ポール・ダウンズ氏のBOSS LIFE 倒産ギリギリ社長の経営奮闘記の書評


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BOSS LIFE 倒産ギリギリ社長の経営奮闘記
著者:ポール・ダウンズ
出版社:ダイレクト出版

本書の要約

経営者はデザイン、マーケティング、製造、ロジスティクス、保証サービス、そして経営管理の6つを組み合わせ、結果を出す必要があります。売り上げや利益が上がらない時に経営者は一人で悩みますが、それで良い解決策が浮かぶわけではありません。外部の知恵を求め、最適解を出すようにしましょう。

製造業で生き残るための6つの要素

2010年、ひょんなことから、『ニューヨーク・タイムズ』の「You’re the Boss(社長は君だ)」という名のブログに私の体験を書いてみないかと声がかかり、その定期寄稿者になった。ブログには、小企業経営者たちが、巨大でパワフルな組織――とりわけ健康保険とクレジットカード産業にひどく苦しめられている実情を書かせてもらったが、寄稿の主な目的は、零細企業経営者としての私の体験を伝えることだった。(ポール・ダウンズ)

著者のポール・ダウンズは、零細な注文家具の製造会社を経営しています。サイトを見るとデザインの良いお洒落な家具を作っていますが、本書が書かれた時の経営状態は芳しいものではありませんでした。本書は彼の辛い経営の日々を赤裸々に記録したもので、アメリカの中小企業経営者も資金繰りに苦しんでいることがわかります。社長の悩みは日米共通で、一人悶々と苦しんでいる様子が伺えます。本当に中小企業のオーナーは日々、トラブルとの戦いであることが、彼の1年間の記録を読むことで実感できます。

会社はいきなりダメになることがあります。このコロナ禍で経営に問題を抱える経営者の方も多いと思います。同社も2012年に様々な問題に遭遇し、危機を迎えます。彼は経営をしていれば、良いこともあれば、悪いことも起こると考え、それを克服していきます。

彼は起業時に想像していた理想の経営を思い出します。理想の経営では、あらゆることが理論どおりにうまく進んで利益が上げられます。どんなに優れた製品を製造しても、従業員を大切に扱い顧客を大事にしても、利益を上げなければ、経営が成功したとは考えられないということに気付きます。

中小零細企業の経営は予測がつかないことだらけですが、以下の6要素で顧客を喜ばし、その見返りの利益を得られていれば、どんな問題にも対処できるようになります。

製造業で生き残るには、デザイン、マーケティング、製造、ロジスティクス、保証サービス、そして経営管理の6つをきちんと果たす必要がある。

この6つは全部絡みあっているため、目標に向かって一直線に進めるだけではダメなのです。この6つの間で情報をフィードバックし合い、変えるべきところは変えながら進めていく必要があると著者は言います。 企業経営の6要素をすべてきちんと機能させるのは並大抵のことではありませんが、この視点で経営することができれな、多くの難題に困らなくなります。

経営者がメンターを持つべき理由

失敗を重ねてきた経営者の私だが、1つだけアドバイスがある。それは、人に助けを求めることである。助けを求めれば救ってくれる人はいる。できれば、自分と自分のビジネスをよく知っている人で、たびたび相談に乗ってくれる人を探そう。信頼している人の助言が間違っていることもあるかもしれないから、なるべく、助言者は1人だけでなく複数いたほうがいい。企業経営は非常に孤独な仕事だ。だが、どの経営者も共通の悩みを抱えていることを忘れないでいてほしい。仲間の企業経営者たちに救いを求めれば、きっと彼らは、自分たちの知っていることや経験を喜んで分かち合ってくれるはずだ。

中小企業の経営は波乱に満ち、予期せぬトラブルが起こります。それを一人で解決しようとするのは無理があります。確かに、経営者は孤独で、人に自分の悩みをなかなか話せないものです。特に経営に関わるレベルの高い問題は、従業員に相談することは不可能です。著者は長年一人で悩んでいましたが、コンサルタントを雇うことで、自分の課題を明確にでき、思考と行動を変えていきます。

私はいくつかの会社で社外取締役やアドバイザーをしていますが、私の最も大事な仕事は経営者の話を真剣に聴くことです。彼らは私と話をした後ですっきりした顔をします。自分の頭の中のモヤモヤを私に話すことで、経営者の気持ちは落ち着きます。話を伺いながら、いくつかの質問をすると、彼らはあっという間に答えを見出します。やるべきことを整理することで、彼らの顔は一気に明るくなることを何度も体験してきました。実は答えは経営者の頭の中にあったのです。彼らは質問を通じて、その中から最もベストな方法を選び、やるべきことをスタートします。

経営者は相談者を見つけることで、悩む時間を減らせます。経営者自身が、自らの状態を包み隠さず相談できるメンターを持つことで、独りよがりの判断も減らせます。マインドセットをポジティブにするだけで、会社の雰囲気が明るくなります。経験を積んだ第3者のアドバイスを受けることで、正しい選択ができるようのなります。他の業界の情報や他社の成功事例を学ぶことで、新しいアイデアが浮かぶようになりますし、メンターのネットワークを活用することで、ビジネスの可能性が広がります。

私のネットワークはクライアントの経営者のためにあると考え、私の人脈を積極的にご紹介するようにしています。ご縁をつなげることで、知識や体験が広がり、シナジーが生まれることがあります。メンターや社外取締役を雇うことで、経営が客観的になり、自社の可能性を広げられます。自分だけで成長するのは難しいと考え、信頼できるアドバイザーを周りに置くことで、経営者の悩みを減らせます。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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