回復に必要な時間を十分に取っていない、これこそ、レジリエンスを高めて成功するための全体的な能力が著しく損なわれる原因なのだ。(ショーン・エイカー、ミシェル・ギラン)
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休養はなぜ重要なのか?
レジリエンス (ハーバード・ビジネス・レビュー EIシリーズ)の中に、休養の重要性が紹介されていました。レジリエンスを高め、自分のパフォーマンスをアップする方法を幸福の専門家のショーン・エイカーと考えてみたいと思います。
研究によれば、回復時間の不足と、疾病や事故の増加との間には直接的な相関があることがわかっています。仕事のことを考えて眠れなかったり、携帯電話を見ていて認知的覚醒が続いたりすることによる回復不足のせいで、米国企業の生産性は年間620億ドルも失われています。テクノロジーの普及によって、実は長時間労働が助長されています。働きすぎが認知能力の回復を妨げ、結果として雇用主に多大な医療費と離職の犠牲を強いています。
レジリエンスのある子を育てたければ、しっかりと休ませることが正解です。疲労が子供達の認知能力を下げ、事故を起こすリスクを高めたり、テストでの失敗を引き起こします。友だちや親と接する時に自制心が低下し、不機嫌な態度で関係を悪化させます。オーバーワークと疲労は、レジリエンスの対極です。そして若い時に身につけたこの悪習慣は、社会に出て働き始めると悪化の一途をたどります。
レジリエンスを良好に保つためのカギは、全力を注ぎ、その後に停止し、回復を図り、そして再び全力を注ぐというサイクルだ。これは生物学上の事実に立脚した結論である。生物学には、健康を継続的に回復・維持しようとする脳の機能を意味する、「ホメオスタシス」(恒常性)という基本概念がある。
テキサスA&M大学のポジティブ神経科学者ブレント・ファールは、特定の行為には身体にバランスをもたらし健全性を高める価値があることを、「ホメオスタティック・バリュー」(恒常性価値)という造語で示しました。結果を出したければ、私たちはこのバリューを高めることを考えなければなりません。
働きすぎで身体のバランスが崩れると、人はそれ以上前進するために必要なバランスを取り戻そうとして、メンタル的にも身体的にも膨大なリソースを消費します。パフォーマンス領域(全力を発揮している状態)の時間が長すぎる人は、リカバリー領域(回復している状態)の時間を増やす必要があります。人は休まなければ、燃え尽きてしまうのですから、回復のための時間を持つべきです。仕事量の多さに比例して、回復期間の重要性も高まります。
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回復と休息は別物?
では、どうすれば疲労を取り除き、レジリエンスを身につけることができるのでしょうか?回復と休養は別物で、ただ休めばよいというわけではありません。8時間寝れば、身体はたしかに休んでいるかもしれませんが、翌朝も疲れを引きずっていることがあるはずです。
ただ作業をやめるだけでは回復することにはなりません。仕事で発揮されるレジリエンスを身につけたければ、適切な「就業内回復」と「就業外回復」の時間を確保する必要がある。
ザイルストラ、クロプリー、リドステットの研究チームは、就業内回復と就業外回復の重要性を指摘します。就業内回復とは、就業している日時・場所において行う短時間のリラクゼーションです。進行中の仕事に必要な知的・身体的リソースの一時的な衰弱や枯渇に対応するために、定期または不定期の短い休憩を取り、その間に意識を変えたり他の作業をするようにしましょう。
就業外回復とは、仕事から離れたところ就業後の自由時間、週末、祝祭日、長期休暇などで行う回復のための行為です。仕事の後、ベッドで横になっていても、電話で仕事の話をして熱くなったり、家の改装のことであれこれ考えてストレスを感じたりすると、脳は高度に覚醒した状態が続いてしまいます。脳にも身体と同じだけの休息が必要です。
真剣にレジリエンスを身につけたければ、まずは仕事からの離脱を戦略的にやってみよう。つまり、就業内回復と就業外回復の時間を確保する工夫をして、自分を強くするためのリソースを自分自身に与えるということだ。
スマートフォンやPCと距離を置く時間を作り、勤務中に仕事から離れる時間を作りましょう。90分ごとに休憩を取って頭を休め、リフレッシュするのも効果があります。昼食は仕事をしているデスクでは取らず、外に食べに出かけたり、友だちと一緒に取るようにすべきです。その際の話題は、仕事以外のものにしましょう。
また、休暇はしっかりと取るべきです。旅に出たり、家族との時間を持つことはとても大事なことなのです。それは回復期間を与えてくれるだけでなく、生産性を高め、ビジネスの成功を運んできてくれます。仕事から離れ、回復する時間をしっかり持つことが、結果を出す早道なのです。
まとめ
回復と休養は別物で、ただ休めばよいというわけではありません。結果を出したければ、仕事で発揮されるレジリエンスを身につける必要があります。そのために、適切な「就業内回復」と「就業外回復」の時間を確保し、仕事を忘れるようにすべきです。
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