グーグルを成功に導いた「集合天才」のリーダーシップ(リンダ・A・ヒル他)の書評

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グーグルを成功に導いた「集合天才」のリーダーシップ
リンダ・A・ヒル,グレッグ・ブランドー, エミリー・トゥルーラブ, ケント・ラインバック
ダイヤモンド社

本書の要約

偉大なイノベーションリーダーは、社員がイノベーションを起こす環境をつくることが自分の役割だと認識している人です。集合天才を活用することが次世代のイノベーションリーダーの育成に不可欠であり、組織および実際の人材管理にこの認識を浸透させていく必要があります。

集合天才が組織に必要な理由

「集合天才」とは一人の天才の出現に頼らず、組織のメンバーの才能を集めることでよい結果を出そうという考え方だ。いまイノベーションを継続的に生み出せる革新的な組織に求められているのは、こうした集合天才を創造できるリーダーである。そのリーダーシップに求められるのは、ビジョンを示しそれに向けてメンバーを鼓舞する従来のリーダーとはまったく異なり、イノベーションが起こる舞台の設定役としての役割だ。(リンダ・A・ヒル,グレッグ・ブランドー, エミリー・トゥルーラブ, ケント・ラインバック)

Googleが短期間に成長できた理由の一つが、「集合天才」という考えを導入したことです。英語の”Collective genius”を日本語で表現したのが集合天才です。ゼネラル・エレクトリックの創始者エジソンは、一人の天才の出現を待つのではなく、一人ひとりの才能を集めることでよい結果を出すことを考え、数々の有用な発明を生み出しました。

集合天才として機能するためには、個々の才能や蓄積された情報が有機的に結びつくことが必要であり、そのための環境やプロセスの構築が必要とされています。

Googleのバイスプレジデントだったビル・コフランは、ひとりでにイノベーションを生み出し続ける組織の構築を目指しました。同社は豊かなリソースを持っていたにもかかわらず、同社にはイノベーションリーダーが不足していたのです。

コフランは自社のイノベーション能力を拡大し維持していくためにどうしても欠かせないのが、集合天才でチームを強くするリーダーシップだと気づきました。彼はリーダーの役割を「新しいアイデアを生み出す意欲があり、また、実際に生み出せる共同体をつくることだ」と定義し、リーダーの育成を始めたのです。

才能豊かな人材が集まる企業でリーダーとして行動し、組織をつくり上げていくうえで、リーダーはメンバーから「天才の片鱗」を引き出し、集合天才と呼ばれるイノベーションにまとめ上げることもできるだろう。問題は「いかにイノベーションを引き起こすか」なのだ。 ではなく、むしろ「イノベーションが起こる舞台をいかに設定するか」 なのだ。

イノベーションが生まれる時には、さまざまな人間の協働が欠かせません。Biz、Tech、Creativeなど多岐にわたる人材のスキルが掛け合わせることで、多種多様なアイデアが生み出せます。お互いのフィードバックやフィードフォワードから、アイデアが進化します。

イノベーションには、アイデアの自由な発現と十分な討論が欠かせません。リーダーは組織の緊張感をうまくコントロールして、メンバーが互いの天分をすすんで共有するほど協力的でありながら、アイデアを改善し新たな思考をもたらすような対立的な環境をつくり出さなければならないのです。

イノベーションでは、よりよい新たな選択肢を得るために、アイデアの統合が必要になります。AとBという選択肢が両立不可能に見える場合でさえ、二つを組み合わせることで、新たな解決策が見つかります。

また、リーダーには忍耐力も求められます、リーダーは多様なメンバーから素晴らしいアイデアが生まれてくるまで、忍耐強く待たなければなりません。リーダーは、社員に切迫感を持たせ、条件を明確に定めて、 実際に統合的な意思決定が下せるようにしなければなりません。

イノベーションを起こせるリーダーとは?

イノベーションを続ける組織では共同体意識を育まなければならない。

メンバーの意欲を高めるためには次の3つの要素が欠かせません。
・目的(パーパス)・・・チームの存在理由
・価値の共有(シェアド・バリュー)・・・チームの誰もが重要だと合意するもの
・取り組みのルール・・・互いにぶつかり合い、問題について考える方法

有望なアイデアや選択肢が生まれるためには、才能を引き出すことが欠かせません。これらのアイデアや選択肢を練り上げ、その中から有用な新しい解決法を選び出すには、才能を活用することがポイントになあります。

これまでにない問題解決のために肝要なのは、各メンバーから「天才の片鱗」を引き出すこと、それらを集合天才にまとまるよう活用することの2つである。

著者たちの研究によるとでは、イノベーションにおける6つの2項対立が特定されました。リーダーにとっての課題は、各対立項の間でたえず調整ができるよう、組織を支援することです。
・個人の特定とグループの特定
・支援と対立
・実験及び学習の促進と業績
・即興性の奨励と制度
・忍耐と切迫感
・ボトムアップの取り組みの奨励とトップダウンの介入

リーダーシップの従来のイメージは、対立を好まずコントロールが利かなくなることを嫌い、また個人的な好みに左右されてしまいます。これを乗り越え、メンバーの能力を上手に掛け合わせることが重要なのです。イノベーションのプロセスは複雑で、2項対立を上手にコントロールする必要があります。

イノベーションを育むには意欲が必要であるが、それだけでは十分ではない。企業自体にもイノベーション能力が必要とされる。そのために「創造的摩擦」「創造的敏捷性」「創造的決断」という3つのケイパビリティを開発しなければならない。

・創造的摩擦
対話や議論を通じて、アイデアを生み出す能力。知的多様性と知的対立という2つの要素が必要。

・創造的敏捷性
迅速な追求、見直し、調整を通じてテストし、実験する能力

・創造的決断
異なるアイデアを組み合わせて、統合的に意思決定を行う能力

偉大なイノベーションリーダーは、社員がイノベーションを起こす環境をつくることが自分の役割だと認識している人です。集合天才を活用することが次世代のイノベーションリーダーの育成に不可欠であり、組織および実際の人材管理にこの認識を浸透させていく必要があります。


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