ピーター・シムズの小さく賭けろ!の書評


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小さく賭けろ!
著者:ピーター・シムズ
出版社:日経BP

本書の要約

成功した起業家は、普通の人なら「失敗」と考えるところを「学習」だと捉えます小さくスタートし、失敗することで、会社やプロダクトの戦略を早めに修正できます。彼らは「小さな賭け」を繰り返すことで、驚異的な成功が手に入ることを理解しているのです。

成功した起業家の共通点は小さく賭けることだった!

成功した起業家の大半は、ことに潤沢な資金を得られずに起業した場合、新しいアイデアを一連の「小さな賭け」によって実現に導いている。普通の人なら「失敗」と考えるところを彼らは「学習」と考えるのだ。(ピーター・シムズ)

ライターのピーター・シムズは、成功している人と組織は、アイデアをすぐに小さい段階で実践していると言います。コメディアンのクリス・ロック、映画会社のピクサー、アップルのスティーブ・ジョブズなどの成功者は、小さく賭けて、素早い失敗、素早い学習を繰り返していたのです。

アマゾンの社員は常に新しいことを試み、今までになかったアイデアを生み出すことが求められています。アマゾンではイノベーションを何より重んじられるので、どれだけ新しいことに挑戦したかが、社員の評価基軸になっています。

全てのアイデアがよいアイデアだとは限りません。どのアイデアが正しいかは、実験をしなければわからないのです。

ほとんどの試みは袋小路だとわかる。しかしほんの時たまだが、狭い路地を入っていくと思いがけずに広大な市場へ通じる広い通りに出くわすことがあるのだ。(ジェフ・べゾス)

ジェフ・ベゾスは不確実さを積極的に受け入れます。新市場を開拓する上で、どのアイデアが有効でどのアイデアがそうでないか、確実に予測する方法ありません。実際にやってみるしかないのです。

アマゾンでは一人の顧客の全購入履歴を分析して、何百万というほかの顧客の中からももっとも類似した購入履歴を持つ人物を探し出すという機能を提供しました。顧客がワンクリックするだけで、顧客自身と購入傾向がもっとも似た顧客が表示されます。しかし、誰もこの機能を使いませんでした。企業がクールなイノベーションだと思って提供しているつもりでも、顧客は見向きもしてくれません。

アマゾンがアソシエイト・プログラムを開始したとき、即座に予想以上の結果が出ました。ベゾスは即座に成功とわかったので、全力を上げてこのプログラムのプロモーションを行いました。現在でも、アソシエイト・プログラムはもっとも有効なマーケティング手段になっています。

ベゾスは小さな実験の重要性を次のように表現しています。

表計算ソフトにいくら数字を入れてみたところで、現実の人間が新製品に対してどういう反応を示すか予想できっこない。

新しいことに挑戦するときに、ジェフ・ベゾスとSチーム(上級幹部)は、精密な財政的なモデルを作って利益を予測したり、投資効果を判定しようとしたりはません。

実験的イノベーターは、「こうすれば成功するはず」という計画を細かく立てる代わりに、何をなすべきかを知るために今できることをさっさとやります。彼らは「小さな賭け」を繰り返すことで、驚異的な成功が手に入ることを理解しているのです。

小さく賭けろの原則

「小さな賭け」とは、具体的かつ即座に実行可能な行動によってアイデアを発見し、テストし、発展させていくことを指す。こうしたアイデアは、当初独創的ではあっても漠然とした可能性として生まれる。

ピクサーの長編アニメの監督を務めたアンドルー・スタントンは、「間違うならできるだけ素早く間違えろ」と述べています。小さくスタートし、失敗することで、会社やプロダクトの戦略を早めに修正できます。間違えることを先延ばしすることは、未来のリスクを高めてしまいます。

優れた作家はつまらない初稿を書きます。とにかく書き始め、そこに何度も修正を加えます。初稿は誰もそれを見ることがないのですから、酷い文章を書いても全く問題はありません。二稿で文章は少し良くなり、三稿はもっとずっと良くなります。

アメリカの小説家のアン・ラモットは書き続けるうちに、必ず結果が出ると言います。「一流の作品もたいていは最初の悲惨な努力からはじまるもの」というアン・ラモットの言葉を信じて、小さな行動を始めてみましょう。素晴らしい作品は何度もの修正を経て、私たちに届けられています。

プロトタイプを作り、顧客からフィードバックを受けることで、失敗を成功に変えられます。あのスターバックスも最初は顧客から多くのダメ出しを受けていました。創業者のハワード・シュルツはイタリアのコーヒーハウス(バール)をモデルにしていましたが、これはそれまでアメリカにはないものでした。

しかし。イタリアのバールのバリスタのスタイルを模した蝶ネクタイは、窮屈だとして店員に評判が悪かったし、客からはメニューがほとんどイタリア語で読めないとか、オペラ音楽がひっきりなしにかかるのがうるさいなどの苦情が出ました。なによりスタート当初のスターバックスには椅子がありませんでした。

現在のスターバックスのユーザー体験は、数多くの修正と改良の上に成立したものであり、当初シュルツが思い描いていたものとはずいぶんかけ離れていることがわかります。

著者は間違えること、失敗することを恐れてはならないと何度も繰り返します。

間違えることを恐れてはならない。早く間違えれば、それだけ正しい解答を得るのも早くなる。思春期を過ぎずに大人になることはできない。私は最初から正しいやり方をすることは、できないかもしれない。しかし、非常に早い時期に、間違ったやり方をすることはできる。

最後にピーター・シムズが見つけた小さく賭けろの原則」を紹介します。
●実験する 試行によって学ぶ。
●遊ぶ 創造的なアイディアの源。
●没頭する 世界の変化を深いレベルで理解。
●明確化する 解決のための問題の再定義。
●出直す 問題の見直しのために、あらゆる機会を利用する。
●繰り返す  繰り返しで知識、経験、洞察が蓄積されていく。
アイデアが生まれたら、このステップを繰り返すことで、成功が手に入ります。まず、小さく賭けることからスタートしましょう。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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