ムダがなくなり、すべてがうまくいく 本当の時間術 (望月俊孝)の書評

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ムダがなくなり、すべてがうまくいく 本当の時間術
望月俊孝
すばる舎

ムダがなくなり、すべてがうまくいく 本当の時間術 (望月俊孝)の要約

望月俊孝氏の『本当の時間術』は、時間を管理するのではなく、自己実現へと導くための哲学を提案する一冊です。著者の実践と成功者の習慣に学びながら、行動を習慣化し、不安や先延ばしを克服する具体的な手法が紹介されています。時間術を通じて、自分の価値観に基づいた生き方を実現したいすべての人にとって、実用的かつ本質的な一冊です。

自分のために時間を使うことが、真の時間術!

自分の人生の目的から、取るべき行動を自問し続けることが、真の時間とのつき合い方です。(望月俊孝)

現代社会において、時間に追われる感覚は多くのビジネスパーソンにとって共通の悩みといえるでしょう。情報の洪水の中で、目の前のタスクに翻弄され、気づけば一日が終わっている──そうした経験は誰しもが持っているはずです。このような課題に真正面からアプローチした一冊が、望月俊孝氏のムダがなくなり、すべてがうまくいく 本当の時間術です。

私たちは往々にして、人生の時間の大半を「他人の重要事項」への対応に費やしてしまっています。誰かのスケジュールに合わせ、誰かの期待に応えるうちに、自分が本当に大切にしたいことが後回しになっていく──それはあまりにももったいないことです。

本書は、そんな日常に疑問を投げかけ、自分自身の価値観に立ち返るための「時間術」を提示します。 著者は本書の中で、「自分の人生の目的から、取るべき行動を自問し続けることが、真の時間とのつき合い方です」と語っています。人生の目的と向き合いながら、その実現のために時間をどう使うか──それが、この一冊を貫く思想の核となっています。

さらに、著者自身が30年以上にわたり、数多くの成功者の時間の使い方を観察し、自らの生活に取り入れてきた経験にもとづく知見が、本書には豊富に盛り込まれています。とくに印象的なエピソードとして、ある著名な経営コンサルタントのスケジュールに学んだ経験が挙げられます。その人物はどれほど多忙であっても「執筆」の時間をあらかじめ確保しており、それが継続的な出版活動を可能にしていたのです。

本書の最大の特徴は、時間を管理することを超えて、時間を通して自己実現に近づく道筋を示している点です。自分の価値観に根ざした時間の使い方が、仕事の成果だけでなく人生全体の充実度を高めていく──この思想が全編にわたって貫かれています。

時間術が単なる生産性の向上を目的とするのではなく、人生の質を向上させる手段であるという視点は、非常に本質的かつ普遍的な示唆に富んでいます。

私自身も、この本に書かれている時間を事前にブロックすることを実践しています。毎朝のブログ執筆時間をあらかじめスケジュールに入れるようにしたことで、自分の時間の使い方に対する意識が変わり、「やらないこと」を明確にすることができました。やるべきことを先に決めることは、不要な行動や時間の浪費を手放す第一歩です。

無駄を削ぎ落とし、成果につながる行動だけを優先的にスケジューリングする。このような厳密な時間管理の姿勢が、成果を生み出す源泉であることが読み取れます。 本書はまた、「時間が足りない」と感じる原因の一つに、不安や注意力の分散を挙げています。現代人の集中力が失われがちな理由として、脳内に蓄積された「未処理の不安」が大きく関与しているのです。

そこで著者が提案するのが、「クヨクヨタイム」という習慣です。これは、9分間で不安を書き出し、4分間で振り返る合計13分間のセッションによって、不安を明確化・可視化する手法です。この習慣により、不安に支配される時間を減らし、結果として集中力を飛躍的に高めることができます。

「期限」まで長いほど、人は課題に時間をかけてじっくり取り組むように思えます。でも実際は逆で、「期限」が短いほど、人はその課題に時間を取って向き合うのです。

私たちは往々にして、締切が目前に迫るまで行動を先延ばしにしてしまいがちです。しかしながら、これは実行力を高めたいと願う私たちにとって、決して望ましい戦略とはいえません。一見すると、「時間的余裕があるほうが丁寧に取り組める」と感じられるかもしれませんが、実際には逆の結果を招くことが多いのです。

時間管理において重要なのは、「将来は今よりも時間があるはずだ」という楽観的な見通しを手放すことです。むしろ、「遠い未来であっても、来週と同じ程度の自由時間しか持ち得ない」という現実的な前提に立ってスケジュールを組むことが肝要です。

こうした認識の転換が、先延ばしという習慣に対して明確な一石を投じてくれます。 実際、心理学の知見によれば、締切が短いほど人はその課題に対して集中しやすくなり、行動に移す確率が高まるという傾向が報告されています。つまり、時間の制約があることが、集中力と実行力の呼び水となるのです。 とはいえ、単に締切を前倒しに設定するだけでは不十分です。

実行力をさらに確実なものとするには、そこに「他者の確認」を意図的に組み込むことが効果的です。たとえば、作業の途中段階で誰かにレビューを依頼する、あるいは進捗の報告予定を事前に設定しておくといった方法です。他人との約束は、自分との約束よりも破りにくいという心理的傾向を上手く活用することができます。

