成功する社員を作るために欠かせない4つの要素

成功している社員は、成果を出して充実感を得るだけでなく、会社と自身の将来を切り開こうと熱意をみなぎらせている。(グレッチェン・スプレイツァー&クリスティーン・ポラス)

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成功している社員の二つの特徴

ミシガン大学スティーブン・M・ロス・スクール・オブ・ビジネス教授のグレッチェン・スプレイツァー氏とジョージタウン大学マクドナー・スクール・オブ・ビジネス准教授のクリスティーン・ポラス氏は、仕事と幸福についての共同研究を行いました。

彼らは仕事での幸せとは何を意味するのかを調査し、個人や組織が長期的に高いパフォーマンスを上げる要因を探りました。そして、成功している社員は、精力的である一方、燃え尽きない術を心得ているという強みを持っていることを見つけたのです。

さまざまな業界や職種を対象に調査したところ、この条件を満たす人材は他の人材と比べて、全般的な業績に関する上司からの評価が16%高く、「燃え尽きてしまった」という自己申告は25%も少なかったのです。彼らの組織への献身度は32%、仕事の満足度は46%高いことがわかりました。欠勤と病院での受診がともに際立って少ないため、不稼働時間や医療費負担が少ないなど優秀な社員を雇うことは企業側にもメリットがあるのです。

成功している社員は、以下の二つの特徴を持つことがわかりました。
1、彼らは活力をみなぎらせている
成功している社員は生きているという実感と情熱にあふれ、胸を高鳴らせています。活力ある人材は自分と周囲のやる気を燃え立たせているのです。会社を活性化させるに、リーダーは「自分たちの日々の仕事が大きな変化を引き起こす」という意識を社員に植えつけるようにしましょう。
2、たゆまぬ学習
彼らは絶えず新しい知識や技能を身につけ、成長を目指します。学習を積み重ねると、技術面で優位に立ったり、プロフェッショナルとして一目置かれたりします。能力向上に励む人材は、おそらく「もっと成長できる」と自分の可能性を信じ、学習環境を整えます。

この2つの特徴を備えないと長期的な成功は難しくなります。新しいことを学ぶと、その時は仕事に弾みがつきますが、情熱が伴わないとやがて燃え尽きるおそれがあります。

活力ある社員が学習の機会を得ると、彼らは結果を出し、しかも成功している術を探り当てる。仕事にやりがいを感じるのは、期待通りの成果を出しているうえに、自分と会社がどこを目指しているかがわかっている時である。このように順調に成功していると、自分がやる気を出すだけでなく、周囲にもそれを伝染させる。

実際にこの2つの特徴を兼ね備えている人は少ないので、リーダーは社員の環境を整備する必要があります。ほとんどの人は環境に左右されることをあらかじめ理解しておきましょう。

大胆な取り組みや多額の投資をしなくても、社員の成功を後押しする企業文化はいますぐにでも培えるとグレッチェン・スプレイツァー&クリスティーン・ポラスは述べています。多くの場合、意識を少し変えるだけでよいのです。仕事への熱意を引き出し続ける方法はいくつもあります。

調査結果から成功するための環境づくりに必要な4つの要素が明らかになりました。
①判断の裁量を与える
②情報を共有する
③ぞんざいな扱いを極力なくす
④成果についてフィードバックを行う
成功の企業文化を培うには4つすべてが必要であることも調査から明らかになっています。

 

成功するための環境づくりに必要な4要素とは?

①判断の裁量を与える
業務に影響する判断を自分で下してよいとなれば、 上から下まであらゆる階層の社員がやる気を高めます。従業員が「仕事を任されている」と感じることで、積極的に発言するようになり、学習の機会も増えるのです。

アラス力航空は、権限委譲の企業文化を根づかせ、それをテコにここ10年で業績を大きく好転させてきました。2000年代の業績低迷後、経営陣は「2010プラン」を掲げ、「運航スケジュールを遵守する」という評判を守りつつサービスを向上させるために、社員からの提案を積極的に受け入れました。固定観念を捨て、顧客に奉仕するための新しい方法を考えることを求めたのです。単に「良い」ではなく、「本当に素晴らしい」サービスを実現するアイデアを社員が考え、裁量も与えられました。

東部地域担当ディレクターのロン・カルビンは、昔の顧客から突然連絡を受けました。生後3カ月の孫が心不全に陥ったため、ホノルルからシアトルへ駆けつけたいが、どの便も満席で困っているということでした。カルビンは権限を与えられていたため、社内に協力を依頼し、すぐさま座席を手配しました。顧客が喜ぶ活動を現場の従業員が積極的に行うことで、アラス力航空は運航スケジュールの遵守度で一位に輝いたほか、多くの栄誉を手にするようになったのです。就航先も、ハワイ、中西部、東海岸などへと目覚ましく拡大しています。来年の1月に私はラスヴェガスからシアトルに移動しますが、その際アラスカ航空を予約しました。彼らのサービスを体験し、また、このブログでレポートしたいと思います。

笑いやもてなしを大切にするサウスウエスト航空は、ほとんどの客室乗務員が、熱心に歌い、ジョークを放ち、ことあるごとに乗客を楽しませようとしています。彼らは生き生きとして、新しいことを学習しようという情熱をみなぎらせています。ある乗務員は、離陸前の安全説明をラップ調で行おうと思い立ちました。自分の特技を業務に活かそうとしたところ、乗客も喜び、「安全説明にじっくり聞き入ったのは、実はこれが初めてだ」といった声がいくつも届きました。

