事業を伸ばすための原因仮説分析のための7つの質問。会社の問題の9割は「4つの武器」で解決できるの書評

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会社の問題の9割は「4つの武器」で解決できる
高松康平
朝日新聞出版

本書の要約

ビジネスを成功させるためには、「儲けること」を意識したビジネス戦略を構築することが重要です。そのためには、「夕ーゲット」「提供価値」「アクセス」「バリューチェーン」「儲け(会計数値)」などの要素を組み合わせて、ビジネスモデルを練り上げる必要があります

原因仮説分析のための7つの質問

変化の激しい時代に、中長期的に自社のビジネスの収益性や成長性を高めていくにふかんは、「事業全体を術鰍的に見て考える力」が必要になります。それは、ビジネスパーソン一人ひとりが、「顧客企業や競合企業を分析し、会社・事業全体の中で自分がどう貢献をできるか」を考える視点を持たなくてはならない、ということを意味します。(高松康平)

高松康平氏の会社の問題の9割は「4つの武器」で解決できる書評を続けます。事業部全体の問題解決には、事業全体を俯瞰する必要があります。収益の悪化など事業部の問題を解決したければ、問題分解👉原因分析👉課題抽出👉解決策立案のステップで考えることが求められます。

VUCAの時代においては、事業環境が不確実で、複雑な問題が次々と現れます。過去の成功事例やノウハウが役に立たないこともあります。そのため、経営者やビジネスパーソンには、新しいアプローチや発想が求められます。 筋の良い仮説を創り出すことは、ビジネスの成長に欠かせません。

これは、自分たちがどのような問題に直面しているのかを正確に把握し、それに対する解決策を見出すことが必要だからです。また、筋の良い仮説を立てることで、自分たちが目指す方向性を明確にすることができ、組織内での意思疎通もスムーズになります。 しかし、筋の良い仮説を立てるには、過去の事例やデータだけに頼るのではなく、創造力や洞察力が必要となります。

問題解決において、原因仮説分析は重要です。以下の7つの質問を使って、事業全体を俯瞰しながら問題を発見し、仮説を考えることができます。
1.市場に変化が起きているのでは?
2.ターゲットセグメントに変化が起きているのでは?
3.顧客ニーズを満たせていないのでは?
4.顧客に自社サービスの魅力を伝えることができているか?
5.バリューチェーンを構築できていないのでは?(顧客価値を継続的に提供するための)
6.バリューチェーンを支える組織に問題はないか?
7.外部環境に大きな変化はないか?

これらの質問に答えることで、問題がどこにあるかを特定し、解決策を見つけることができます。

なぜ、イシューが重要なのか?

事業部長は「市場」「夕ーゲット」「顧客」「商品・サービス」「バリューチェーン」「組織」「会計数値」「競争力」「外部環境」にまで視点を広げ、全体を俯瞰し、ビジネスを成功に導く必要があります。

問題を皆生するためには、事実を確認することが必要で、その際、仮説思考を用いると正しい答えを発見しやすくなります。仮説思考とは、問題を解決するために、仮説を立て、その仮説を検証するプロセスを指します。具体的には、以下のようなステップがあります。

1,問題を明確にする
まずは、問題が何なのかを明確にします。その問題が起こった背景や、どのような影響があるのかを分析します。 仮説を立てる 次に、問題の原因を仮説として立てます。この際には、過去のデータや経験、専門家の意見などを参考にして、筋の良い仮説を立てます。

2,仮説を検証するための計画を立てる
仮説を検証するために、どのようなデータや情報を収集するか、どのような分析手法を使うか、などを計画します。また、計画を実行するために必要なリソースやスケジュールも立てます。

3,仮説を検証する
計画に基づいてデータを収集し、分析を行います。この際には、データの信頼性を確認することも重要です。

4,結果を評価する
仮説が正しいかどうかを評価し、適切な対策を決定します。仮説が正しかった場合は、その原因を解決するためのアクションを立てます。仮説が誤っていた場合は、改めて新しい仮説を立て、再度検証を行います。

手元にある情報(事実)をとりあえず見るのではなく、見たい情報を確実に調べる必要があります。 原因仮説を考え、検証するための情報を集めたら、「課題は何か」を一文にまとめます。

問題を引き起こす事実の中でも、特に直すべき事実のこと=課題を抽出します。問題の根源となる一番悪い部分を明らかにし、3Cなどのフレームワークを活用し、イシュー(直すべき原因を2項対立の形式で表現したもの)にしていきます。

イシューとは、「直すべき原因を2項対立の形式で表現したもの」 のことで、次の ように書き表します。《OOを直すのか?××を直すのか?》この問いに答えを出すことができれば、何を直すべきかを明らかにすることができます。

課題をイシューに言い換える3つのメリツト
①納得感が上がる
②スピードが上がる
③議論が巻き起こる

「○○を直すべきか?それとも××を直すべきか?」というイシューが提示されると、意見が分かれることがあります。しかし、このような意見の相違点を議論することで、チームの思考が深まります。問題の本質を明確にし、それぞれの選択肢がどのように影響を及ぼすかを理解することが重要です。したがって、議論を行うことで、チーム全体がより洞察力を高めることができます。

事業を成功させる2つの視点とは?

