。

顧客発見の旅は、あれこれ推測するのではなく、「会社の外」に出ることから始めるべきです。
顧客にとって価値の高い課題とは何か?
その課題を解決できるような製品とはどんなものか?
自社の顧客やユーザーを特定するとしたらそれは誰なのか?
(たとえば、購入決定者やその判断に影響を与える人は誰なのか、製品を日々使うのは誰なのか)

顧客開発部隊は、自社のビジョンに合った顧客と市場が存在するかどうか?を確認することから始めましょう。顧客発見、顧客実証、顧客開拓、組織構築の各ステップにおいて、製品開発と顧客開発部隊が、「同期」打ち合わせを実施します。2つのセクションが同意しない限り、顧客開発は次のステップに進みません。 

顧客発見において、顧客開発部隊は、新しい機能を増やすのでなく製品仕様の実証に努めます。顧客が、解決すべき課題は存在しないと思っている場合、または課題が重大でないと考えている場合、あるいは自分たちの製品仕様では課題を解決できないと見なしている場合、顧客開発部隊と製品開発部隊は再度打ち合わせの場を持ち、仕様変更の検討を行います。   

■ステップ2:顧客実証

顧客実証は、理論を実行に移す重要なパートである。このステップの目標は後続ステップで活動する営業とマーケティング部隊のために、繰り返し実行できる営業ロードマップを構築することである。営業ロードマップとは、繰り返し実行できることを実証した営業プロセスの手引書であり、製品を初期の顧客数社に販売することに成功したという実地テストを経たものである。

顧客実証によって、製品に対する評価の裏づけを得ることで、ビジネスモデルの確実性が高まります。実際に、自社製品にお金を払う顧客がいるか?その製品やサービスを繰り返し、使ってくれる顧客がいるかを実証していきます。

顧客が新しい製品機能もしくは機能の修正が必要であると言い続けている場合は、製品開発担当責任者が顧客開発部隊と同行して顧客のフィードバックを聞いたうえで、新しい機能を追加します。  

顧客開拓が終わった後で、組織を強化する理由

■ステップ3:顧客開拓

顧客開拓は初期の営業での成功に基づいて実施される。その目的は、エンドユーザーの需要を開拓し、それを自社の営業チャネルに結び付くように誘導することである。スタートアップが第1号顧客を獲得したうえで初めて大々的なマーケティングへの費用投下を実行するように、このステップは顧客実証の後に配置され、企業が自社資金の消費速度を制御し、最も貴重な資産を守ることを可能にする。

タイプ1 競合企業によってすでに定義された既存市場に参入。
タイプ2 企業は製品や企業が存在しない新しい市場を作り出す。
タイプ3 低コスト参入者として、もしくは新しいニッチを創造することで、既存市場を再セグメント化。

3つの市場タイプに応じた顧客開拓活動が必要となります。顧客開拓には初年度目標、ポジショニング、市場参入と市場投入、需要開拓の4つの構成要素を考慮し、進められるべきです。営業とポジショニング戦略は、タイプによって異なります。

ステップ4:組織構築

組織構築は、企業が、学習と発見を中心にした形式ばらない顧客開発部隊から、営業・マーケティング・事業開発に担当の責任者を配置した正式な組織に移行するターニングポイントだ。会社が初期の市場で成功を収められるように、各組織の幹部はミッションに基づいた組織の構築に集中する。

顧客開拓ステップでは自社のポジショニングを最終形に仕上げ、企業と製品を市場投入します。このタイミングで、標準的なマーケティングコミュニケーション活動すべてを開始します。顧客との対話で見つかった市場タイプにフィットした組織を、ミッションに基づき構築します。開発舞台中心だった組織をミッション中心の組織に変え、少ない人材で様々な課題を解決していきます。成長期には日々、やることが変化していきます。ミッションと企業文化を作り、変化に対応し続ける組織をつくりましょう。

ミッション中心系では、従業員の主体性を大事にします。ミッションを成し遂げる方法については従業員にできる限り裁量を与えることで、結果を出せるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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