独学に集合天才が必要な理由。破壊的新時代の独習力 (キャメル・ヤマモト)の書評

four people all on laptops, two men and two women, listen to person talking in a board meeting

破壊的新時代の独習力
キャメル・ヤマモト
日本経済新聞出版

破壊的新時代の独習力 (キャメル・ヤマモト)の要約

自身の物語を生み出し、学び、行動することで、個人の成長やチームの成功への道が開けます。設計図を描くスキルと人々を動かす力を強化することは、技術的な面だけでなく、自己認識や他者との関わりを深めることにつながります。毎日の努力や経験を大切にしながら、つながる力を強化し、成長していきましょう。

自分をアップデートする3つの力

学ぶというインプットと、彰えるというアウトプットと、それに対する率直なフィードバックをもらうというのは、今から思うと独習力を磨く3点セットがそなわっていたわけで、それを繰り返せば何とかなる。(キャメル・ヤマモト)

デジタル化とグローバル化の進展により、従来の学び方やスキルだけでは解決できない新しい課題が現れています。この変化に適応し成功するためには、日々自分をアップデートするための自主学習の習慣が鍵となります。

本書で著者のキャメル・ヤマモト氏は、継続的な自学を通じて個人のスキルと知識を向上させることの重要性を強調しています。著者は、自分自身の問題解決能力、情報を結びつける力、戦略を練り実行する力など、さまざまな能力が変化する世界に対応するために必要だと指摘しています。

これらのスキルを身に付けることにより、私たちは変化に柔軟に対応し、新しいビジネスのチャンスを発見できるようになります。また、素早く行動に移す能力や柔軟性も重要です。これらは実体験を通して身につけるべきであり、わずかな刺激にも敏感に反応して動けるようになること(アジリティ)は、新しい時代の必須スキルとされています。

独学においても、小さな刺激から迅速に学び始めることが重要です。初めの小さなステップを踏み出し、断念せずに継続することにより、理想の自分を実現することができるのです。

結局、新時代の能力は、「専門性」「統合力」「連携力」の3つになります。

「専門性」は、情報をつなぐための基盤となります。 「統合力」は、異なる専門性を縦の線で結びつける能力であり、企業組織で言えば部署間の協働を意味します。

例えば、採用、育成、報酬などの各部署は、それぞれの専門性を持ちつつも、共通の目的のもとに統合されます。統合の鍵は、目的(WHY)、専門性の内容(WHAT)、そしてそれらを結びつける方法(HOW)を明確にすることです。

一方、 「連携力」とは、様々な専門家、チーム、企業間で水平的なつながりを構築する能力です。ここでは、それぞれの専門知識を繋ぎ合わせ、情報の共有を通じて新たな価値を創出することが重視されます。連携を実現するためには、相互の理解を深め、互いに利益をもたらす関係を構築し、目的(WHY)、内容(WHAT)、方法(HOW)を共有することが必要です。

「集合天才」とは、個々人の専門知識や能力が集結し、一つのネットワークを形成することで、集団全体の知的能力を高める概念です。これは、異なる専門家やチーム、企業が協力し、それぞれの知識やスキルを互いに補完することで、単独では解決できない複雑な問題に対処する力を生み出します。

この「集合天才」の形成には、「連携力」が不可欠です。それは、異なる分野や背景を持つ個人や集団が、互いに尊重し、理解し合い、共通の目的や課題(WHY)に対する深い理解を基に、各自の専門知識やスキル(WHAT)を共有し、最適な解決策を模索する方法(HOW)について合意形成を図るプロセスです。

「集合天才」による知のネットワークは、新しいアイディアや解決策の発見、効率的な問題解決、そしてより高い創造性を促進します。結果として、個人やチーム、さらには企業や社会全体の目標達成の速度と品質が向上し、持続可能な成長と革新を実現することができます。

独学とはつなぐ力を鍛えること

情報をつなぐにしても、人をつなぐにしても、つなぐ力がついてくると、しょっちゅう、「あ、つながった」という経験をもてて少し楽しくなるでしょう。 人をつなぐだけでなく、動かすことでビジネスはうまくいきます。

・専門性で情報を最前線でつなぐ。
・統合力で諸専門性を縦につなぐ。
・連携力で諸専門性を水平につなぐ。

ビジネスの成功には、人々をつなぎ、彼らが気持ちよく行動できる環境を整えることが不可欠です。この過程で、専門家同士の情報共有が重要となります。専門的な知識を交換することで、より効率的な意思決定を行うことができます。

さらに、組織内で異なる専門知を縦に統合する「統合力」によって、情報の共有や協力がより円滑に行われます。また、「連携力」により、異なる部門間での情報を水平につなぎ、組織全体の最適化を図ることが可能です。

これらの力を結びつけることで、情報の流れが改善され、全員が共通の目標に向かって協力しやすくなります。つながりによって広がるストライクゾーンは、個人の幸せ感情を増幅させ、共有される喜びが新たなモチベーションとなり、協働意識の向上に寄与します。

このように、人々を効果的に結びつけることで、ビジネスの成果だけでなく、ポジティブな人間関係がつくれ、よいことが起こるようになります。適切なタイミングで、適切な情報を入手し、仲間と行動することで、運がよくなります。

情報の結びつきはビジネスにおいて重要な役割を果たします。この結びつきは、専門性、統合力、連携力という三つの核となる要素によってさらに強化され、これらが相互に作用することで、全体としての相乗効果が生まれます。

ここで重要な概念が「弱い紐帯」です。弱い紐帯とは、私たちの日常生活やビジネスの中での緩やかなつながりや知り合い程度の関係を指しますが、弱い中退を集合天才として活用することでビジネスの機会を広げたり、成功確率を高められます。

他の人の成功を自分のことのように喜べる文化が形成されると、これが新たな動機付けにつながります。より良い人間関係や協働の環境を作り出すことが、個人だけでなく集団全体の成長を促します。このように、弱い紐帯を通じて広がるネットワークは、新たな情報、機会、そして支援へのアクセスを提供し、全体としての成長と繁栄を促進します。

私も弱い紐帯と集合天才の力を使うことで、ビジネスがうまくいくようになりました。著者が指摘するように学ぶ力(専門性)とつながる力を強化することで、人生の幅が広がり、よいことが起こるようになります。

理想の自分を目指す過程でバックキャスティングを用いて、ライフプランを設計することは、単に技術力を向上させるだけではなく、コミュニケーションや創造力も必要とされます。

人々を惹きつける、つまり強力なストーリーテリングの能力は、ただの設計図を超え、プロジェクトの成功に不可欠です。現場の経験から学び、設計図を適宜修正することは、実践的な学習と改善への姿勢を示します。

さらに、集合知を活用する能力を養うことで、他者と協働し、意見を交換しながら、より優れた設計図を作り上げることができます。最終的には、自分自身の物語を体現することが重要です。自己の強みを生かし、理想とする自分に成り切ることで、自己実現に近づきます。

自身の物語を生み出し、それに従って行動することで、個人の成長やチームの成功への道が開けます。設計図を描くスキルと人々を動かす力を強化することは、技術的な面だけでなく、自己認識や他者との関わりを深めることにつながります。毎日の努力や経験を大切にしながら、自分自身の物語を築き上げ、成長していきましょう。

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