イシュー思考
和氣忠
かんき出版
イシュー思考(和氣忠)の要約
イシュー思考は、課題を的確に捉え、効率的に解決へ導く思考法です。まず「イシューの特定」で目的を明確にし、本質的な課題を抽出します。次に「イシューアナリシス」で論理的に分解し、サブイシューへ整理。ツリー構造の「イシューの体系図」を活用し、問題解決を視覚化します。これにより無駄を削減し、生産性向上や論理的思考力の強化が可能になり、ビジネスや個人の成長に役立ちます。
イシュー思考=イシューの特定とイシューアナリシスの2つのステップ
イシュー思考は ☑️ボックス問題解決に向けて本質的な課題を見極める「イシューの特定」
☑️特定したイシューを実際に解いていくために分解して体系化する「イシューアナリシス」
この二つのフェーズで構成されています。 (和氣忠)
問題解決はビジネスパーソンにとって不可欠なスキルですが、多くの人が問題の本質を見極められず、無駄な努力を重ねてしまいがちです。そこで注目したいのが、マッキンゼー出身の和氣忠氏のイシュー思考です。
本書では、問題解決の効率を飛躍的に高める「イシュー思考」の型を具体的に解説しており、ビジネスにおける課題解決を迅速に進めるための思考法を提供しています。 ビジネスの現場では、売上の低迷、業務効率の悪化、顧客満足度の低下など、解決すべき問題が次々と発生します。
しかし、多くのビジネスパーソンは目の前の問題にすぐに取り組もうとする一方で、そのアプローチが最善であるとは限りません。なぜなら、表面的な問題に対処するだけでは根本的な解決にはつながらないからです。
「イシュー思考」とは、解決すべき問題の本質を見抜き、その解決に向けて効率的に思考を進めるための枠組みです。多くの人が目の前の課題に手当たり次第に取り組んでしまいがちですが、イシュー思考ではまず「本当に取り組むべき問題なのか」を見極めることから始めます。この見極めこそが、無駄な努力を減らし、生産性を高めるための第一歩となるのです。
イシューかどうかを判断する基準はシンプルです。 解決が不可能ではなく、工夫すれば対応可能である。 解決することで本質的な問題解決につながることにフォーカスする思考術が、イシュー思考なのです。
では、どのようにしてイシューを見極めれば良いのでしょうか?和氣氏はそのための2つのステップを本書で解説しています。 イシュー思考とは、課題を的確に捉え、効率的に解決へ導くための思考法です。この思考法は、大きく2つのフェーズに分かれます。
まず1つ目のフェーズは「イシューの特定」です。問題に直面した際、解決の方向性を見極めるために、目的を明確にすることが重要です。その上で、目的達成に必要な本質的な課題(イシュー)を特定します。ここで重要なのは、単に問題を列挙するのではなく、解決すべきポイントを的確に捉えることです。適切なイシューを設定することで、問題解決のプロセスがよりスムーズに進みます。
次に2つ目のフェーズが「イシューアナリシス」です。特定したイシューをさらに論理的に分解し、よりシンプルな課題(サブイシュー)の集合体へと整理していきます。このプロセスにより、問題を明確にし、効率的な分析・解釈・判断が可能になります。特に、仮説を立てながら論理的に検証を進めることが重要です。体系的に整理されたイシューの構造は、問題解決の指針となり、意思決定の精度を高める効果も期待できます。
イシュー思考は、目的を達成するために必要なすべての要素を網羅し、論理的に組み立てられた構造を基盤としています。この思考法では、単なるツリー型の分類ではなく、問題解決の全体像と個々の分析・実行タスクが体系的に整理され、視覚的に明確化される点が特徴です。
完成したイシューの体系図は、課題を細分化しながらも、それぞれの関係性や優先順位を整理し、全体の整合性を確保します。このアプローチにより、複雑な問題でも論理的に分析でき、効率的な意思決定が可能になります。特にビジネスの現場では、戦略策定や課題解決においてイシュー思考を活用することで、より精度の高い解決策を導き出すことができるでしょう。
イシューの要件は非常にシンプルで、「①解決可能であること」と「②解決した際のインパクトが大きいこと」の2つに集約されると著者は指摘します。
例えば、「海外で働くことを目指して、1年間で英語力を必要レベルまでスキルアップする」という課題は、適切な学習計画と努力によって達成可能であり(①解き得る)、達成すればキャリアの選択肢が大きく広がるため(②インパクトが大きい)、イシューとして成立します。
一方で、解決が難しすぎる問題や、解決しても影響がほとんどない課題は、イシューにはなり得ません。著者は、問題を適切に見極め、効果的なイシューを特定することが、問題解決の第一歩であると述べています。ビジネスにおいても、限られた時間やリソースを有効に活用するためには、この「イシューの見極め」が欠かせません。
