課題を解決したければ、右脳と左脳を行き来しよう!右脳思考(内田和成)の書評

右脳思考
内田和成
東洋経済新報社

本書の要約

人は感情の生き物なので、ロジカルだけで考えるとすぐに壁にぶち当たります。「観・感・勘」の3カンを意識し、何か変だと感じたら、そこに行動の障壁があると考えるようにしましょう。右脳と左脳を行き来することで、正しい答えが見つかるようになります。

課題解決のための3つのステージ

インプットステージとアウトプットステージでは右脳がきわめて重要な役割を果たす。一方で、検討・分析ステージでは左脳で考えるロジカルシンキングがカギを握る。頭の使い方としては、右脳から始まり、左脳を使い、右脳に戻るという形になる。つまり、左脳を右脳でサンドイッチする形になる。(内田和成)

仕事で問題が起きたときには、仮説をたて、その真因を明らかにして、解決策を策定・実行していきます。経営コンサルタントの内田和成氏は課題を解決する際には、次の3つのステージに分けて考える、右脳と左脳の両方を使うべきだと言います。

●インプットステージ(第1ステージ)👉問題発見は右脳が出発点
「そもそもなぜ問題が起こったのか」を調査し、「そこにはどんな課題があるのか」を整理します。現状分析や情報収集、あるいは課題に対する仮説づくりを行います。

この最初のステージでは、従業員の士気に課題があったり、あるいは顧客の行動に疑問を感じたりと、個人の感覚が出発点となるケースが多くなると内田氏は指摘します。「観・感・勘」の3カンを使うことで、適切な仮説が立てられるようになります。

「観・感・勘」の3カン
・観察することが観
・そこから何か感じ取ることの感
・最後に「なんかおかしい」あるいは「これは面白い」と働く勘。

●検討・分析ステージ(第2ステージ)👉解決案は左脳で考える。
インプットした中から何が真の課題かを見出し、それに対する解決策を策定するプロセスが第2ステージになります。このステージは分析や考察、あるいは考えた戦略・代替案(解決策)の評価などが骨子になります。このステージでは左脳を活用し、ロジカルシンキングをすることが重要になります。

課題の整理のために行なわれる業務は、たとえば本当の課題は何かを抽出するためのデータ分析、複数存在する課題を大小関係や関連づけを考えて構造化する、あるいは全体に課題をもれなくカバーできているかのチェックするMECEがメイン業務になります。

●アウトプットステージ(第3ステージ)👉正しい意思決定
前のステージで抽出された代替案を採用するか否かを決める、あるいは複数ある代替え案のなかから、どれを選ぶのかを決めていきます。

意思決定はきわめて右脳的な判断によって決める。もちろん、検討・分析ステージで合理的に導き出された結論に心から納得できるのであれば、決めるのは簡単だ。ところが往々にして、出てきた答えをそのまま実行するには勇気が必要であるとか、逆にしっくりこないとか、違った選択肢を選びたいとか、悩ましい問題がさまざま発生する。それをエイヤーと決めるのは人間の右脳である。

その決定に基づいて、「組織内にどう伝えるべきか」「外部の顧客や取引先にどう伝えていくか」を考え、人を動かすために、相手の感情を意識した右脳型のコミュニケーションを行う必要があります。

右脳と左脳を行き来しよう!

一連のプロセス(3つのステージ)を経て、人ははじめて行動に移す。簡単に言ってしまえば、最初に右脳を働かせ、次に左脳で考え、最後に再び右脳を活用するというプロセスを踏むことで、物事が前に進む。いわば真ん中の2番目のステージで中心的役割を担う左脳の思考法を、1番目と3番目のステージで使う右脳がサンドイッチする構造になっている。

意見を決定し、実行に移していくのは右脳が中心になります。実行段階においては、右脳が大切になり、自分や相手の感情を意識します。人は理屈では動かず、感情で動くという特性があります。

人を動かしたり、組織を動かしたりするためには、まず相手がロジックを理解する以上に、感覚で納得する必要があります。相手に「腹落ち」してもらわなければ、行動が伴わなず、結果を出すことはできません。

相手に腹落ちしてもらうためには、まず相手に実行させたいと考えていることに対して、右脳を使って、相手がどう思っているのかを理解する必要があります、納得していない場合には、左脳で考えるようにします。何が引っかかっているのか?あるいは、どうしたら納得してもらえるのか?を考え、ストーリーを整理します。次に実際に納得してもらうためには、彼らの感情(右脳)に働きかける必要があります。

実際に仕事をしていくと、「理屈ではそうだけど、なんかおかしい」、あるいは「それは答えではなく、本当はこちらが答えではないか」と思うことがしばしばある。それを理屈に合わないから、採用しないというのではなく、なぜそう思うのかをあらためてよく考えてみることを勧める。そして、感覚で思ったことを、理屈で説明できたとすれば、その感覚は正しかったということになる。

人間が本来もっている、「うまく説明できないが、なぜかそう思う」という感覚を、繰り返し意思決定に取り入れることで、右脳を活用することで、意思決定の質を高められるようになります。

仕事の優先順位あるいはやり方を考えるときに、ロジカルに考えるのではなく、感情や思いつき、好き嫌いで考えることを習慣にしましょう。人はロジカルだけで考えると壁にぶち当たります。「観・感・勘」の3カンを意識し、何か変だと感じたら、そこに行動の障壁があると考えるようにしましょう。右脳と左脳を行き来することで、正しい答えが見つかるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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