すごい思考ツール 壁を突破するための〈100の方程式〉 (小西利行)の書評

Write Ideas book on brown wooden board

すごい思考ツール 壁を突破するための〈100の方程式〉
小西利行
文藝春秋

すごい思考ツール 壁を突破するための〈100の方程式〉(小西利行)の要約

日常に潜む不満や共感の瞬間を活かし、それを未来へのビジョンとして描き出す力を養うことで、創造性と影響力のあるアイデアが生まれます。さらに、自分自身の経験や視点を深く掘り下げることで、独自性を持つ発想が可能となり、人々に響くアイデアへと昇華されます。このプロセスを積極的に楽しむことが大切です。楽しむ姿勢があれば、発想の過程そのものが豊かなものとなり、結果的に人々を幸せにする力となるのです。

アイデアづくりを習慣にしよう!

アイデアを生むクセをつけた方がよい。(小西利行)

アイデアを生み出すためには、日常の中での視点の持ち方が大切です。伊右衛門やPlayStationなど数々のヒット広告を生み出し続けている小西利行氏によると、不満や共感の瞬間を意識的に拾い集めることで、アイデアを形にするための基盤が築けるようになると言います。

不満は単なるネガティブな感情ではなく、解決されるべき課題の宝庫です。そのため、不満を避けたり、軽視するのではなく、楽しみながらその価値を見出す姿勢が求められます。例えば、日常生活で感じる小さな不便さも、アイデアを導くヒントとして役立ちます。

また、身の回りの「いいな」と感じることに敏感になることも重要です。便利さや快適さを感じる瞬間を見逃さず、それらがどのように考え出され、受け入れられているのかを観察することが、発想力を養う鍵となります。

座った時に温かい便座の心地よさや、付箋が本を読む際の手助けになる便利さといった身近な体験には、すでに考え抜かれたアイデアが詰まっています。そのような発見の積み重ねが、独自の発想を生む土壌となります。

集めた「不満」と「いいな」をアイデアに昇華させるには、それらを掛け合わせてみる方法が効果的です。例えば、不満を解決する手段として、自分が「いいな」と感じた要素を取り入れることで、新しい価値を生み出すことができます。アイデアの核心は、こうした組み合わせによる新しい提案にあります。

さらに、アイデアを実際の提案に落とし込む際には、未来を提示することが効果的です。

僕は、どんなに短い時間でも、どんなに小さな案件でも、プレゼンでは必ず未来を提示したほうがいいと思う。未来の夢に共感してもらった上で、どうやってその夢を実現するのかという具体的な案を示すことで、プレゼンがゴールではなく、そこから一緒にスタートする起点としての場になるからだ。プレゼンに命を吹き込むのは、未来のビジョンにほかならない。 どんな時もプレゼンでは、「こうありたい」というワクワクする未来の姿を示そう。

アイデアをより具体的な提案に落とし込む際には、未来を提示する視点が欠かせません。小西氏が指摘するように、プレゼンテーションの場では「こうありたい」というワクワクする未来のビジョンを共有することで、提案に命を吹き込むことができます。

単なる「課題→解決案」の構造ではなく、「課題→未来→実現案」というフレームワークを用いることで、聞き手の共感を得るだけでなく、新たなスタート地点を築くことができます。この未来志向のアプローチは、提案の説得力を高め、チーム全体を同じ方向に導く力を持っています。

小西氏のプレゼン必勝方程式

小西氏は本書で「プレゼン必勝方程式」を提唱しています。この方程式は、9つのテーマを軸にして構築されており、提案の説得力を高め、聞き手の共感を引き出す効果的な手段として活用できます。

まず、「社内課題」に目を向けることが出発点です。商品や技術、営業、人事といった社内の具体的な問題点を洗い出し、課題として明確にすることが、提案の方向性を定める基盤となります。この段階で重要なのは、問題を単に羅列するのではなく、解決すべき優先度を見極めることです。具体的で現実的な課題設定が、聞き手にとっての信頼感を生み出します。

