「リーダーの悩み」は、単なるスキルの欠如ではありません。時代のOSが書き換わったことに、自分のOSが追いついていない摩擦から生じるものです。旧来の成功法則が通用しない今、リーダーシップの根幹となるOSをアップデートするための3冊を厳選しました。
1. 「弱さ」を戦略的武器に変える、真の人間中心経営
【背景:なぜ今、この本か?】
ベストバイを倒産危機から救ったが説くのは、従来の「数値至上主義」の終焉です。KPIだけで人は動きません。リーダーが「自分は何のために働くのか」というパーパスをさらけ出し、従業員一人ひとりの人生の目的と連結させる。これが現代の最強の戦略です。
本書の30秒要約
世界が必要としていること。自分の会社にできること。従業員たちが心から突き動かされ、情熱を注げて、つい追求してしまうもの。そして、事業としてきちんと稼げるもの。この4つが重なる場所に、自社のパーパスがあります。 どれか1つでも欠けると、パーパスは弱くなります。 世界の課題に向き合っていても、自社の強みがなければ継続できません。
だからこそ重要なのは、会社のパーパスを「掲げる」だけで終わらせず、社員一人ひとりのパーパスと「接続する」ことです。会社が向かう方向と、個人が大事にしたい価値観がつながったとき、仕事は指示されたタスクではなく、自分の物語になります。人は評価制度だけでは動きません。自分の意味が、誰かの役に立ち、組織の前進に変わると実感できたときに、初めて本気になるのです。
【徳本’s Deep View:弱さ(Vulnerability)の効能】
私が多くの経営者と対話する中で、最も大きな障壁は「完璧主義という鎧」です。しかし、鎧を着たリーダーに部下は本音を話しません。リーダーが「この課題は私一人では解けない、君たちの力が必要だ」と「弱さ」をさらけ出した瞬間、組織に爆発的な当事者意識が宿ります。 弱さは欠点ではなく、最高の「巻き込み力」なのです。
【実践のヒント】
まずは1対1の面談(1on1)で、自分の失敗談を一つ共有することから始めてください。それが、心理的安全性を生む第一歩になります。
2. 「内面への旅」が、外部の混乱を鎮める
【背景:なぜ今、この本か?】
シリコンバレーの伝説的コーチであるジェリー・コロンナは、「仕事の悩みは、すべて人間としての悩みに直結している」と断言します。部下との衝突や決断の遅れは、あなたの「内なる幼少期の影」や「恐れ」が投影された結果かもしれません。
本書の30秒要約
目的だけを追いかけても幸せには届きません。充実した人生は、行動と内なる価値観が調和し、自分にとって納得のいく生き方を選び取ることで得られます。たとえ今が満たされていなくても、その現実を認めた瞬間から人生はやり直せます。毎朝は新しく訪れ、私たちはいつでも自分を再起動し、内なる声との対話を始められるのです。
リーダーは成果や目的を重視しすぎるあまり、人としての感情や人間らしさを置き去りにしがちです。しかし、それでは成功は長続きしません。企業リーダーにコーチングを行う著者は、リーダーの仕事とは「人間らしい会社=コミュニティ」を築くことだと述べます。
リーダーに失敗はつきものですが、その責任を部下に押し付けても結果は変わりません。だからこそ、自分自身に耳を傾ける時間を持ち、自己探求に踏み出す必要があります。 心を開き、判断を挟まずに耳を傾けられるようになると、自分がすでに十分に受け取っていること、そして世界が自分に「本来の自分とは違う何か」を過剰に求めていることに気づけます。
「自分は十分だ」と宣言できたとき、人は最も気概を持ちながら、同時に平静でいられます。その平静さが、自分のやり方を問い直し、人間らしいアプローチを取り戻す土台になります。自分の欠点や問題点を認め、平静を取り戻し、部下やパートナーの声に耳を傾ける。そこから関係性も組織も、健やかに変わり始めます。 本書の核にあるのは、「より良い人間が良いリーダーを作る(Better humans make better leaders)」という信念です。
著者はリーダーたちに対し、自身の弱さや影の部分(シャドウ)と向き合うことの重要性を説きます。 >ここで求められるのは、表面的なスキルやテクニックの上塗りではありません。>過激なまでの自己探求を通じて、折れない心ではなく、折れても戻ってこられる真のレジリエンスを獲得するための手引きが提示されます。
難しいことが複雑になるのは、リーダーが内省を怠るからです。内省しないリーダーは成長を諦め、恐れや混乱、人間らしい矛盾を外に漏らしてしまいます。失敗を隠すために他者を犠牲にしたり、不安を見せまいとして攻撃的になったりするのも、その延長線上にあります。暴力は、苦しみのやり場がわからないときに現れます。
だからこそ、自分との対話の時間を持ち、その苦しみの原因を明らかにする必要があります。会社内のコミュニティへの暴力、そして自分自身への暴力は、内面を見つめ、日々の挫折に対処することを拒んだときに現れるのです。
【徳本’s Deep View:弱みを認めることがリーダーの強さ】
現場で見えている「衝突」「意思決定の遅れ」は、だいたい氷山の一角で、真因はガバナンスでも制度でもなく“リーダーの内面”に刺さっていることが多いです。コロンナの議論は、組織課題を「構造」だけでなく「投影」として扱う点が実務的で、ここを見落とすと施策は打ち手の数だけ空回りします。
介入の順番は、行動改善→スキル研修ではなく、①恐れの言語化 ②シャドウの自覚 ③対話の習慣化 ④意思決定の設計(権限・会議・情報)という流れが効きます。
【実践のヒント】
朝の5分、本書の問いを一つ選び、ジャーナリング(書き出し)を行ってください。客観的な自分(メタ認知)を持つことで、感情的な反応が激減します。
3. 「ノーノーマル」時代を勝ち抜く、新しいリーダーシップのOS
【背景:なぜ今、この本か?】
もはや「ニューノーマル(新しい常識)」すら存在せず、絶えず異常が続く「ノーノーマル」の時代です。従来のトップダウン型リーダーシップは、変化のスピードについていけません。本書は、そのカオスを乗りこなすための「10の力」を体系化しています。
本書の30秒要約
私たちは「ノーノーマル時代」という、これまでの常識や成功パターンが通用しにくい世界に生きています。 コロナ禍を契機にテレワークが広がり、AIも進化し、働き方と暮らし方は大きく組み替わりました。 その結果、マニュアルどおりに動く従来型のリーダーシップは機能しづらくなっています。
この時代の理想像として山本紳也氏が提唱するのが、信頼を基盤に自分らしさを表現する「オーセンティックリーダーシップ」です。 過去の実績は未来の成果を保証しないため、リーダーの人柄・信頼性・価値観・パーパスがより重視されます。
【徳本’s Deep View:組織文化をデザインする力】
私がコンサルティングで最も重視するのは「組織文化の変革」です。リーダー個人のカリスマ性に頼るモデルは、その人がいなくなれば崩壊します。本書が説く「適応型リーダーシップ」の本質は、「自律的に動く組織文化をデザインする能力」にあります。
リーダーの仕事は、指示を出すことではなく、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮できる「環境と文脈」を作ることなのです。
【実践のヒント】
「指示を出す」時間をできる限り減らし、「問いを立て、対話を促す」時間を増やしてください。これにより、組織が変化し、メンバーのセルフリーダーシップが養われます。


















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