「こんな面白いことができないか」という発想に走る前に、「事業全体の勝ち方(戦略)と儲け方(ビジネスモデル」を考える必要があります。自社らしい勝ち方と儲け方を意識したうえでアイデアを考えることで、大きなインパクトを生み出すことができます。

アイデアを出す場合には、事業全体の勝ち方(戦略)と儲け方(ビジネスモデル)の2つの視点で考えるとよいといいます。

■事業全体の勝ち方の4つの戦略論

コスト・リーダーシップ戦略……シェアトップ企業が規模を活かし、安い価格で高品質の商品・サービスを提供します。シェアトップ企業がその規模を活かして勝つのが、コスト・リーダーシップ戦略です。提供する商品・サービスをできる限り多くの方に買ってもらうことを目指します。ターゲットは全セグメントとなります。できる限り多くのお客様に買ってもらうために、高品質かつ低価格の商品・サービスを提供します。

そのときに力を発揮するのが、「規模」「範囲」「密度」の3つの経済効果です。
●規模の経済……規模が大きくなればなるほど、単位あたりのコストが小さくなる。
●範囲の経済……事業を多角化した際に一製品や一事業あたりのコストを削減できる、
●密度の経済……特定のエリアに集中して展開することで効率性を上げることができる、

大きな企業は、規模の利点を生かし、多くの顧客にとって魅力的な商品やサービスを提供することで、コスト・リーダーシップ戦略を実現します。

差別化戦略……差別化戦略では、特定セグメントの顧客ニーズに合わせてバリューチェーンを強化し、特定のお客様に特化した商品やサービスを提供することで、競合他社との差別化を図ります。すべての顧客を狙うのではなく、特定のお客様に焦点を当てることで、ビジネスを展開します。

これは、「選んだお客様以外は捨てる戦略」とも言われます。コスト・リーダーシップ戦略では全セグメントを狙いましたが、差別化戦略では特定のセグメントのニーズに特化した商品・サービスを提供することで、競合優位性を確保します。

顧客ロックイン戦略……顧客ロックイン戦略とは、顧客が継続的に購入するよう促すために、囲い込みチャネルに注目し、購入意欲を刺激する理由を創出することで、顧客が長期的に購入し続けるよう誘導する戦略です。つまり、顧客がずっと購入したくなる、もしくは購入しなければならないと感じる理由を作り出すことが重要なのです。

ソリューション戦略……顧客からの相談に応じてビジネスを展開する際に有効な戦略です。特に法人向けのビジネスにおいては、重要性が高くなります。この戦略では、単に商品を提供するのではなく、顧客からの要望に応えるために提案を作り上げます。

顧客からの要望は、ますます複雑になっていくため、あらかじめ仮説を立て、会社のバリューチェーンを強化しておく必要があります。今忙しくても、この動きを怠ってしまうと、将来的に顧客からの要望に応えることができなくなってしまいます。したがって、会社のバリューチェーンを強化するためには、社員のスキルやコンピテンシー(成果につながる行動特性)を強化する必要があります。

ビジネスを成功させるためには、「儲けること」を意識したビジネス戦略を構築することが重要です。そのためには、「夕ーゲット」「提供価値」「アクセス」「バリューチェーン」「儲け(会計数値)」などの要素を組み合わせて、ビジネスモデルを練り上げましょう。

しかし、ビジネスアイデアを考えるだけではなく、実行策を決定することが必要です。自分のアイデアにすぐに満足してしまうと、本当に問題を解決できるかどうかを冷静に判断できなくなります。自社の思いや戦略を組み合わせて、成功確率を高めることが重要です。

さらに、他業界の失敗事例を知ることも大切です。失敗から学び、同じ過ちを犯さないようにすることで、失敗確率を低くすることができます。ビジネスの成功には、失敗から学ぶ姿勢が欠かせません。失敗は悪いことではありませんが、ケーススタディのインプットを行うことでその確率を下げられます。


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