組織に文化が重要な理由。ハーバード流ボス養成講座(リンダ・A.ヒル, ケント・ラインバック)の書評

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ハーバード流ボス養成講座
リンダ・A.ヒル, ケント・ラインバック
日経BPマーケティング(日本経済新聞出版)

本書の要約

進歩はマネージャー自身の仕事上の経験からしかもたらされません。挑戦と学び、観察と他者との交流、試行と奮起を重ねることで、マネージャーの能力はアップします。多彩で幅広い経験を積み、探求と試行を絶えず続けること、あるべき姿を描き、よいチーム文化を築くことで強い組織をつくれるようになります。

できるマネージャーになるための3つの課題

共通の目的とそれに関係したやりがいのあるゴールを掲げ、共同で仕事をする人々の集まり、その実現に向けて互いに約束を交わして共同で仕事をする人々の集まり、それがチームである。

時代が変化し、未来が見通せなくなり、経営の不確実性が高まっています。中間管理職であるマネージャーは経営陣と現場の板挟みになり、多くのペインを抱えています。新型コロナのパンデミック以降、オンラインミーティングが当たり前になり、チームをまとめることが以前より難しくなっています。マネージャーは結果を出すために、新たな価値観を持ち、メンバーとの対話を重ねながら、彼らの力を引き出す必要があります。

ハーバード・ビジネススクールのリーダーシップ部門主任教授のリンダ・A.ヒルと30年間にわたり数多くの組織でマネジャーと役員を務めたケント・ラインバックは、できるマネジャーの3つの課題を明らかにしています。

・自分をマネジメントする
・人脈をマネジメントする
・チームをマネジメントする

マネジャーはチームをマネジメントする前に、自分をマネジメントしなければなりません。できる上司は常にチームと組織の目的とゴールに焦点を当てながら、適切な1on1を行い、部下のモチベーションを高めています。また、結果を出すために、社内外の人脈を有効に活用しています。

できる上司はチームが必要とする資金、人材、情報、支援、その他のリソースを確保するために、正しい人脈を探し、それをしっかりと活用しています。

目的、ゴール、明快さが揃うと、グループはチームへと、つまり、メンバーの姿勢や行動に強い影響をおよぼす共同体へと進化する。だからこそ、部下たちの集まりを真のチームへと脱皮させ、結束を乱そうとする手強い力をはねのけてチームを維持していけば、あなたはマネジャーとしての影響力と手腕を高められる。

強いチームを作るために、マネージャーは以下を実践すべきです。
1.将来像を描く 
チームの全員に共通のゴールと方向性を与える。

2.チームの仕事の仕方を明確にする
望ましいチームの文化を醸成する

3.チームは個人の集まりである

チームと人材、両方をマネジメントする

4.日々の業務を通したマネジメント

自分のマネジメント、人脈のマネジメント、チームのマネジメントを効果的に行う。準備、実行、反省の3つのステップでビジネスを捉える。

組織に文化が必要な理由

健全な文化がなければ、チームメンバーは仕事への責任を引き受けたり、仕事とその目的やゴールのために献身したりしないだろう。文化をチームのインフラととらえてみよう。

人材の集まりを強いチームに変えるためには、メンバーの役割、仕事のルール、チーム文化、部下へのフィードバックを行なっています。リーダーはメンバーと共によいチーム文化を醸成すべきです。組織の文化が病んでいると、メンバーの行動がバラバラになり、規律ある行動が生まれません。

理想のあるべき姿を実現するためには、メンバーを信頼でつなぐことが重要で、そのためにはよい文化が欠かせません。信頼とは周りのメンバーが、「正しい行いをするはずだ」と相手を当てにすることを意味します。何が”正しい行い”であるかは、それぞれの集団の文化によって決まることを忘れないようにしましょう。

適切な文化があると、メンバー間の対立が減り、結果、生産性が高まります。

適切な文化があると、グループの期待内容、理念、慣習などをもとに、みんなのモチベーションを引き出せる。いわば、「上司の意向だからこれをするように」と命令する代わりに、「チームが期待しているからこうするように」と言葉をかけるのだ。上司と部下のやりとりをとおして仕事を形だけ前に進めるのでなく、真のマネジメントを徹底できるかどうかは、文化にかかっている。

著者は以下の4つの要素がチーム文化を築くために必要だと言います。

1. 各人の役割を明確にする
誰が何をするのか。それぞれの役割はチームの目的とゴールにどう貢献するのか。

2.仕事のやり方を明確にする
仕事の仕組み、慣習、プロセス。

3.メンバー間の仕事のやり方を明確にする
メンバーどうしのやりとりの処方箋や指針となる、協働の理念と規範。

4.進捗を明確にする
仕事の成果はどうか、チームとしてどれくらいうまく機能しているか。

進歩はマネージャー自身の仕事上の経験からしかもたらされません。挑戦と学び、観察と他者との交流、試行と奮起を重ねることで、マネージャーの能力はアップします。多彩で幅広い経験を積み、探求と試行を絶えず続けること、あるべき姿を描き、よいチーム文化を築くことで強い組織をつくれるようになります。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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