グリーン・エクササイズでうつが改善?


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スタンフォード式人生を変える運動の科学
著者:ケリー・マクゴニガル
出版社:大和書房

本書の要約

自然の中で行う運動であるグリーン・エクササイズによって、人の気持ちはポジティブになります。このグリーン・エクササイズがうつの改善や自殺の予防に効果があることがわかっています。心と体の健康を維持するために、このグリーン・エクササイズを習慣化しましょう。

グリーン・エクササイズを習慣化しよう!

心理学では、自然のなかでおこなう運動をグリーン・エクササイズと呼ぶ。どんな運動であれ、屋外で体を動かし始めて5分もすると、気分が明るくなり、楽観的になることがわかっている。重要なのは、たんに気分がよくなるだけでなく、日常生活の悩みごとから離れて、生命のつながりを強く感じることだ。(ケリー・マクゴニガル)

ケリー・マクゴニガルスタンフォード式人生を変える運動の科学書評を続けます。自然のなかで行う運動「グリーン・エクササイズ」によって、私たちは心と体の健康を取り戻せます。緑のなかを散歩をすると体内時計のペースが遅くなり、時間が長くなったような感じがします。植物に囲まれることで、幸せな気分を味わえます。

屋外で過すことで、苛立った気分を鎮められます。私たちが自然のなかで過ごすときに湧いてくる感情は、心配や注意散漫、気分の落ち込みなどに対する天然の解毒剤だと著者は指摘します。私の自宅の周りは緑が溢れ、毎日の散歩コースには緑豊かな神社もあり、日々「グリーンエクササイズ」を楽しんでいます。この習慣のおかげで、私の気持ちは穏やかになり、日常の嫌なことから開放されます。

韓国のソウルでは、うつ病の治療を受けている中年の患者たちが、週1回の認知行動療法ホンヌンのセラピーを受ける前に、木々や高原植物の豊富な洪陵樹木園で散歩をします。1か月後、この患者たちの6ーパーセントは寛解状態に入っていました。散歩をせずに病院内のセラピーのみを受けた患者たちとくらべて、これは3倍も高い数字になっています。オーストリアのある研究によると、自殺未遂をした患者たちに対する通常の治療に、山でのハイキングを加えた場合は、自殺念慮や絶望感が緩和されることがわかっています。

人間が1日の大半を屋内で過ごすようになったのは、人類史上で見れば、比較的最近のことです。人類はかつて、ほとんどの時間を野外で過ごしながら、自然とふれあっていました。人間の脳は自然の中で発達したため、人間の脳は自然とふれあうことを求めています。

屋外で活動的に過ごすことで、私たちは人生をより広い視野で見つめなおせます。グリーン・エクササイズを習慣化することで、人間本来の能力を取り戻せ、ポジティブに生きられるようになります。

グリーン・エクササイズを行うことで、瞑想と同様の効果を得られます。グリーン・エクササイズは瞑想とは異なり、トレーニングを積む必要はありません。スタンフォード大学のある研究では、グリーン・エクササイズの効果を脳画像化技術で実証しました。実験の参加者たちは、90分のウォーキングを行い、ひとつのグループは、キャンパスからほど近い丘陵にあるディッシュと呼ばれる景色のよいトレイルを歩きました。もうひとつのグループには、シリコンバレーでも指折りの交通量の多い道路を歩いてもらいました。

ウォーキングの前後には、参加者たちの安静時の脳の活動状態を測定するため、機能的磁気共鳴画像法(fMRl)の検査を行いました。さらに、参加者たちは精神状態について問われ、「考えるのをやめたいと思っているのに、つい自分の性格のことでくよくよしてしまう」などのコメントが、どの程度自分に当てはまるか、という質問に回答しました。

景色のよい道でウォーキングをした参加者たちは、不安が和らぎ、あまり自分のことでくよくよ悩まなくなった、と答えたのに対し、交通量の多い道でウォーキングをした参加者たちには、そのような効果は見られませんでした。

景色のよい道でウォーキングをした後の脳スキャン画像を見ると、自己批判や悲嘆と関連のある、脳梁膝下野の活動が低下していることがわかりました。うつ病の人の場合は安静時においても、この領域の活動が、うつ病ではない人とくらべて活発であることがわかっています。

グリーン・エクササイズの物凄い効果

自然に囲まれて夢中になっているとき、その人の脳はソフト・ファシネーションという状態に切り替わります。この状態になると、「いま、この瞬間」に対する意識が高まり、言語や記憶にかかわる脳のシステムが非活性化するいっぽう、感覚情報を処理する領域が活性化します。すると五感が冴えわたり、頭のなかで繰り返されるネガティブなおしゃべりが止んでしまうのです。

ある研究では、参加者たちが自然保護区を15分間歩いただけで、人生の困難な問題に立ち向かう自信が湧いてくることがわかりました。もっと長く歩いた場合は、参加者たちは以前よりも自信をもって問題に対処できると思えるようになったのです。

