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上流思考──「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法
ダン・ヒース
ダイヤモンド社
本書の要約
下流で目先の問題をいくら解決しても、根本的な問題は解決できません。問題の本質を問い直し、上流から課題を解決するようにすべきです。上流から思考し、行動することで、未来をよりよくできます。上流思考を評価し、それを行う人が増えれば、事故や病気、若者のアルコール依存症すら減らせるのです。
社会を豊かにする上流活動とは何か?
下流活動は問題が起こってから事後的に対応するのに対し、「
上流」活動は問題を未然に防ごうとする。(ダン・ヒース)
私たちは日々の少しの努力を怠ることで、 膨大な「ムダな作業」をくりかえすことになります。根本からの問題解決に手をつければよいのに、なぜだかそれをスルーしてしまいます。著者は場当たり的な対処をすることを下流活動と呼び、これから抜け出すべきだと述べています。「問題を未然に防ぐための活動」や、「
日常の問題は「常態化」することで、私たちはそれに気づかなくなります。当事者感覚が欠如することで、問題をスルーしてしまいます。たとえ、問題を見つけても、誰かが率先しなければ、それを見過ごしてしまうのです。現代人は忙しく目の前のタスクをこなすだけで精一杯で、大きな問題に手をつけられません。トンネンリング状態に陥ることで、本当に重要なことが見えなくなってしまうのです。
新型コロナウイルスが流行り始めれば、私たちは何を措いてもそれを封じ込めようとします。しかし、いったん感染が収束し、喉元過ぎれば熱さを忘れてしまい、上流への対策を怠ってしまうのです。何が問題の原因なのかを探ることなしに、表面的な対策を続けるだけでは結果は変わりません。
上流活動のリーダーは、
複雑に絡み合った難題を解きほぐさなくてはならない。たとえば、 問題を早期に検知するにはどうしたらいいのか。何かが「 起こらない」ことが成功と見なされる場合、 どうやって成果を測るのか。
よい警官は違反切符を切る代わりに、
エクスペディアは上流思考を取り入れることで、コールセンターへの連絡を劇的に減らし、利益を高めることに成功します。問題の本質を明らかにし、上流から思考し、行動することで、未来をよりよくできるのです。上流思考を評価し、それを行う人が増えれば、事故や病気、若者のアルコール依存症すら減らせることを本書を明らかにしています。
「上流リーダー」になるための7つの質問
上流で成功するリーダーは、問題を早期に検知し、複雑なシステムのテコの支点に狙いを定め、成果を確実に測る方法を見つけ、新しい協力体制を整え、成功が続くようにその方程式をシステムに組み込まなくてはならない。
著者は上流思考を取り入れている人たちの共通点を発見します。「上流リーダー」になるためには、以下の7つの質問が効果的です。
・しかるべき人たちをまとめるにはどうしたらよいか?
・システムを変えるにはどうしたらよいか?
・テコの支点はどこにあるのか?
・問題の早期敬言報を得るにはどうしたらよいか?
・成否を正しく測るにはどうしたらよいか?
・意図しない害をおよぼさないためにはどうしたらよいか?
・誰が「起こっていないこと」のためにお金を払うのか?
「一つの予防は百の治療に勝る」と言われるが、実際にはそれと正反対の行動を取る人が多い。社会をよくしようとする活動のほとんどで、あたりまえのように「治療」が行われている。すばやく効率的な治療が施され、対応、復旧、救命の努力が称えられる。 だがもっとすばらしいことができるはずだ。 後手に回るより、先手を打とう。いま世界に必要なのは、救命がもはや必要でなくなる世界をめざして果敢に戦う、静かな英雄たちだ。
「子育ては上流思考が自然にできている数少ない分野だ」と著者は指摘します。親が子どものために行うことのほぼすべては、子どもの将来の幸福と健康を守ることを念頭に置いて行われます。
自分の子供を育てるように世の中を良くすることを考え、上流から課題を考え、インテグレートされたシステムを作ることで、交通事故や貧困者、落ちこぼれを減らせます。
「日常生活に繰り返し起こる問題があるなら、上流へ向かおう」という著者のメッセージを信じ、自分の行動を変えてみようと思います。この小さな行動がやがて世の中を変える大きな一歩になるかもしれません。本書に紹介される無名の人たちの行動から、私は勇気をもらえました。
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