一流投資家が人生で一番大切にしていること
ウィリアム・グリーン
早川書房
本書の要約
投資で成功するためには一貫した目標を持つことが大切です。投資や人生において、試行錯誤や結果の不確実性は避けられません。しかし、ゲームには上手なプレイ方法と下手なプレイ方法が存在することを知っておくと良いでしょう。ウォーレン・バフェットの手法を徹底的にクローニングすることで、私たちは成功を手にできます。
バフェットの偉大な投資法をクローニングしよう!
忍耐をもって厳しく選別し、買わない決断ができる。市場の気まぐれな上下の振れを活用する。企業の本質価値よりはるかに安い株を買う。「自分が理解できる範囲」に収まる企業に投資する。むずかしすぎるものは避ける。値下がりリスクのわりに値上がり期待が甚大な、値付けのずれた株を少数選んで投資する。(ウィリアム・グリーン)
ウォーレン・バフェットは、バークシャー・ハサウェイ社の会長兼CEOであり、投資界で非常に有名な人物です。彼の投資手法や成功の秘訣は数多くの本やメディアで紹介されており、多くの人々に影響を与えています。
バフェットの投資手法は、長期的な視点と価値投資に基づいています。彼は企業の内在価値を重視し、割安な株式を見極めることで、安定したリターンを上げてきました。その結果、彼は20歳の時から44年間にわたって年平均31パーセントのリターンを出し続けています。
ジャーナリストのウィリアム・グリーンは、バフェットとパートナーのチャーリー・マンガーなど40人を超えるトップ投資家のインタビューを行い、彼らの投資スタイルや生き様を明らかにしてくれました。圧倒的に成功する投資家の手法を学び、それを真似ることで、私たちも投資や人生で成功する確率を高められます。
投資で成功するためには一貫した目標を持つことが大切です。投資や人生において、試行錯誤や結果の不確実性は避けられません。しかし、ゲームには上手なプレイ方法と下手なプレイ方法が存在することを知っておくと良いでしょう。成功を追求するためには、失敗から学び、次の一手に活かすことが大切です。
今日はバフェットの手法を徹底的にクローニングし、成功したインドの投資家のモニッシュ・パブライを紹介します。著者はパブライの徹底的なクローニングこそが、成功の秘訣だと指摘します。
実際、パブライは長年にわたりバフェットの著作を熟読し、20年以上もバークシャー・ハサウェイの株主総会に足を運びました。そして、その情熱が実を結び、バフェットとマンガーとの深い友情を築くこととなります。
バフェットのバリュー投資はベンジャミン・グレアムの3つの手法を真似ています。
①株を買う際には、単なる株券ではなく、成長の可能性のある企業の一部を買う意識を持つことが重要です。つまり、投機を目的とせず、将来的な成長が見込まれる企業に投資することが大切です。
②株式市場を理解する上で、株価が企業の本質的な価値を必ずしも反映していないことを認識する必要があります。株式市場は「投票数を数える機械」とされており、株価が一時的に乱高下することがあることを知るべきです。そのため、投資判断をする際には、株価だけでなく企業の実態や将来性を総合的に判断することが重要です。
③株式投資においては、自分が控えめに見積もった価値よりもさらに低い価格で取引されている株を購入することが有益です。この差をグレアムは「安全域」と呼び、投資家はできるだけ安全域の範囲内で投資を行うことが求められます。安全域を持つことで、株価の変動によるリスクを最小限に抑えることができます。
以上3つののポイントを踏まえると、株式投資においては、成長の見込まれる企業を選び、株価だけでなく企業の実態や将来性を判断し、安全域を持つことが重要であることがわかります。その上で投資した銘柄が上がることを忍耐強く待つのです。
モニッシュ・パブライの成功の秘訣は徹底的なクローニング
他人から学ぶときには、あまり考えすぎないほうがいい。自分が最高と思ったものをそのまま使わせてもらうことだ。(ウォーレン・バフェット)
パブライは、バフェットの方法を取り入れ、限られた数の銘柄に集中的に投資する戦略を実践しました。彼は10の銘柄で十分な分散が得られると感じ、自分の選択眼を大切にしたのです。事実、多くの銘柄を速やかに見て判断し、ほとんど何も買わないのがパブライのスタイルで、この高速選別技術はバフェットに学びました。
パブライは、バフェットの株への投資基準を考えると言います。その理由がわかれば、即座に買わない決断をします。バフェットが指摘している通り、「大成功する人は、ほぼ全に対してしない決断ができる」というのがその特徴です。
