ジョン・テンプルトンの投資で成功するための6つの法則

一流投資家が人生で一番大切にしていること 
ウィリアム・グリーン
早川書房

本書の要約

ジョン・テンプルトンは人と群れないことを意識し、他人の視線を気にせず、我が道を貫きました。彼の成功には他の人とは異なる姿勢があったのです。彼は常に自分の信念に従い、他の人の意見や評価に左右されることなく、自分の道を歩んでいました。投資だけでなく、心の持ち方も彼独自のものでした。

ジョン・テンプルトンが投資で成功できた理由

多数派とちがうことをしないかぎり、飛びぬけた成果を出すことはできない。 (サー・ジョン・テンプルトン)

ジョン・テンプルトンは、投資界のレジェンドとしてその名を刻んでいます。彼が手がけたテンプルトン・グロース・ファンドは、1945年の設立から38年間で驚異的な年平均14.5パーセントのリターンを実現しました。この数字を具体的にイメージすると、当初10万ドルを投資していれば、その額は1700万ドルを大きく超えています。

彼が生まれたのは1921年、テネシー州ののどかな町。ここから世界的な投資家としてのキャリアをスタートさせるまでの道のりは、多くの困難や挑戦に満ちていました。しかし、彼の鋭い投資眼とリスク管理のスキル、そして持ち前の好奇心と勤勉さが彼をトップへと導きました。

ジョン・テンプルトンは人と群れないことを意識し、他人の視線を気にせず、我が道を貫いたと言います。彼の成功には他の人とは異なる姿勢があったのです。彼は常に自分の信念に従い、他の人の意見や評価に左右されることなく、自分の道を歩んでいました。

投資家のクリストファー・デービス氏によると、企業のCEOたちは投資家とは異なる心理学的特性を持っていると言われています。CEOには共感する能力や他人の考えを理解し、影響を与えられる高い感情的知性が求められます。

一方、逆張りをする投資家は常に周囲の意見を気にすることなく自分の判断をします。また、デービス氏は、多くのCEOが若い頃にチームスポーツを経験し、チームのキャプテンやリーダーの経験をしていると述べています。一方、投資家は個人競技をする傾向があると言われています。主にランニングやテニス、ゴルフ、水泳などのスポーツを好む傾向があり、アメリカンフットボールやラクロスなどのスポーツはあまり聞かれないとのことです。

本書に登場する卓越した投資家は、集団行動をせずに自由な発想を楽しんでいます。彼らは世の中を一般人とは異なる視点によって分析することで、割安な企業を発見できるのです。

市場に勝つ唯一の方法は、市場の流れから外れることだ。それは文字どおり、知的にも気質的にも並外れている人間にぴったりの仕事だ。(ウィリアム・グリーン)

テンプルトンは大恐慌時に「人が必死になって売ろうとしているときこそ、買いどきだ」という教訓を得ます。つまり、市場が混乱している時には逆に投資のチャンスがあるということです。多くの人々が恐怖や絶望に取りつかれている時こそ、投資の最大のチャンスだと考えたのです。

実際、テンプルトンは第二次世界大戦が始まった(ドイツのポーランド侵攻時)最悪のタイミングに割安株投資をスタートします。状況が悪化し、株価が下落しても彼は自分の信念のもと投資を続け、この強気の姿勢によって、莫大な富を得たのです。知力と胆力が彼に勝利を運んできてくれました。

ジョン・テンプルトンの投資で成功するための6つの法則

ジョン・テンプルトンは、投資で成功するための6つの法則を明らかにしています。
①自分の感情に用心すること 
自分の感情に左右されずに、投資する際には合理的に動き 理性を働かせます。

②自分の無知に用心する
投資を行う際には、少ない情報で投資を行うことはリスクが高いです。投資においては、情報収集が非常に重要なのです。情報収集を怠ると、市場のトレンドや企業の業績など重要な要素を見逃す可能性があります。その結果、投資の判断が誤ってしまい、損失を被る可能性が高まります。

③間違うことを前提に分散投資を行う。

④忍耐強さ

⑤掘出物を見つけるいちばんよい方法は、過去5年間で最もひどい成績の資産について調べ、悪い原因が一時的なのか永続的なのかを見きわめること。
多くの人々は、既に注目されている投資先や成績が良い商品に目が向きがちです。高く評価されている株や急成長する国、投資家の間で注目の商品など、すでに明るい未来が価格に織り込まれている場合が多いのです。そのため、これらの投資先はリスクが高くなることもあります。

しかし、ジョン・テンプルトンのような孤高の投資家は異なるアプローチをとります。彼は「市場で最も注目されていない場所はどこか」と考え、その暗がりの部分を探し求めました。なぜなら、そこには集団の過度な悲観が価格に反映され、未来のポテンシャルが見落とされている可能性があるからです。

⑥流行を追わない
1939年、多くの人々が敬遠する割安株にテンプルトンは大胆にも投資をしました。逆に1999年には、多くの投資家たちが熱狂的に追い求めたITバブルの中の高騰株を彼は冷静に空売りしました。テンプルトンの投資スタイルは、時代が変わっても彼の基本的な哲学、すなわち市場の群衆の動きとは逆の行動を取るという姿勢が一貫していたことを示しています。

人生で本当に重要なこととは?

意義のある仕事で忙しくしているときのほうが、暇なときよりも幸せを感じるということです。(ジョン・テンプルトン)

著者がインタビューした際にテンプルトンは80歳を超えていましたが、現役生活をエンジョイしていました。彼に言わせると65歳で一律に引退するというのは間違いであって、能力があるのに「人の役に立とうとする意欲を失い、社会のお荷物になってしまう人たちを次々と生み出す」制度だとのことです。

テンプルトンは周りの人が遊んで暮らしていようと目もくれず、いまがいちばん忙しいと言っていました。自身の投資会社が数億ドルの価値で何年か前に売却された1998年当時は、慈善事業に注力し、自身の慈善団体の資金を監督したり、自らの財産を運用したり、著書を執筆したりすることに時間を費やしていました。

金持ちになっても金は倹約を心がけ、お金や時間を無駄使いすることはなかったと言います。

容赦ない自己規律は金と時間だけに向かったのではない。心の管理にもこだわった。

テンプルトンは、単なる成功者としての側面だけではなく、日常の生活においても精神的な成熟を追求する人物でした。彼は「生産的な考え」を常に保ちつつ、感謝や愛情といった「有益な感情」や「自らと他者の持つ無限の徳」を大切にして、日常の行動や判断に反映させていました。

彼の心の中には、疑念や怒り、悩み、恐れ、嫉妬といったネガティブな感情は存在しませんでした。 彼はネガティブな考えに陥った際、それを「私の人生は恵まれている」というポジティブな気持ちに変える技術を持っていました。また、障害や困難に直面した時も、それが「私にとっての祝福」と捉えることができました。

テンプルトンのこの心の持ち方は、成功とはただの外面的なものではなく、内面的な充足感や調和も重要であるという価値観を示しています。彼の投資家としての成功は、その賢明な判断や洞察力だけでなく、このような内面的な安定感や規律に基づいていたのです。 心の在り方、思考のクオリティは私たちの人生における成功や満足感に大きく影響する。

テンプルトンの生き方は、物質的な成功だけでなく、心の平和や満足感を追求する姿勢が、真の成功への道であることを示唆しています。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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