付加価値のつくりかた(田尻望)の書評

man and woman sitting at table

付加価値のつくりかた
田尻望
かんき出版

本書の要約

組織全体がマーケットイン思考で行動し、付加価値を高めることで組織を強くできるのです。顧客の期待を超える感動体験を提供すること、バリューを出す習慣を身に付けましょう。現状維持を目指すのではなく、顧客の期待を絶えず上回る価値を提供することを組織で目指すべきです。

付加価値とは何か?

仕事で一番大切なことは付加価値をつくること。(田尻望)

キーエンス出身で経営コンサルタントの著者は、付加価値をつくることの重要性を本書で指摘します。独立後、直接顧客と触れ合うことで、「感動こそが価値の源泉」であることに気づくことで、ビジネスで結果を出せるようになったと言います。

成功している企業と成功していない企業の違いは、「付加価値のつくりかた」にあります。お客様からの感謝の言葉を増やすことができれば、自ずと売上と利益が上がるのです。このブログでも何度も指摘していますが、顧客体験を高めることが、企業の競争優位性を高めてくれるのです。

日本の家電はプロダクトに無駄な価値を付加することで、顧客離れを起こしました。顧客体験をアップできない機能をいくら追加しても意味がないのです。意味のないスペックを高めれば、コストが上がり、成長の源泉である利益を減らしてしまいます。【付加価値】と【ムダ】の違いを明確にし、ムダな開発に時間を使わないようにすべきです。

顧客に価値を感じてもらえなければ、いくらマーケティングを行なっても商品は売れません。開発費用、生産コスト、マーケティングコストが無駄になり、下手をすると赤字に陥ります。

キーエンスではプロダクトアウトではなく、徹底的な「顧客視点(マーケットイン)」でビジネスを行なっています。
・なぜお客さまが買うのか?
・本当のその商品・機能は使われているのか?
・使われたら本当に役に立つのか?
・どんな役に立つのか?
を徹底的に顧客視点で突き詰めていきます。私も広告会社時代にこのマーケットイン思考を上司やパートナー、クライアント叩き込まれました。これを身につけたことが、今の私の資産になっています。社外取締役やアドバイザーをしている企業とのミーティングで、この4つの質問を問いかけることで、正しい答えが見つかるようになります。

日本企業の新事業・新商品の成功率が低いのは、この「仮説レベルで見切り発車してしまうこと」が原因の大半を占めると考えて間違いないでしょう。そして、この新事業の失敗が、会社全体の利益を激減させているのです。

成長しているベンチャー・スタートアップは、「永遠のベータ版」という考え方で商品開発することで顧客との対話を続けています。仮説・プロトタイプをつくり、顧客からのフィードバックを受けながら、自社のプロダクトを進化させ、顧客体験をアップさせています。

付加価値経営によって強い組織がつくれるようになる!

「支払われるお金」より「価値」が大きい状態を目指す。それができれば、付加価値をつくりながら幸せも感じることができる。

私の仕事での最大の喜びはクライアントから感謝の言葉をいただくことです。「ありがとう」の言葉をいただくために本を読み、このブログ記事を書いています。顧客のあるべき姿がわかれば、そのためのインプットを行い、自分の知識と体験を深めるようにしています。自分が提供できる価値を意識し、それを進化させなければ、クライアントに飽きられてしまいます。

■価値はお客様が感じること(「価値」とは、顧客本位で定義すべき)
■付加価値=価値ー外部購入価値の視点で考えることで、優位性を手に入れられます。

付加価値は「置換価値」「リスク軽減価値」「感動価値」の3つに整理できますが、顧客を感動させる価値を最も重視すべきです。
・置換価値・・・今より便利に、今と同じ感情を味わえる価値
・リスク軽減価値・・・つらい感情を感じるリスクを減らせる価値
・感動価値・・・今より高い位置の感情を味わえる価値

価値の意味をしっかりと理解し、「なぜお客様は買うのか?」を考えることを習慣にしましょう。自社の付加価値にフォーカスすること、顧客に感謝される価値を提供できれば、社員のモチベーションも高まります。NPSが高まれば、eNPSも高まります。eNPSが高まれば、ますますよい製品やサービスを提供できるようになります。

顧客のヒアリングを通じて、その企業が困っていることを解決し、なおかつ他企業でも使える「標準品」をつくるようにします。それが世界初、業界初であれば、競合との差別化をはかれます。商品をセールスする際には、製品の機能や特長を話すのではなく、顧客目線で利点を話すようにします。

価値は顧客が決めるのですから、自社で勝手に価値を判断してはいけないのです。顧客が価値を理解し、組織の変化をイメージできれば、値段が高くても売れるようになります。付加価値ベースで値付けすることで、自社の売上と利益がアップするのです。

顧客の期待を超える感動体験を提供すること、バリューを出す習慣を身に付けましょう。現状維持を目指すのではなく、顧客の期待を絶えず上回る価値を提供することを組織で目指すべきです。

組織全体がマーケットイン思考で行動し、付加価値を高めることで組織を強くできるのです。無駄な仕事を減らし、本当に価値がある仕事をすることで、優秀な人を集めることも可能になりますし、組織の定着率が高まります。付加価値を提供することで、仕事の生産性が高まりより利益が出せる会社になれるのです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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