吉藤オリィ氏の「サイボーグ時代 ~リアルとネットが融合する世界でやりたいことを実現する人生の戦略~」の書評

人は高齢化や病気、ケガなどで、いままで「できた」ことができなくなっていくとき、絶望にも近い悲しみや将来への不安を覚える。しかし「できない」と思っていたことが「できる」に変わった瞬間、未来に対して希望を持つことができる。(吉藤オリィ)


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「できる」を増やすと人は幸せに生きられる?

私たちは障害のために、多くの夢を諦めてしまいます。障害とは自分がやりたいと思ったことの実現を阻むハードルです。心や体の不調や生まれつきのハンディキャップなど障害は、人によって異なります。しかし、人は誰もが何かしらの障害をもっています。この障害を放っておくと人は孤独になってしまうのです。

老化や病気になって、今まで「できた」ことができなくなると人は絶望を感じます。それがひどくなると人はうつになり、何もする気がなくなってしまいます。ロボットやAIが発達し、メディアでは最近「消える仕事」が話題になり、落ち込む人も増えていますが、現状を打破することは可能です。例えば、テクノロジーを活用することで、人は「できること」を増やせ、ポジティブな気持ちを取り戻せます。

サイボーグ時代 ~リアルとネットが融合する世界でやりたいことを実現する人生の戦略~ の中で、「ロボット界の若き鬼才」である吉藤オリィ氏は不可能を可能に変えるためには、テクノロジーやツールを活用すべきだと述べています。 テクノロジーとは、岩を砕く時に、素手を使うのではなく、ツールであるハンマーを生み出すことなのです。根性論をやめて、人間の行動と選択肢を広げてくれるツールを作れば、人の可能性は広がります。

インターネットやSNSといったデジタルテクノロジーのおかげで、「これまで個人ができなかったこと」がどんどできるようになりました。

肉体が歳や病気で衰えても、テクノロジーは決して万能ではないが、「できない」を再び「できる」に変えてくれる。

個人の可能性を広げ続けるテクノロジーによって、私たちのできるが増え、人間はより人間らしく生きられるようになります。私もSNSやブログのアウトプットによって、自分の活動領域を広げることができました。

新しいテクノロジーを無視するのではなく、いくつになっても取り入れることで、人生の可能性を広げられます。そのためには、若い世代との積極的なコミュニケーションが欠かせません。ミドルやシルバーの体験と若者のテクノロジーを掛け合わせることで、私たちの「できること」を増やせるのです。

 

サイボーグ化によって、人は多様に生きられる!

本書を手に取った理由は、ラジオ番組で分身ロボットOriHime(オリヒメ)の話を聞き、興味を持ったからです。学校嫌いだった私は、子供の頃にパーマンの分身ロボットを本気で親にねだりました。本を読むのが好きだった私は小学校が苦痛で、分身ロボットがいれば、「家で読書をもっと楽しめるのに!」と真剣に考えていたのです。それが今OriHimeによって、実現可能になったのです。

テクノロジーの力によって、人間の「できる」を拡張できるという著者のビジョンに共感を覚えました。目の前のたいがいの課題はテクノロジーの力で解決可能です。テクノロジーと人が融合化し、サイボーグ化することで、私たちはより行動できるようになり、多くの問題を解決できるようになるのです。

サイボーグ化とは、「これがやりたい」いう人の意思に基づき、テクノロジーがその人の能力となり、生活と人生となめらかに融合することである。

実際、吉藤氏は、OriHimeによって、障害者や社会的弱者のサポートを始めています。
■体が動かせなくても遠隔操作で周囲の観察や会話が可能になるロボット「OriHime」
■目だけでPC操作ができる「OriHime eye」
■自分の体が動かなくても誰かに何かを「してあげる」ことができる「OriHime-D」

サイボーグ化によって、体を動かせない人が目で絵を書いたり、身体的、精神的な理由で教室に通えない子供が、まるでそこにいるように、友人と共に学ぶことができます。

育児や保育、病気、ケガなどの様々な理由で、在宅勤務をしているビジネスマンも増えています。 彼らがOriHimeを使えば、家や病院から、あたかもそこにいるかのように、社員とコミュニケーションを取ることができます。 テレワークでのコミュニケーション手段として、OriHimeを採用する企業が増えるなど、サイボーグによって、人々の可能性が広がっています。リアルとネットが融合することで、やりたいことを実現できるようになったのです。この考え方を採用することで、多様な人生を生きられるようになります。

人は孤独になることで、心理的ストレスを抱え、ひどい時には自殺を選びます。難病のALS患者は人の役に立たなくなることで、孤独となり、介助を選ぶのをやめ、死を選択しがちだと言います。これを避けるために吉藤氏はテクノロジーによる、サイボーグ化を進めています。

テクノロジーの力で「できる」ことを増やし、難病患者や高齢者でも他者から「ありがとう」といってもらえる社会を実現させることこそが、結果的に孤独の解消につながる。

逆に、孤独を解消し、「ありがとう」を言ってもらう機会を増やせば、幸せな人を増やせるのです。このことに気づいた著者は孤独にならないためのテクノロジー作りをミッションにしたのです。

まとめ

サイボーグ化とは、「これがやりたい」いう人の意思に基づき、テクノロジーがその人の能力となり、生活と人生となめらかに融合することです。このサイボーグ化によって、孤独という人類の難問を解決できるのです。テクノロジーを避けるのをやめ、積極的に活用することで人の課題を減らせるという著者の主張に共感を覚えました。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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