共感できる量には限度があり、ゼロサム状態になるから注意が必要??

共感できる量には限度があり、ゼロサム状態になる。(アダム・ウェイツ)

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共感力には限界がある?

ハーバード・ビジネス・レビュー[EIシリーズ] 共感力の中のノースウェスタン大学ケロッグ・スクール・オブ・マネジメント准教授のアダム・ウェイツの共感力の話が興味深かったので、今日はこちらを紹介します。アダム・ウェイツは共感力には限界があり、注意を払う必要があると述べています。最近では、組織内で共感することを求められますが、これを使いすぎると別の場所で共感できなくなってしまうのです。

共感はエネルギーや認知資源を消耗するだけではなく、共感そのものも使い果たされてしまう。配偶者に多くの共感を向ければ、自分の母親に向ける分は少なくなる。母親に多くの共感を向ければ、その分、自分の息子に向ける共感は少なくなる。家、族、友人、顧客、同僚など誰に向けるにしても、共感的であろうと望む気持ちとそれに必要な労力は、供給できる量が限られているものなのだ。

美容師、消防士、電話オペレーターなど、さまざまな分野で働く844人を対象にした調査によると、職場および自宅における共感的な行動と、それに関連するトレードオフを調べたところ、共感力の限界が明らかになりました。職場で「同僚の問題や心配事を聞くのに時間を割く」「仕事量の多い人を助ける」などの行動を取ると報告した人々は、あまり家族と気持ちを通じ合わせられないと感じていたのです。彼らは仕事上の要求により感情面で疲れ果て、負担を感じていました。

共感力のゼロサム問題は、別のタイプのトレードオフにつながる場合もあるとアダム・ウェイツは指摘します。内輪の人間(たとえば、自分のチームや社内の人々)への共感は、じかに接する集団の外にいる人々への共感を制限することがあるのです。親しい友人や同僚に多くの時間と労力を割くことで、他の人に共感できなくなるリスクが高まります。利用可能な共感力のほとんどを内輪の人間のために使い尽くすため、集団内部の絆は強まりますが、外部の人々とつながりたいという気持ちが薄れてしまうのです。身内に共感しすぎると、新たな出会いの可能性を狭めてしまうので、必要以上に共感するのはやめたほうがよさそうです。

 

休むことで共感力が高まる?

アダム・ウェイツとニコラス・エブリー教授は2つの被験者グループを使って、研究を行いました。被験者たちがあるテロリスト集団(非常に悪いイメージがまとわりつく外部集団)をどのように扱うかを調べたました。片方のグループの被験者はそれぞれ一人の友人(最も共感できる関係にある)とともに座っており、もう片方のグループの被験者は見知らぬ人と同席してもらいました。テロリストについて説明した後、テロリストを人間以下だと描写する発言をどれくらい支持するか、テロリストを水責めの拷問にかけることをどれだけ許容するか、テロリストを罰するために電気ショックの電圧をどれくらいまで上げようと思うかと被験者に尋ねましたた。

その結果は驚くべきものでした。前者のグループは、友人が一緒に部屋にいただけで、拷問や人間性はく奪に対してかなり積極的になっていたのです。この研究は極端なケースを示していますが、組織についても同じ原理が当てはまるとアダム・ウェイツは述べています。

自社の従業員や同僚に対する同情は、他者への攻撃的反応を引き起こすことがある。もっと多いのが、身内で固まって、外部者に共感を向けようとしなくなることだ。 それにより従業員たちは、部門や組織を超えた建設的なコラボレーションの機会に関心を示さなくなることもある。

では、どうすれば、組織の共感力を外部に向けられるようになるのでしょうか?アダムはリーダーが社員全員の力を借りるべきだと言います。1人の人間の共感力には限りがありますが、従業員全体をマネジメントすれば制約が少なくなるというのです。

また、最近の研究によると、休憩をたくさん取った従業員は、休憩後に他者に対してより共感できることがわかりました。確かに忙しすぎる職場では、共感力が落ちることを私もなんども経験してきました。自分のパフォーマンスだけでなく、チーム力を高めるためにも休憩することが大切であることを今回、本書から学べました。

人間は自分が回復したと感じる時に、他者が必要とするものを理解しそれに応えるという、要求の厳しい課題をよりよく遂行できるものである。 人々に話しかけることどのように感じるか、何が必要か、どう考えるかと尋ねることは単純なことと思われるかもしれないが、そのほうが間違いが少なく、従業員や組織にとっての負担も軽くなる。なぜなら、際限なく憶測を続ける代わりに、実際の情報を集めればいいからである。それが共感するための賢い方法である。

休むことは生産性を高めるだけでなく、共感力にも良い影響を及ぼします。エネルギーが高まれば、余裕が生まれ、コミュニケーションも改善され、共感力を取り戻すことができるのです。

まとめ

共感することを組織で求められるようになりましたが、共感力には限界があることがわかりました。共感力を消耗させないために、リーダーは社員の共感力を上手にマネジメントする必要があります。休憩をしっかりととると共感力が高まります。組織の生産性を高めるためには、休憩が欠かせないことを覚えておきましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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