屋外で活動的に過ごすことによって、私たちはマインドフルネスの状態になりやすく、自分よりも大きな存在とのつながりを感じやすくなり、人間が本来もっている喜びに目覚めることができるのです。

自然とつながりたいという人間の切望はバイオフィリアと呼ばれ、生命への愛好を意味する。生物学者のエドワード・オズボーン・ウィルソンによれば、バイオフィリアは人間の生来の本能であり、人間の幸福にとって欠かせないものだ。人間の脳は、つねに自然とふれあい、自然に頼って生きるなかで発達してきた。畏怖や心の安らぎ、好奇心、旅に出たくなる気持ちなど、現代人が自然のなかで味わうさまざまな感情は、古代の人類たちが、変化のめまぐるしい複雑な環境で生き残るために役立っていた。 自然のなかで湧いてくる感情は、現代の私たちにも根づいており、そうした感情を覚えることが多いほど、心が深く満たされる。

世界中どこでも、自然との強いつながりを感じている人ほど、人生に対する満足感が大きく、活力にあふれ、しっかりとした目的意識をもち、幸福を感じています。また、自然の豊かな場所へ行くことが多い人ほど、自分の人生には価値があると感じているのです。

その効果は、良好な健康状態がもたらす効果よりも高く、幸福な結婚生活やパートナーとの暮らしがもたらす効果に匹敵します。ある研究では、2万名以上の成人を対象に、スマートフォンのGPS機能を利用して、日々の行動や気分を調査しました。その結果、参加者たちは、自然のなかで過ごしているときのほうが幸福を感じることが明らかになりました。しかし、実際には典型的なアメリ力人は93パーセントの時間を屋内で過ごしており、この状況を「自然欠乏症候群」と呼ぶ人もいます。もっと私たちは自然との触れ合いを増やすべきです。

人間は大地や土とふれあう必要があることを示す科学的証拠も存在します。ふつうの土に含まれるバクテリアには、脳の炎症を緩和する効果があります。つまり、土いじりをすることが抗うつ剤になるのです。

人類は微生物とともに進化を遂げたのであり、人間の免疫システムや脳にとって、微生物は欠かせない相手なのだ。花とミツバチが共進化し、互いに依存しているのと同じように、私たち人間と微生物が繁栄するには、互いを必要とする。

庭いじりをしたり、トレイルを走りながら泥を蹴ったり、自然のなかで深呼吸をしたりするとき、人は生物の共依存がもたらす効果を体験することができます。

自然保護を目的としたグリーン・エクササイズを行うボランティア団体である「グリーン・ジム」に参加する人は、自然の中でやりがいのある仕事ができます。長い時間をかけ、種まきや花壇を整えることで、美しい庭を創り出せます。自然を楽しみながら、仲間と作業することで、達成感を得られるだけでなく、お互いを支える感情が生まれます。

大勢の人たちが手入れにたずさわる緑地は、助け合いのネットワークを立ち上げるのにとりわけ効果的です。クロアチアのザグレブ、ミシガン州のフリント、オーストラリアのメルボルンのコミュニティ・ガーデンに関する2017年の分析によって、緑地には社会資本を構築する効果があることがわかりました。

緑地は、帰属意識や信頼や友情といった、絆を形成する資本を増やすとともに、助けが必要なときに頼りになる幅広い社会的ネットワーク、すなわち人と人をつなげる資本を増やす。

2016年のグリーン・ジムの全国評価では、定期的にボランティアをしている人びとは以前よりも楽観的になり、自分は役に立っているという実感が強まったと言います。まわりの人たちとの結びつきが強くなることで、以前よりも人生の問題にうまく対処できるようになりました。自然のなかで体をたくさん動かすことが、このような効果をもたらしていることはまちがいありません。

朝起きたときの唾液に含まれるコルチゾールの量によって測定される「起床時コルチゾール反応」は、体のエネルギーを結集させる働きがあります。起床時のコルチゾールは人を休止状態から脱け出させ、外へ出ていくように促します。

一般的に、うつ病の人や希望をなくした人は、体にとって起きる理由が見つからないかのように、起床時コルチゾール反応が低い傾向にあります。ところが、グリーン・ジムの活動によって、この分泌に変化が起こります。ボランティア活動を8週間おこなった人たちは、起床時コルチゾール反応の数値が20パーセントも上昇し、不安症やうつ病の症状にも緩和が見られました。緑地の手入れにたずさわったことで、彼らは人生を取り戻したのです。

デリー、ロンドン、アメリカのウィスコンシン州ミルウォーキーを対象とした研究では、公園やコミュニティ・ガーデンなどを含む、緑地の多い地域に住むことによって、人生の満足感が高くなり、精神的苦痛の緩和につながることがわかっています。ペンシルベニア園芸協会の人びとが、フィラデルフィア市内の200以上もの空き地のゴミを片付け、草木を植えて緑地化したところ、近隣住民のうつ病の発症率が42パーセントも減少したとのことです。

人は緑や土と触れることで、人間らしさを取り戻します。共に作業し、仲間とつながることで、精神の安定を取り戻し、うつ病すら改善できるのです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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