よい習慣を周りに広める方法。習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法(BJ・フォッグ)の書評

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習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法
BJ・フォッグ
ダイヤモンド社

本書の要約

行動デザインの原則を理解し、タイニー・ハビットの手法と変化のスキルを研ぎ澄ましておけば、他者の習慣も変えられます。どれほど難しい課題に直面しても、それを解決できるヒントが見つかります。あとは小さな一歩を踏み出し、それを習慣化すればよいのです。

よい習慣習慣を身につけるためのタイニー・ハビットと行動デザイン

あなたが望む行動を1つ選び、それを「小さい行動」に分解し、生活の中で自然に組み込める場所に植え、成長させる。(BJ・フォッグ)

スタンフォード大学の行動科学者であり、行動デザイン研究所の創設者兼所長のBJ・フォッグは、よい習慣を身につけるためには、タイニー・ハービットと行動デザインが重要であることを明らかにしています。そのノウハウが書かれている習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法を再読しましたので、前回とは別視点で書評を書きたいと思います。(習慣超大全前回記事

タイニー・ハビットでは、新しい習慣を「小さな種」と考えることを重視しています。 適切な場所によい種をまけば、自然と成長します。よい種を入手するのに大切なのは、自分が実行でき、実行したいと思う行動から始めることです。 自分がうまくできる行動を選べば、やがて自信と達成感が増し、その結果、より大きな行動へのモチベーションも自然と高まります。

自分に正直に、本当にやりたいことを具体的な行動を選び、かならず小さく始めなければなりません。「○○をしたら、××をする」というタイニー・ハビット(小さな習慣)のメソッドを日常に取り入れることで、人は結果を出せるようになります。

タイニー・ハービットは以下の3つの要素で構成されます。
❶アンカー
すでに習慣となっている日課(歯磨きなど)や、何かが起きたとき(電話がかかってきたときなど)。この「錨」によって、「小さい行動」をすることを思い出します。

❷小さい行動
身につけたいと思う新しい習慣を簡単にした行動。たった1本の歯をフロスする、腕立て伏せを2回だけ行うなどの「小さい行動」を意識します。「アンカー」の直後に、この小さい行動を実践します。

❸祝福 
ポジティブな感情を生み出す行動。アクションを起こせたら、「よくできた!」と自分を褒めます。

書くことがそもそも苦手だった私はTwitterやFacebookの短文投稿を習慣化することから始めました。投稿が見ず知らずの人から役に立ったと褒められることで、ソーシャルメディアの投稿が苦にならなくなったのです。これを積み重ねることで、書籍やブログを書けるようになったのです。

今までバラバラに行なっていた日記を書く、自分の願望を書く、ブログを書くという3つの書く習慣を毎朝の習慣にまとめることを目指しました。3つの書く習慣をFacebook投稿というルーティンに組み合わせ、流れを作ることで、朝時間を書く時間にすることができました。

FB投稿、日記、ビジョン、ブログを書き終えると朝から大きな達成感を味わえ、気持ちよく1日をスタートできるようになり、生産性を高めることができたのです。

行動デザインは従来のアプローチとは大きくちがい、あなたがすでにしたいと望んでいる習慣に着目する。ある習慣を選んでからモチベーションを引き出す努力をするのではない。 そのため行動デザインで選ばれる新たな習慣には、もともとモチベーションが備わっている。 ほかのアプローチでは、自分が「すべき」と思う習慣の維持に苦労するだろう。そして結局うまくいかない。

やりたいことを習慣化するためには、次の行動デザインの3つのステップを意識しましょう。
■ステップ1 「願望」を明確にする
■ステップ2 「行動の選択肢」を挙げる
■ステップ3  「自分に合った行動」を選ぶ

結果を出すための、選択肢を書き出したら、「自分に本当に適した行動」を特定します。永続的な変化を生むカギは、自分にとって最適な行動を特定することです。最適なマッチングとして選択されたものを「黄金の行動」と著者は呼びます。
「黄金の行動」には以下の3つの基準があります。
1、願望の実現に「効果的」な行動である
2、「自分が望む」行動である
3、「実行可能」な行動である