次に、「社会課題」を取り上げることで、プレゼン内容に広がりを持たせます。提案するテーマに直接関係するニュースや流行情報、さらには社会で話題になっているトピックスを取り入れることで、提案の背景が明確になります。社会課題を組み込むことで、提案内容がより広範な影響を持つことを示し、聞き手の関心を引きつけることができます。

さらに、「本質課題」に踏み込むことで、提案の核心に迫ります。これは、社内や社会に潜む「隠れ不満」を課題として掘り下げたものです。表面に現れる問題だけでなく、その背後にある根本的な課題を特定することで、提案の価値を高めることができます。この課題を解決することが、全体を前進させる鍵であることを示すことが重要です。

「隠れニーズ」に目を向けることも欠かせません。これは、「隠れ不満」と対になる未来志向の視点で、まだ顕在化していない潜在的なニーズを見つける作業です。「確かにそれがあるといいかも!」と思わせる提案が含まれていれば、聞き手は自然と興味を持ちます。隠れニーズを掘り起こし、それを提案に組み込むことで、プレゼンの説得力が大きく向上します。

提案を魅力的に見せるには、「ビジョン」を示すことが効果的です。ビジョンとは、ワクワクする未来の姿を描くことです。隠れニーズと企業の特性やDNAを掛け合わせた「らしい未来」を提示することで、聞き手に感情的な共感を生むことができます。この未来志向のアプローチが、提案を単なるアイデアにとどまらず、人々の夢や目標に結びつけるものとなります。

プレゼンを実行可能な計画として示すには、「プロジェクトゴール」を明確にすることが求められます。これは、チームが取り組みやすい短期的あるいは中期的な目標を設定することです。目標が具体的で現実的であればあるほど、聞き手は提案を実現可能なものとして捉えやすくなります。

「コンセプト」を提示することも重要です。これは、ビジョンを実現するための道筋を示すものです。提案の方向性や具体的な進め方を示すことで、聞き手にとっての納得感が増します。

さらに、「アクションプラン」を提案に組み込むことで、プレゼンの具体性が増します。アクションプランとは、コンセプトを実現するための具体的な施策やプロモーション案を示すものです。たとえば、キャンペーンの実施計画やプロモーションの手法など、具体的な行動指針が含まれていれば、提案の信頼性が高まります。

最後に、「実行スキーム」を示すことで、提案が現実のものになる道筋を明確にします。これは、実行するチームの設定や人的リソースの配分といった、具体的な実行体制の設計を含みます。どのような体制で提案を進めていくのかが明確であれば、聞き手は安心感を持ち、提案への賛同を得やすくなります。

このように、9つのテーマを活用することで、プレゼンは単なる情報の伝達ではなく、共感を生み、行動を促す場へと進化します。聞き手にとって魅力的で実現可能な提案をするためには、それぞれのテーマを丁寧に織り込みながら、全体の構成を練り上げることが鍵となります。このアプローチを実践することで、プレゼンは単なる説明ではなく、新たな未来を切り開くための出発点となるのです。

デコンとヨコテンによるアイデアづくりとは?

デコンとはデコンストラクション。つまりアイデアの解体をすること。気になるアイデアに出会ったら、何から発想したか?なぜ流行っているのか?を考えて、自分なりの流行エッセンスを見つける思考ツールだ。ポイントは、自分が興味を持った流行だけを抽出することと固有名詞じゃなく一般ワードにすること。さらに間違ってもいいと思うこと。

デコンとは、デコンストラクションの略で、アイデアを解体し、その構成要素を分解して考える手法です。この方法は、新しいアイデアを生むための強力な思考ツールとして、多くの場面で活用できます。

