ブランド 「自分の価値」を見つける48の心得
岩田松雄
アスコム
本書の要約
企業のミッションが徹底されることで、商品やサービスの価値が高まります。それが顧客にに伝わることで、ブランド化します。ミッションはブランドと表裏になっていると捉えることで、組織を強化できます。ブランドが強化されることで、働く人々と結びつき、最終的にはそこで働く人材、働いていた職歴そのものが高い価値を帯びていくのです。
企業をブランド化することの重要性
「ブランド化する」ということは、企業にとってきわめて重要なことです。その企業の使命や価値感を多くの人に知ってもらうことで、働き手は「見られている」ことをつねに意識し、自分たちを高める努力を怠らず、「自分たちらしさ」をさらに追求していくようになります。 こうなるとブランド価値はさらに高まる。まさに好循環を創りだすのです。これは個人も同じです。(岩田松雄)
元スターバックスコーヒージャパン代表取締役最高責任者の岩田松雄氏が、そうすれば強力なブランドを作れるかを紐解いたのが、本書ブランド 「自分の価値」を見つける48の心得です。
パーパス、ミッションのある人が、自分の使命や価値感に従って行動し、人々に知ってもらうことで、ブランド価値が高まります。企業でも個人でも人に理解し、応援してもらうことで、自分たちの存在感を高められます。私たちはブランドを形成することに力を注がなければなりません。
ミッションとブランドは表裏の関係である。
ミッションとブランドは表裏、まさに「一対で事を成す」と著者は指摘します。ミッションを達成しようと努力し、それを発信していくことで人々に伝わり、ブランドとして認知されていくのです。
企業のミッションと、人々が認知しているブランドが一致していなければ、ミッションの実現は難しくなるはずです。
スターバックスの経営陣、社員、パートナーたちは、 「人々の心を豊かで活力あるものにするために── ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」 というミッションに基づいて、行動していると言います。
・質の高いコーヒーの提供
・素敵な空間を維持
・お客様の想像を超えた感動的な接客
スターバックスのミションを多くの顧客は知らないはずですが、スターバックスの経験の積み重ねによって、多くの人たちがファンになっています。居心地のよいサードプレイスを楽しむ学生、ビジネスパーソンがいつもスターバックスに集っています。
顧客がスターバックスに行く理由は、コーヒーを飲むだけでなく、サードプレイスという居心地のよい場所で個々の時間を楽しんでいます。スターバックスは多くの人の顧客体験を高めることで、唯一無二のブランドになっています。
よく似た志、思いを抱いた人たちが、自発的に旗を掲げ、メッセージを発信することで初めて互いに知り合い、響き合う。力を合わせることも、一緒にビジネスをしたり社会貢献をしたりすることもできる。ミッションを鮮明にし、発信し、人々を惹きつける。そこで大きな共感が生まれ、さらに人々を惹きつけてブランド化していくのです。
何のために働いているのか、何のために生きているのか、その志を持つ企業や人だけが、一流のブランドを確立できるのです。
一流のブランド人になる人知っていおきたい5つのポイントと48の心得
「世のため、人のため」という、本来持つべきミッションがあり、実現するために愚直に行動をすることで、その志が外見に滲み出して現れてくるものが、私の考える「ブランド」です。ただ外見だけを整えても意味がありません。ブランドとはどう見せるかではなく、ミッションを実行して”結果として滲み出てくるもの”なのです。
著者はミッションの重要性を指摘した上で、「一流のブランド人になる人知っていおきたい5つのポイント」と「心得48」を紹介しています。
■5つのポイント
・中身のない誇大広告は反感を買う。
・「セルフブランディング」では人を惹きつけられない。
・ミッションと相反するブランディングは、やがて破綻する。
・「〇〇会社の☓☓さん」はブランドではない。
→自分のミッションを発信することで、自分らしい新たなブランドが手に入ります。
・「ブランド」は管理しなければならない。
→他人にどう見えているかをコントロールする。
48の心得の中から以下の3つを紹介したいと思います。
心得8 「ジョハリの窓」の開放の窓を広げよ。
ジョハリの窓
第1の窓…開放された窓(自分も、他人も、知っている自分)
→ブランドとして認知されている。
第2の窓…隠された窓(自分だけが知っていて、他人は知らない自分)
→アピールする必要があること。
第3の窓…盲点の窓(自分は知らない、他人だけが知っている自分)
→他人しか知らない自分のため、他者からのフィードバックが必要
第4の窓…未知の窓(自分も、他人も、知らない自分)
→未見の我を掘り起こすために、新しいことにチャレンジします。勇気を持って新しい分野に踏み込むことで、新たな自分を発見できます。
自分のミッションを愚直に達成しようと努力していれば、それが周りに徐々に知られていき、この第1の窓が大きくなり、自分のブランドが強化されます。 自分なりにミッションを持っていても、それが他人に伝わっていなければ、自分をブランド化できません(第2の窓)。また、他人から見たあなたの素敵な部分も、自分で気づいていなければ、それをブランド化させることはできません(第3の窓)。
ジョハリの「第2の窓」と「第3の窓」。自分自身のイメージと、他者があなたに抱くイメージを一体化させていくと、素晴らしいブランドができあがっていくのです。
心得14 感動経験がブランドがつくる。
私たちは何のために働いているのか?自分たちは何のために存在しているのか?という自社のミッションを明らかに経営者自らがミッションの実現を目指すべきです。結果、働く人たち一人一人がミッションを考え、行動するようになります。
商品やサービスだけでは、なかなか差別化しにくい現代社会において、顧客経験を高めることがブランド強化につながります。ミッションを徹底し、従業員のeNPSを高めることで、彼らの働き方が変わります。従業員の満足度をアップさせることで、顧客のNPSもアップするのです。
心得24 人に与える「感動の面積」を増やしなさい。
従業員が顧客体験を高めること、その感動経験を積み重ねることがブランドを強くします。「感動させた人の数」と「ひとり当たりに与えた感動の量」を掛け合わせた面積を大きくすることで、ブランドが強化されます。
本書のアドバイスを実践することで、「使命感を持った自分」を形づくれます。人から応援されるブランド人になることで、ビジネスで結果を出せるようになります。
企業のミッションが徹底されることで、商品やサービスの価値が高まります。それが顧客にに伝わることで、ブランド化します。ミッションはブランドと表裏になっていると捉えることで、組織を強化できます。ブランドが強化されることで、働く人々と結びつき、最終的にはそこで働く人材、働いていた職歴そのものが高い価値を帯びていくのです。
スターバックスはミッションを実現し、商品やサービスの価値を高めています。スターバックスはミッションのもと、社員やパートナーとともにブランドを強化していったのです。
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