その際、影響の大きいものと実行可能な行動をピックアップすることが重要になります。永続的な変化を成功させる決め手は、自分が「したい」と思う行動を選ぶことです。 たとえば、毎日運動しようと思ったら、選択肢はいくらでもあります。

朝食の用意をしながらダンスミュージックに合わせて5分間ダンスするのが自分の「したい」運動なら、それを日課にすべきです。ウェアに着替えて、スポーツジムのランニングマシンを習慣化するのは、自分にとってハードルが高いと感じたら、人の真似をすることはありません。自分のやりたい小さなアクションからスタートし、まずは運動を習慣化しましょう。

もっとも簡単で、やる気の出ることから始めれば、より大きな行動に向かって自然とはしごを登って行けます。 行動デザインでは、ものすごく急いでいるときや、やる気のないとき、体調が悪いときでも実行できるような行動を選択します。行動の「モチベーション・能力・きっかけ」の諸要素を調整し、小さな一歩を踏み出すことで、あらゆる行動を続けられるようになります。

周りの人の習慣を変える方法

1人が始めた1つの習慣が2つの習慣となり、3つの習慣となってアイデンティティを変え、大切な人に影響を与え、さらには周囲に波及してその人たちの考え方まで変える。それがまるで山火事のように広がって、無力感に囚われたカルチャーを駆逐し、あらゆる人に力を与え、徐々に世界を変えていく。

習慣は変化のもっとも小さい単位かもしれませんが、もっとも本源的なものとなり、同心円状に広がる変化の核になり、周りの人の習慣にもよい影響を及ぼせます。私も書くことを朝のルーティンにすることで、頭を整理する時間を持て、結果を出せるようになりました。

自分や家族が小さな一歩を踏み出すことで、変化の大きなうねりを生む流れをつくれるようになります。 ポジティブな連鎖反応を引き起こすいちばんの近道のひとつは、あなたが行動デザインの考え方と行動様式を周囲の人たちに紹介することです。

あなたには、自分のいるグループの行動に対応する方法として、主に3つの選択肢があります。
1、グループの悪い影響から距離を置くため、自分自身の行動を変えるデザインをする。
2、他者と協力してグループ全体の行動を変えるデザインをする。
3、他者にとって利益になる変化をデザインする。

タイニー・ハビットと行動デザインを使えば、他者の人生にもポジティブな力を与えられます。グループを変えるには、思いやりとスキルのある人物がたった一人いるだけでいいのです。

行動デザインでは、相手がしたいと思っていることをできるよう助けるようにします。
その1 相手がしたいと思っていることをできるよう助ける。
その2 相手に達成感を実感させる。
これだけで他者の行動を改善できるようになります。

組織の中の当たり前の行動の中に、よい行動を埋め込むようにするのです。
・朝、オフィスに入ったら、一番近くにいる相手ににっこりする。
・パソコンを閉じたら、深呼吸をして、気分転換をする。
・トイレから戻るときには、水を一口飲む。
・誰かにサポートを受けたら、ありがとうを言う。
・質問をされたら、よい返事を心がけ、相手をティーアップする。

たとえ、1人でも行動をよくすることで、組織にその力が徐々に伝染します。

人はストレスを感じているときや、時間に追われているとき、心に余裕がないときは、大きな変化は起こせない。チャレンジしてみようという気すら起こらない。 私はそのような状況にある人々にとって、タイニー・ハビットこそがうまく機能する唯一の現実的な道だ。

世界を行動デザインの視点から俯瞰し、「行動とは『解決可能な課題』なのだ」と捉えると、可能性の領域は家庭や職場よりはるか遠くまで広がります。  行動デザインの原則を理解し、タイニー・ハビットの手法と変化のスキルを研ぎ澄ましておけば、どれほど難しい課題に直面しても、それを解決できるヒントが見つかります。あとは小さな一歩を踏み出し、それを習慣化すればよいのです。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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