さらに、イシュー思考では「仮説思考」を活用します。仮説を立てて情報を収集・検証することで、効率的に問題解決を進めることが可能になります。このプロセスを繰り返すことで、問題の本質に迫り、最終的な解決策を見出すことができるのです。
イシュー思考の6つのプロセス
まず、「目的」を言語化して明確にすることが、イシュー思考を始めるスタートラインです。そして、「目的」が満たされた状態が「目指す姿」です。「目指す姿」(状態A)に対して、現状(状態B)がそうなっていない、そのギャップが問題で、問題解決とは、いかにしてこのギャップを埋めて目指す姿(状態A)を実現するか、です。
イシュー思考を実践するためには、その全体像を理解することが重要です。この思考法は、次の6つのプロセスで構成されています。
①目的と目指す姿を言語化する
まず、解決すべき問題の目的と、最終的に到達したい理想の状態を明確にします。これにより、問題解決の方向性が定まり、無駄な分析を省くことができます。
②イシューを特定する
目的を達成するために、どの課題(イシュー)を解決すべきかを見極めます。ここでは、「解決可能であり、かつ解決することで大きなインパクトを生む」課題を選ぶことが重要です。
③イシューステートメントの言語化
特定したイシューを明確で具体的な表現に落とし込みます。このプロセスを経ることで、問題の本質がより鮮明になり、分析や解決策の方向性を明確にできます。 優れたイシューステートメントは、イシュー思考における仮説思考を促す表現であることが重要です。最初は間違っていても構わないので、具体的なイシューステートメントを描くべきだと著者は言います。
「本当にそうなのか?」「検証してみたい!」「この前提を見直すべきでは?」といった疑問や探求心を刺激する具体的な一文であることが求められます。例えば、「売上を伸ばすための施策を検討する」といった曖昧な表現ではなく、「新規顧客獲得のために、広告予算の最適化が売上成長に最も大きな影響を与えるのかを検証する」といった形で言語化することで、具体的な仮説検証が可能になります。
優れたイシューステートメントは、仮説の書き換えやアップデートのサイクルを高速化し、イシュー思考の生産性を飛躍的に向上させます。適切な表現によって、より実践的で精度の高い問題解決プロセスを実現できるのです。
④サブイシューへ展開し、イシューを体系化する
イシューをさらに細分化し、論理的な構造を持たせることで、問題の全体像を可視化します。この体系化によって、分析の効率が向上し、より的確な結論を導き出せるようになります。
⑤分析・解釈・判断する
体系化されたイシューを基に、データを収集・分析し、仮説を検証します。その結果を解釈し、合理的な判断を下します。
⑥結論版へ書き換える
最終的な結論を整理し、わかりやすい形で表現します。この段階では、問題解決のプロセスを振り返りながら、説得力のある結論へと仕上げます。
この6つのプロセスのうち、①と②が「イシューの特定」フェーズ、③~⑥が「イシューアナリシス」フェーズに該当します。イシュー思考を活用することで、問題解決の精度が向上し、より効率的かつ戦略的な意思決定が可能になります。
「根源課題」を突き止めて問題解決の糸口を見出す。
イシュー思考を活用すると、根源課題を明らかにできます。問題解決における重要ポイントを見落とさず、各課題を深く掘り下げることができます。特に大きな利点は、イシューの体系が問題解決全体を見渡せる「マップ」として機能する点です。
イシューをサブイシューに分解した後、各サブイシューを解決するために最もシンプルな課題(サブサブイシュー)まで展開します。こうすることで、イシューを頂点とする論理的なツリー構造が形成され、問題解決の体系図が完成します。
この「イシューの体系図」を活用すれば、問題解決の設計図として機能し、すべてのサブサブイシューを解決することでサブイシューが解決され、最終的に大元のイシューも解決される仕組みになります。体系的に整理されたマップをもとに進めることで、無駄なく効率的に問題を解決できます。
イシュー思考を身につけることで、ビジネスの現場において効果的かつ効率的に問題解決に取り組むことが可能になります。無駄な努力を減らし、生産性を向上させるだけでなく、問題の本質を見抜く力や論理的に解決策を導き出すスキルが身につきます。これは、業務の効率化だけでなく、個人の成長にも大きく寄与します。
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