バフェットの投資の原理は、多くの投資家にとって貴重な示唆を提供します。彼は限定された銘柄への集中投資を通じて、真に価値ある企業を選定します。バフェットの投資の魔法は、迅速な選別力と冷静な判断力に宿っています。 成功の道は「しないこと」にあるとバフェットは示しています。
パブライは、バフェットの投資の教えから、効果的な銘柄の選別のための明確な基準を習得しました。 まず、バフェットの「基本的な掟」を取り入れ、自分が完全に理解できる範囲の企業だけを投資対象としています。パブライが投資先を選ぶ際に自問自答する「私はこの企業の本質を理解しているか」は、彼の選別の中心に位置しています。
次に、実際の価値よりも大きく割安な銘柄を探すことに注力します。彼は、複雑な分析ツールやエクセルを駆使することなく、明確に安いとすぐに判断できるものだけに投資対象を絞っています。
また、バフェットとマンガーの影響を受け、単に安価な企業よりも、良質な企業に注目して投資を行っています。企業の品質、その経営陣の誠実さや能力、そして持続的な競争力が彼の評価基準となっています。グレアムが自動車保険大手のガイコ社への投資で成功を収めたエピソード(ガイコ社は割安だけでなく、素晴らしい会社であった)も、パブライにとっての学びの一つでした。
最後に、バフェットが常に強調している「財務諸表のシンプルさ」もパブライの重要な基準です。複雑で読み取りにくい財務諸表は避けるべきで、バフェットはそれを「むずかしすぎる」と分類します。パブライもこの原則を守り、難解な銘柄からは手を引く姿勢を持っています。
クローニングに関する6つの備忘録
自分より優れている人とつきあいなさい。自分を高めるしかなくなるから。(ウォーレン・バフェット)
バフェットの人間関係に対する考え方は独特であり、非常に合理的です。彼は自分の時間を大事にすること、他人の目を気にしないことをルールにしています。
彼は人との初対面の後、内心で「この人との関係を通じて、自分は成長できるのか?」と問いかけます。もし答えが否定的であった場合、彼はその人との関係を深めることを避けると言います。また、ランチやディナーの際も、その経験が楽しめたかどうかを基準に、今後その人との食事を重ねるかどうかを決めると言います。
これは、単に食事の楽しさだけでなく、その人とのコミュニケーションが自分の成長や気分の向上に寄与するかどうか、という基準を意味しています。バフェットはさらに、多くの人がこの「バフェット基準」に合格することは難しいともコメントしています。
バフェット氏の投資哲学において複利は中心的な役割を果たしています。複利の原理は、利息や利益がその元金に追加され、次回からはその合計額に対して再び利息や利益がつくというもの。アインシュタインが「人類最大の発明」とまで称えたこの原理は、確かに魔法のような効果を持っています。
しかし、その力を最大限に引き出すためには、時間と継続的な取り組みが欠かせません。一時的な利益を求めるのではなく、長期的な視野で複利を活用し続けることが求められます。その結果、複利の力が如実に現れ、資産や知識、経験が増えていくのです。
そして、この複利の原理は金融の世界だけに留まりません。例えば、人間関係やコミュニケーションの中にも複利の影響は見られます。正直さや信頼は、相手にもその良さが伝わり、より良好な関係を築く土台となるのです。
みんな格好つけたがるんだよね。プライドが高いというか。でも偉大な模倣者を目指すのなら、そんなものは捨てなくちゃ。(モニッシュ・パブライ)
要するに、パブライの投資の成功の秘訣は、シンプルで理解しやすいものに集中することです。彼はバフェットの教えを基盤に、複雑さを避け、明確な基準での投資を続けています。パブライはバフェットのクローンに徹することで、巨大な成功を手に入れたのです。
成功したければ、理想の人物を見つけ、彼らの思考、行動、習慣を徹底的にクローニングすることです。著者はパブライとの対話を通じて、以下の備忘録を作成します。
1、クローニングは徹底的に。
2、自分より優れた人とつきあう。
3、人生はゲームと思おう。生きのこり競争でも死を賭けた闘いでもない。
4、自分に正直に。したくないこと、自分が正しいと思わないことはしない。
5、内なる採点表に従う。周りがどう思うかを気にしない。外部の評価にとらわれない。
6、シンプルな考えを取り入れ、真剣に取り組む。
本書は、成功した投資家たちの哲学やライフスタイルに焦点を当てています。彼らの成功の秘訣や考え方を学ぶことで、読者は自身の投資戦略に活かすことができます。また、金融的な成功だけでなく、豊かで充実した人生を送るためのヒントやアドバイスが数多く提供されています。
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