たとえ誰かがミスをしても、権限委譲の流れを押しとどめないようにすることがポイントだとグレッチェン・スプレイツァー&クリスティーン・ポラスは指摘します。失敗は絶好の学びの機会であると捉え、全社員の教訓にすることで、組織は強くなります。

②情報を共有する
情報のないなかで仕事をしても、社員のやる気は高まりません。自分の仕事が所属する組織の使命や戦略とどう調和するかを納得すれば、社員はよりよい貢献ができると感じ。自ら動き始めます。 アラス力航空では、社員に企業戦略の幅広い理解を促すために、経営陣は多くの時間を割くことにしました。

2010プランを推進するに当たっては、従来のコミュニケーション手法のほか、何カ月もかけて各職場を巡回して説明会を行い、社員間でのアイデアの共有を支援する研修も実施しました。CEO、社長、COOは4半期ごとに各職場をめぐり、市場別の特性についての情報収集に努めて、そこから得た知見を社内に広めています。これが奏功して、社員は会社への誇りを強めており、年次調査によれば、いまや何と全社員の90%が会社を誇りにしているそうです。

③ぞんざいな扱いを極力なくす
ぞんざいな扱いを社員にすることで、企業は多くのものを失います。サンダーバード国際経営大学院教授のクリスティーン・ピアソンとの共同研究からは、職場でぞんざいな扱いを受けた人の半数は仕事に傾ける努力を意識的にセーブした、という結果が得られました。驚くことに3分の一を超える人々が、仕事の質をわざと落とそうとしたというのです。また、3人に2人は、自分をぞんざいに扱った相手を避ける時間が長いと言い、ほぼ同数が「自分のパフォーマンスが下がった」と回答しています。

働き手をぞんざいに扱うと、順調な仕事ぶりを妨げることになる。そのような扱いを受けた人は、往々にして自分が受けたのと同じような仕打ちを他人にするようになる。同僚の足を引っ張るのだ。たとえば、「忘れた」ふりをして誰かをメモの配布先から外したり、悪口を広めて皆の注意をそちらに向けさせようとしたりする。手ひどい仕打ちに遭った人は、火の粉を避けようとして内向きになる可能性が高く、そうこうするうちに、学びの機会を失う。

採用に際しては、対人スキルとEQ(心の知能指数)の高さを重視するとよいでしょう。礼節が守られるかどうかはマネジャー次第で決まります。一人でも困り者がいると、せっかくの社風が台無しになりかねなません。

企業文化とは、人から人へと伝染するものですから、礼節も選考ポイントに入れておいたほうがよいのです。社員は周囲に同化していきます。言葉を換えるなら、礼節をわきまえた人材を採用すれば、礼節が社風として根づく可能性が高くなるのです。こうすることで、社員をぞんざいに扱わなくなり、生産性を高めることができるのです。

④成果についてフィードバックを行う
フィードバックは学習の機会をもたらし、働き手の熱意を引き出します。フィードバックは成功の企業文化に欠かせないものなのです。

フィードバックを受けるとモヤモヤが消えるため、社員たちは自分と組織の目標に向けて脇目も振らず逼進する。フィードバックは、速やかで直接的であるほど役に立つ。

会議の席上で、顧客からの苦情と感謝の言葉が紹介し、時を置かずして全員に具体的なフィードバックを与えることで、社員に学び成長の機会が与えられます。

4つの方法はそれぞれ別の角度から、社員が成功するために必要な状況をつくります。この中から1つか2つだけを選んで実践するわけ にはいきません。4つすべてがそろってこそ、全体として相乗効果を発揮します。

社員を成功させるための4つの方法は、涙ぐましい努力や莫大な投資をしなくても実践できる。求められるのは、広い心で権限委譲を進め、自ら企業文化を培うリーダーである。

最後にもう一度活力と学びの素晴らしさを共有します。「成功している」状態を支えるのは、活力と学習の2つです。生き生きとして熱意をみなぎらせ、知識や技能の習得を進めている人が企業には必要です。活力と学習の2つがそろうと、目覚ましい成果をもたらします。

活力に満ちて学習意欲が高い人は、活力はあっても学習を怠る人と比べて、リーダーとしての力量が21%も優れています。健康面での指標については、さらに予想を超えた結果が出ましたた。活力があっても学習しない人は、両方の条件を満たした人より54%も劣っていたのです。活力と学ぶ力のある人を集め、組織を強くしましょう!

まとめ

社員が成功する環境づくりには、さまざまな目配りが欠かせません。社員が成長して仕事への熱意を持ち続けるようにリーダーがサポートすれば、社内の雰囲気がよくなり、会社の業績も右肩上がりで向上していきます。 「成功している」状態を支えるのは、活力と学習であることがわかっています。リーダーは、社員のやる気を引き出すために、①判断の裁量を与える ②情報を共有する ③ぞんざいな扱いを極力なくす ④成果についてフィードバックを行うの4つの要素を実践しましょう。

参考図書 ハーバード・ビジネス・レビュー 幸福学

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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