マルクス・ガブリエルのつながり過ぎた世界の先にの書評

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つながり過ぎた世界の先に
著者: マルクス・ガブリエル
出版社:PHP研究所

本書の要約

人類はテクノロジーの発展の中で倫理観を失ってきました。よりよい社会を実現するためには、「理由律」に従って行動し、倫理観を取り戻すべきです。サスティナブルで倫理的な資本主義体制をつくった国が、今後ももっとも豊かな国になると著者は未来を予測します。

理由律にしたがって行動した方がよい理由

人類は著しく進歩した一方で、退歩した面もあると思います。特に自然科学やテクノロジーの発展から倫理を切り離したことは、最も退歩した点だと思います。(マルクス・ガブリエル)

テクノロジーが発展する中で、人間は倫理観を失い、原爆の悲劇や気候変動の危機が起こっています。都市が大きくなり、自然との境界が曖昧になる中で、新たなウイルスに苦しめられるようになりました。この20年、新型ウイルスに次々襲われていますが、人の移動が活発になったこともそれに拍車をかけています。

哲学者のマルクス・ガブリエルは気候変動はこのウイルスよりも深刻な問題で、人類史上最大の危機だと指摘します。 昨年2020年の上半期は、パンデミック対策のためにロックダウンがあったにも関わらず、世界の二酸化炭素排出量は8.8%しか減少しませんでした。移動が減っても、サーバーが増加したために二酸化炭しょの排出量はそれほど減らなかったのです。自宅で多くの人がソーシャルメディアを使用し、オンラインの買い物を増やしたことが、結果として環境に悪影響を与えていました。

自然と共存するためには、ロックダウンを永久に実施するよりも、ライフスタイルそのものを変えた方がよさそうです。人類はもっと理性的に行動すべきだと著者は言います。

著者は「理由律」に従って行動することが大事だと考えています。理由律とは、因果律(すべての物事は必ずある原因によって起こり、その原因は結果より時間的に必ず先行するという原理)と非常に近い概念ですが、それよりも少しだけ広い意味を持っています。理由律は、「すべての事象は説明可能だが、説明するには多様なツールが必要だ」という考え方です。知性はなぜ物事はこうなのかと、理由を問います。あらゆる出来事は理由なしでは起
こりえない(充足理由律)のですから、知性を使って、しっかりと現実を見つめ、それが起こった理由を考えるべきです。

人間が倫理的な行動をとり、何が正しい選択なのかを考えることで、温暖化による環境破壊を止められます。サスティナブルで倫理的な資本主義体制をつくった国が、今後ももっとも豊かな国になるのです。

パンデミックへの対応にしても、倫理的でない選択、人を苦しめる政策を実施した国は、相変わらずコロナウイルスに苦しめられています。日本も初期の対応を間違えたことで、いまだに移動を制限され、不自由な生活を余儀なくされています。

思考し、自分の感覚を大事にしよう!

アリストテレスは物事を知ることと、物事の原因を知ることを区別しました。ギリシャ語では知ることをホティといい、「なにゆえにこうあるか」を知ることをディオティといいます。統計的世界観は、例えば「何人の人がウイルスに感染した」といった事実しか知りません。しかし興味深いのは、「なぜそうなのか」ということ、つまり物事の「なにゆえにこうあるか」です。知りたいのは、「失業率が増えたのはなぜか」など、「なにゆえにこうあるか」の説明であり、何を変えられるかということなのです。

統計的世界観に陥らないためには、「状況の特殊性」を考慮する質的思考を取り入れる必要があります。例えば統計的思考は、部屋の中に何人の人がいるか、ドアの外に行くには何人の人の脇を通らなければならないかなどを問います。それに対し、質的思考は、部屋に誰がいるか、彼らは何をしているかなどを問います。我々に必要なのは量的思考ではなく、質的思考です。

私は、思考は視覚と同様、感覚の一種だと思っています。聴覚、嗅覚、視覚、思考。仏教の考えと同じように、思考を他の感覚と同列に捉えています。人間の思考の弱点 人間の思考の基本的な弱さは、物事を把握する力が、思考に関する誤った概念に脅かされている点です。

人間は考えることによって現実を把握できるようになります。思考し、感覚を研ぎ澄ませることで、人はよりよい存在になれるのです。

美を感じた瞬間に人は「確かに生きている」と感じます。アートや音楽に心を動かされたとき、自分自身を感じることができるのです。良い会話、良いワイン、良い食事などの高度な感覚的快楽はすべて、良い暮らしの一部なのです。

この感覚的快楽には思考も含まれ、良い哲学書を読むのは良いワインを飲むのと同じなのです。この快楽的経験があるから私たちは生きているのです。

楽しさを追求すると人を苦しめることがなくなるので、楽しむことが良いアイデイアだとわかるでしょう。人を苦しめる行為は、苦しめる方にとっても、苦しめられる方にとっても不快だからです。芸術に触れることは、確実に人類の進歩に重要な役割を果たします。

できるだけ多くの心地良い経験を人と共有すべきです。倫理観を失うのではなく、人とのつながりを強化することで私たちは幸福になれます。アートや音楽、食事を楽しむことで、人との関係をよくできます。すべての人が利他の心を持ち、人生を楽しむことで、人類は進歩を続けられます。

正しい思考を続け、倫理的な資本主義体制を支持する人が増える国家が繁栄するという考えに立てば、今の日本の状況は絶望的です。しかし、一人一人が考え、現在を問い直すことで、この状況を変えられはずです。フェイクニュースを鵜呑みにせず、自らの頭で思考し、行動することの重要性を本書から学べました。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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