イノベーションを起こしたければ、顧客の課題を発見するチームを作ろう!


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シリコンバレー式 最高のイノベーション
スティーブン・S・ホフマン
ダイヤモンド社

本書の要約

スタートアップは、顧客を観察し、そこからのフィードバックを大事にすべきだと指摘します。経営者は顧客を味方にし、彼らの意見を取り入れることで成功に近づけます。次世代のイノベーションを生み出すためには、顧客の課題を発見できるチームを作るべきなのです。

スタートアップが「売り込み症候群」に陥ってはいけない理由

自分たちがすべてを知っているわけではないと自覚し、うぬぼれることなく学習と観察を続けなければならないことに気づくには、謙虚さが必要だ。もしそれができなければ、どこかのスタートアップが間違いなく自分たちにとって変わる。(王雪紅)

HTCコーポレーション共同創業者の王雪紅は、スタートアップは、顧客を観察し、そこからのフィードバックを大事にすべきだと指摘します。経営者は顧客を味方にし、彼らの意見を取り入れることで成功に近づけます。

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、インドで顧客を観察することで、素晴らしい新製品をリリースできました。インドでは8割の人が洗濯機を使っていないことにP&Gは気づきます。インドの家庭にチームを送り込混むことで、インド人が洗濯機用の洗剤を使って衣服を手洗いしていることを発見します。

洗濯機用洗剤を手洗いに使うことで、インド人は肌荒れや擦り傷。やけどなどのトラブルを抱えていました。P&Gははこれを解決するために、手洗い用の特殊な洗剤の「タイド・ナ チュラル」と呼ばれる新製品を開発しました。

観察の力はイノベーション・プロセスの核になるものだ。ただ見て学ぶことから、イノベーションは生まれる。 いわゆる「売り込み症候群」に陥ることだけは避けなければならない。イノベーションチームが聞くことをやめ、売り込みモードに入るとそうなる。自分たちのソリューションが正しいという確証を得ることに必死になるあまり、観察も学習もできなくなってしまう。(スティーブン・S・ホフマン)

22ヶ国でスタートアップを支援するアクセラレーターのスティーブン・S・ホフマンは、起業家は「売り込み症候群」に陥ってはいけないと言います。

スタートアップの創業者は、ユーザーの声に耳を傾けず、自社のプロダクトを顧客に押し付けることで失敗を犯します。顧客のフィードバックが手に入らなければ、成長が止まってしまします。マーケットで起こっていることに気づけなければ、的確な商品をリリースできず、競合に市場を取られてしまうのです。

顧客の課題を発見できるチームを作ろう!

イノベーションとは、あっというようなアイデアを思いつくことではないということを、チームが理解しなければならない。イノベーションとは、探求であり、証拠集めであり、ユーザーへの聞き取りであり、隠れた真実を表に出すことだ。ひらめきや天才的な勘がイノベーションにつながることはほとんどない。

起業家は社員のマーケットの観察力を鍛えるべきです。人の意見に耳を傾け、正しい質問を投げ、必要なデータを 集め、それを正しく分析することをチームに求めるべきです。

チームの最初の思い込みやアイデアは間違っているとスティーブン・S・ホフマンは指摘します。この事実に向き合わなければ、成功はおぼつきません。自分たちの無知を認めて、発見し続けることに力を入れるようにチームを仕向けるのが、スタートアップのCEOの大切な仕事です。

開発を急ぎすぎると、顧客の声を聞く時間がなくなります。時にはペースを落として、周囲で何が起きているかを観察し、問いを発し、チームで話し合うようにすべきです。また、自社に閉じこもるだけでなく、外の世界で時間を費やすことで、顧客の課題に気づけ、開発のヒントが見つかるようになります。

P&Gはメキシコで「アリエル・ウルトラ」を発売した時、この新商品が大ヒットすると信じていました。洗浄力は2倍で、値段は半分、しかも半分の使用量で済む完璧な商品だと考えていたのです。事前の調査では、圧倒的な評価を得ていましたが、ローンチ後その期待は裏切られます。

その新製品が失敗したあと、P&Gは別のやり方を試しました。彼らは顧客を徹底的に観察する「壁のハエ」作戦でを実行しました。何の意見も言わず、邪魔もせずに、ユーザーが日常生活でどのように彼らの製品を使っているかを観察したのです。その結果、アリエル・ウルトラの新機能を、ユーザーは受け付けていなかったことがわかりました。

ほとんどの人は「泡立ちが少ない=洗浄力が弱い」と思ってしまうため、以前より泡立ちがなくなった新製品では、衣類の汚れがあまり落ちないように感じていたのです。この発見から、P&Gは少ない量の洗剤でよく泡立つ「ダウニー・シングルリンス」という新製品を開発しました。時間もおカネもスペースも節約できて、見た目にも洗浄力があるように見えるこの新製品は大ヒットになったばかりか、大きな教訓を同社に与えました。

消費者は何を欲しいかを言い表せるとは限らない。その心理とものの見方とニーズを理解するには、よく観察し、深く検証しなければならない。 本当に大切なことを探すように、チームを訓練しなければならない。それは、問題を理解し、ユーザーの頭の中や見えないところで起きている本当のことを表に出せるような環境を作るということだ。

顧客調査をしても、顧客が的確な答えを出せるとは限りません。顧客を観察し、本当に顧客が求めていることを見つけなければ、ヒット商品は生まれません。次世代のイノベーションを生み出すためには、顧客の課題を発見できるチームを作るべきなのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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