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IDEA FACTORY 頭をアイデア工場にする20のステップ
著者:アンドリー・セドニエフ
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
本書の要約
課題を解決する際に、私たちの脳は過去に成功したアイデアを選びがちですが、これでは時代の変化に適応できません。画期的なアイデアを生みだしたいなら、過去にうまくいったことではなく、将来的にうまくいくことを考える必要があります。その際、アイデアの質よりも量にこだわるようにすべきです。
アイデアづくりで重要なこととは?
複数の問題に交互に取り組むと、潜在意識がそれについて同時に考え、アイデアを生みだす能力が飛躍的に高まる。(アンドリー・セドニエフ)
アイデアを生み出すためには、複数の問題に取り込むことが重要だとIDEA FACTORY 頭をアイデア工場にする20のステップの著者のアンドリー・セドニエフは指摘します。クレアモント大学院大学の心理学教授ミハイ・チクセントミハイ博士は、96人の傑出した科学者、芸術家、作家にインタビューした結果、彼ら全員が複数の課題に同時に取り組んでいることを明らかにしました。
複数の課題に交互に取り組むと、あなたが働き、休み、寝ているあいだに潜在意識が脳の片隅でそれらについて考えてくれますから、画期的なアイデアを次々と生みだせるようになるのです。複数の課題について同時に取り組むことは、創造性を育む最も効果的なテクニックのひとつであり、アイデアの熟成期間に潜在意識の生産性を飛躍的に高めてくれます。
私は何冊もの本を並行読みしますが、様々な情報をインプットすることで、脳の中で情報がつながりやすくなります。私は多読によって、アイデアづくりが上手くなりましたが、チクセントミハイの研究を読んで並行読みが効果的である理由が明確になりました。
よりよいアイデアを生み出すためには言葉だけでなく、ビジュアルの力を使うべきだと著者は言います。
同じことがアイデアを思い浮かべることについてもあてはまる。もし言葉を使って自分に話しかけて考えようとすると、顕在意識が活性化され、思考は大幅に遅くなり、すぐれたアイデアを生みだす可能性がかなり小さくなる。
アルバート・アインシュタイン、トーマス・エジソン、ヘンリー・フォードはノートに膨大な図形や絵を描き残していました。偉人たちが成功するアイデアを生みだすのが得意だった理由のひとつは、視覚的に考える習慣を持っていたからなのです。
実際、アインシュタインは言葉ではめったに考えないと言っています。思考がイメージとして浮かんできて、それによって言葉や公式で表現していたのです。人はアイデアをアウトプットする前に、まず頭のなかでイメージしています。
超高速の潜在意識は絵を使って考えるという事実を覚えておきましょう。すぐれたアイデアを次々と生みだしたいなら、言葉ではなく絵を使って考えるべきなのです。すぐれたアイデアはまず頭のなかでイメージとしてつくられ、そうすることによって初めて言葉で表現されるのです。
アイデアを量産しなければいけない理由
私たちには過去の経験に基づいて、決定をくだす癖があります。しかし、もし過去にうまくいったことだけを考えるなら、いつも同じ古いアイデアに行き着いてしまい、時代の変化にやがては追いつけなくなります。画期的なアイデアを生みだしたいなら、過去にうまくいったことではなく、将来的にうまくいくことを考える必要があります。
脳はつねにできるだけエネルギーを保存しようとします。どんな課題について考えようと、脳は過去の記憶をすぐに調べて、数秒後に「これが解決策だ」と言います。 研究によると、私たちは珍しいモノよりありふれたモノを素早く思い出すことがわかっています。それと同様に、私たちが課題について考えるとき、脳は独創的な解決策より、過去の経験に基づいたありふれた解決策を素早く提示しがちです。
脳は過去にうまくいった経験に基づく手っ取り早い解決策をすべて出し尽くすまで、一生 懸命に考えようとしない。脳に一生懸命に考えさせて画期的なアイデアを生みださせる唯一の方法は、たくさんのアイデアを生みださせることである。偉大な発明家はそれを知っているから、課題について考えるとき、思い浮かんだ最初のひとつかふたつの解決策で満足しない。彼らはできるかぎり多くのアイデアを生みだし、そのなかから最も有望なアイデアを選ぶ。
私たちは左脳を使うことにすっかり慣れているため、創造的で新しい解決策を必要としているときですら左脳に頼ってしまいます。しかし、残念ながら、左脳は創造的なアイデアを生みだすことが苦手です。そればかりか左脳は創造的な右脳の邪魔をすることがわかっています。
創造的な右脳は分析的な左脳より少なくとも200万倍も速く働き、創造的なアイデアを生みだす役割を担っています。右脳は左脳とは異なり、同じ問題に対して多くの解決策を探します。 アイデアをたくさん生みだせば生みだすほど、最終的な解決策はよりよいものとなるのですから、右脳を使って、たくさんのアイデアを出しましょう。
カリフォルニア大学デイビス校名誉教授のディーン・キース・サイモントン博士は、アイデアの量と質の関係を調べました。最も創造的な科学者の数百人の仕事ぶりを研究したところ、非常に興味深い発見をしました。最高水準の科学者は平凡な科学者よりもすぐれたアイデアをたくさん生みだしていましたが、つまらないアイデアもたくさん生みだしていたのです。
世界で最も有名な科学者たちが書いた論文の圧倒的多数は、まったく引用されていませんでした。その人たちが書いたごく一部の論文だけが100回以上も引用され、そのわずかな論文だけが世界に衝撃を与えていたのです。
サイモントン博士は作曲家や芸術家についても同じ研究をし、科学者だけでなく作曲家や芸術家もたくさんのつまらないアイデアを生みだしていて、それによって画期的なアイデアを生みだしていることを発見しました。
エジソンは2千以上の特許を取得しましたが、その多くは一銭の利益にもなりませんでした。アインシュタインは300本以上の科学論文を発表しましたが、その大半は他の科学者たちから見向きもされませんでした。ピカソは2万点以上の作品を生みだしましたが、大半は最高の展覧会に出品されていませんでした。
アイデアの量と質のあいだには正比例の関係が成り立つ。すぐれたアイデアマンが生みだすアイデアの大半はつまらないし、よくて平凡である。画期的なアイデアはごくわずかだが、それがそのアイデアマンに成功をもたらす。
すぐれたアイデアマンになるためには、まず膨大なアイデアを生みだし、その一部を使って勝負すればよいのです。ごくわずかなアイデアだけが生き残り、ビジネスを成功に導くと言うルールを信じて、アイデアを量産しましょう。アイデアをたくさん生みだせば生みだすほど、そのなかのひとつが成功する可能性が高まります。
ディーン・キース・サイモントン博士は研究のなかで、創造的な天才たちは突破口を開くアイデアを他の人たちよりもたくさん生みだしていることを見つけましたが、彼らはつまらないアイデアも他の人たちよりずっとたくさん生みだしていました。
すべてのアイデアは既存のアイデアの組み合わせか修正によるものである。すぐれたアイデアを生みだす確率を高めるためには、毎日、思考や経験やアイデアの雑多な組み合わせをより多くつくればいい。
著者のアンドリー・セドニエフは、いろいろなアイデアをランダムに組み合わせるうちに、よいアイデアが生まれると指摘します。つくればつくるほど、成功するアイデアが生まれるの可能性が高まるのです。アイデアの質も当然結果を左右しますが、まずは量で勝負することを忘れないようにしましょう。私も絶えず頭に浮かぶ何気ないアイデアをメモし、そこから質を高めていきたいと思います。
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