気になるアイデアや流行に出会った際に、それがどのように生まれたのか、なぜ人々の心を掴んでいるのかを掘り下げることが、デコンの第一歩です。表面的な要素にとどまらず、その成功の本質に迫ることで、新たな視点を得ることができます。

デコンのポイントは、自分が興味を持った流行やアイデアに焦点を当てることです。興味を持つ対象を選ぶことで、分析が深まり、得られる気づきも大きくなります。また、その際には固有名詞に依存せず、一般化された言葉で要素を整理することが重要です。

たとえば、具体的なブランドや人物名を使うのではなく、「専門書がある」「独自の体験がある」といったように、抽象度の高い表現で分解することで、他の分野にも応用可能な普遍的な要素を見つけやすくなります。そして、分析の結果が仮に正確でなくても構いません。大切なのは、自分なりの視点を持つことで、それが独自の発想につながるからです。

たとえば、近年の「サウナ」ブームをデコンする場合、いくつかの流行の要素を見つけ出すことができます。その中には、メディアでの特集や専門書の存在、ブームを牽引する人物の存在、さらにはその体験が独自性を持ち、コミュニティ形成に寄与している点などが含まれます。

これらの要素を一般化することで、「特定の文化や体験が持つエッセンス」が浮かび上がり、それを他の分野に展開する手がかりが得られます。

デコンの魅力は、得られたエッセンスを「横展開」することで、新たなアイデアを創出できる点にあります。これを「ヨコテン」と呼び、たとえばサウナで見つけたエッセンスを、飲食業界やエンターテインメント、さらには教育の分野に応用することが考えられます。

たとえば、「独自の体験」という要素を外食に応用して、特定の料理をただ提供するのではなく、調理や提供の過程自体をエンターテインメント化する仕組みを設計することが可能です。このように、ヨコテンを用いることで、従来の枠組みを超えた斬新なアイデアが生まれます。

デコンのプロセスを楽しむことも重要です。単なる分析作業として捉えるのではなく、発見や驚きを伴うプロセスとして取り組むことで、新たな視点を得る喜びが生まれます。また、デコンを繰り返し行うことで、より精度の高いアイデアのエッセンスを抽出する能力が養われ、応用の幅も広がります。

デコンのもう一つの利点は、既存のアイデアや流行に潜む成功の本質を理解することで、失敗のリスクを軽減できることです。たとえば、新しい商品やサービスを考える際に、すでに成功しているアイデアの要素を取り入れることで、顧客に受け入れられる可能性を高めることができます。一方で、その要素をそのまま模倣するのではなく、独自性を持たせることが、成功の鍵となります。

さらに、小西氏が提唱する「自バナシ」は、アイデアに個性と説得力を与える強力な武器になります。自分が直接体験したコアな話は、他者にはない独自性を持ち、聞き手の共感を引き出す力があります。たとえば、地元でのエピソードや子どもとの日常、あるいは時流に乗った経験談を活かすことで、具体性と感情的なつながりを持つ提案が可能になります。

現代におけるコミュニケーションの在り方にも目を向ける必要があります。「分かち合う」という意識が、今後の消費行動や企業活動の中心となるでしょう。単に情報を大量に発信するのではなく、共感や参加を促すコンテンツをコミュニティで共有し、それを小さくても確実に広げていく姿勢が求められます。

特に、アイデアの最終判断として、「不満を解決しているか」「人を幸せにするか」「大切な人に話したくなるか」の3つの問いを基準とすることで、より多くの人に受け入れられる発想が実現します。

このように、日常に隠された不満や共感を活かし、未来を描く力を養いながら、自分自身の経験や視点を深掘りすることで、より創造的で影響力のあるアイデアが生まれるのです。そのプロセスを積極的に楽しむことが、最終的には人々を幸せにする発想力を育む鍵となります。本書の100のメソッドを使い倒して、より良いアイデアをつくり、世の中に貢献し、幸せを分かち合いましょう。

最強Appleフレームワーク


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