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つながり過ぎた世界の先に
著者: マルクス・ガブリエル
出版社:PHP研究所
本書の要約
人類が行動を変えることで、よりサスティブルな経済が実現したとすると、結果的にウイルスが反撃を止めてくれるかもしれないと著者は指摘します。ネイチャーポジティブな態度をとり、サスティブルな活動をしている企業を応援することが、一人一人に求められています。
コロナ・パンデミック時代に倫理的な行動が求められる理由
倫理的に正しい行動を取った結果、お金が儲かるような経済体制を作れれば良いのではないでしょうか?それは十分可能であり、ぜひ作るべきだと思います。(マルクス・ガブリエル)
マルクス・ガブリエルのつながり過ぎた世界の先にの書評を続けます。倫理的な行動をとることで、結果が出る時代になったと哲学者のマルクス・ガブリエルは指摘します。今回のコロナ・パンデミックでは、倫理的に行動した国としなかった国で、蔓延の度合いが異なります。
ドイツは倫理的に優れた決断を行ってきたことで、経済はうまく回っています。ドイツのロックダウンは非常に緩やかなもの、レストランは比較的早く再開しましたし、閉まっている間もジョギングや、スーパーマーケットでの買い物は許されました。
一方、スペインは、子供を含むすべての国民を自宅待機させました。国民が公園に行くことを禁じるなど、不道徳な政策を取りました。その結果、スペインの経済は破綻、多くの国民が苦しみました。スペインがめちゃくちゃな状態に陥ったのは、パンデミックと闘うためにあまりに多くの不道徳な決断をしたからです。
日本は経済的には打撃を受けましたが、倫理的に正しい決断を多く行ったと著者は言います。日本人は早くからマスクをし、ソーシャル・ディスタンスを保っていました。罰則がないにも関わらず、日本人は自分を抑え、社会の規範に合わせて行動したために、ヨーロッパのような状態にはなっていないだけです。
これは国民が倫理的に行動しただけで、日本政府の政策が正しかったわけではありません。GoToトラベルを再開したり、緊急事態宣言のタイミングを誤ったり、PCR検査の数が増えないなど、リーダーたちの選択は間違いだらけだと私は思います。国民に犠牲を強いるばかりの日本の政策は、とても倫理的だとは思えません。1年以上たった今でもやっている感だけを演出し、オリンピックに邁進し、貴重な財源を浪費する政府を倫理的だとは言いたくありません。
自然を主体と考えた方がよい理由
人類の相互尊重に基づいたビジネスモデル 私の仮説が正しいとすると、世界の経済秩序を考え直して人類の相互尊重に基づいたビジネスモデルを構築し、そのモデルに添った有形・無形の財の交換が実現できると思うのです。 人間は道徳的な生き物だと思うのです。
ポスト・パンデミックの世界において、サスティナブルなビジネスモデルが求められています。人間も動物であり、自然の一部なのです。著者は、ウイルスは環境破壊を行う人間に対して反対を唱えて、暴れ回っているのです。
人類が行動を変えることで、よりサスティブルな経済が実現したとすると、結果的にウイルスが反撃を止めてくれるかもしれないと著者は指摘します。ネイチャーポジティブな態度をとり、サスティブルな活動をしている企業を応援することが、一人一人に求められています。
21世紀になって、私たちの環境にやいする意識が変化しています。この意識革命の引き金を引いたのは、ウイルスだと著者は言います。今回のウイルスによって、私たちは恐怖感を感じていますが、一方でリラックスしています。私は通勤時間がなくなり、家族と過ごしたり、自然と触れ合う時間を増やすことで、豊かな気持ちになれました。
自然はウイルスを通して我々にメッセージを送っているのです。今回のパンデミックによって、多くの人たちが立ち止まり、考える時間を持ちました。ビジネスやライフスタイルも変化し、ウイルスとの共存を考える中で、スローライフを選択する人も増えています。
宗教が生まれた頃、人間は自然を主体だと考えていましたが、経済の発展が人間と自然の関係を変えてしまいました。著者は今こそ、自然が主体であるという考えを復活させるべきだと言います。倫理的な行動をとらなければ、現代文明は絶滅します。
人類が行動を変えることで、よりサスティブルな経済が実現したとすると、結果的にウイルスが反撃を止めてくれるかもしれないと著者は指摘します。ネイチャーポジティブな態度をとり、サスティブルな活動をしている企業を応援することが、一人一人に求められています。
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