このように、「締切の活用」+「他者の関与」という仕組みを組み合わせることで、行動への心理的ハードルは著しく下がり、実行力は格段に高まります。重要なのは、締切を単なる時間の制約として捉えるのではなく、自らの行動を前に進めるためのレバレッジとして戦略的に活用することなのです。

日々の予定やプロジェクトにこの「締切×他者」の原則を取り入れることで、驚くほどの成果が自然と積み上がっていきます。私自身、このメソッドによって確かな結果を出せるようになったため、自信を持ってお薦めします。

朝の習慣がパーフォマンスを高めてくれる理由

人は、新しい10年が近づくと、強く人生の意味を考え出す。

心理学には、「9エンダーズ理論(Nine-enders theory)」と呼ばれる興味深い仮説があります。ニューヨーク大学のアダム・L・オルターらによると、人が年齢の末尾に「9」がつくタイミング──たとえば、29歳、39歳、49歳など──に差し掛かると、人生の意味や目的をこれまで以上に強く意識するようになると言います。

実際に「9」がつく年齢の人々は、転職や起業といった大胆な決断、あるいはマラソンの初挑戦といった衝動的なチャレンジに踏み出す傾向が高まることが確認されています。しかしその一方で、自殺率が一時的に上昇するという報告もあり、精神的な揺らぎが生じやすい時期でもあるのです。

ゆえに、9エンダーズ理論をただ興味深い現象として捉えるだけでなく、自分の節目を意識しつつ、健全な方向へエネルギーを向けるための実践知として活かすことが重要です。すなわち、人生の節目に不安や焦燥を感じたときこそ、「衝動」ではなく「ビジョン」を持つことが求められます。

大切なのは、どんなときも自分なりのビジョンを描き、それに向かって小さな一歩を踏み出すことです。そして、その一歩を日常に落とし込み、習慣化することで、自分の軸が生まれ、揺らぎにくい時間の使い方が実現します。人生の転機を迎えるときこそ、衝動ではなく習慣の力が支えとなる──この視点は、時間術を実践するうえで極めて本質的な教訓といえるでしょう。

成功者はアイデアを行動に移すスピードが優れています。また、一般人と比較して毎日平均約18%も多くの時間を自律的な仕事に充てています。私はTVやラジオを聴く時間を減らし、KindleやAudibleの時間を増やし、このブログでのアウトプットによって、他者への貢献ができるようになり、ネットワークが拡大し、仕事に良い影響を及しました。

習慣とは、意思や想いよりも「実際にどのようにやるか」が大切です。毎日の習慣行動の時間と終了時間、をきちん と守る。

習慣化において重要なのは、ただ「継続する」ことではなく、行動の「開始時間」と「終了時間」をあらかじめ決めておくことです。これは、脳に「この時間になったらこれをやる」というトリガーを与える仕組みであり、時間術を生活に定着させるための基本となる考え方です。 たとえば私自身も、毎朝の時間帯に「感謝日記を書くこと」と「ブログを書くこと」をあらかじめスケジュールに組み込んでいます。

さらに、これらの行動を朝のコーヒータイムと組み合わせることで、自然と習慣として定着させることができました。著者がアドバイスするように、既に日常に存在するルーティン(たとえば飲み物や散歩)とセットにすることで、習慣化のハードルはぐっと下がります。

特に「感謝日記」は、前日の出来事をポジティブに再解釈する習慣として非常に効果的です。小さな出来事でも感謝の対象として書き出すことで、自己肯定感が高まり、朝のスタートを前向きな気持ちで切れるようになります。こうした心理的リセットが、その日一日のパフォーマンスに大きな影響を与えてくれるのです。

このように、習慣化は意志の力だけに頼るものではありません。時間をデザインし、感情を整える工夫を加えることで、行動は自然と継続可能なものになります。人生を変えるのは、大きな決断ではなく、小さな習慣の積み重ねです。

本書の最大の特徴は、時間を単に「管理」するためのツールとして捉えるのではなく、時間を通して自己実現へと近づいていく道筋を丁寧に描いている点にあります。生産性を高めるだけでなく、人生そのものの質をどう向上させるか──そうした本質的な問いに、理論と実践の両面から明確な回答を与えてくれるのです。

著者が提唱する数々の手法の中には、「失敗を書き換える」という技術もあります。過去の失敗を否定するのではなく、自らの内面でその意味づけを更新し、学びとして再定義する。私自身もこの手法を日々実践しており、失敗を振り返る時間を「クヨクヨの時間」ではなく、次の行動に転換する時間として活用するように心がけています。

こうした思考の切り替えは、感情の整理だけでなく、時間の質の向上にも直結します。 つまり、自分の価値観に根ざした時間の使い方こそが、仕事の成果を高めるだけでなく、人生全体の充実度をも高めてくれるのです。この思想が、本書全体にわたって一貫して流れており、読者に深い納得と実践への意欲をもたらしてくれます。

時間術が単なる「効率化」の手段ではなく、人生の質を高めるための哲学であるという望月氏の視点は、極めて本質的であり、時代を問わず普遍的な価値を持ちます。

本書は、読み物として終わる本ではありません。読んだその日から行動を変え、人生を前進させるための設計図として、明確かつ具体的なステップを示してくれています。時間管理に悩むすべての方にとって、自分らしく、意味ある時間を生きるための確かな道しるべとなるでしょう。

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