マット・リドレーの人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化するの書評


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人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する
著者:マット・リドレー
出版社:ニュースピックス

本書の要約

イノベーションは自由から生まれます。課題を解決したいという人々の自由で独創的な試みがあり、失敗が許される土壌があるから、イノベーションが起こるのです。創造力にあふれる人たちが自由に実験する場があるから、可能になるのです。

イノベーションが起こる理由

ほとんどの人が先例のないほど豊かになったのは、「イノベーション主義」のおかげだった。つまり、生活水準の向上に新しいアイデアを応用する習慣だ。(マット・リドレー)

元ノーザンロック銀行チェアマンで科学・経済啓蒙家として活躍するマット・リドレーが、「イノベーション」の歴史を紐ときながら、イノベーションを起こす方法を人類とイノベーションで明らかにしました。

イノベーションにおいて、セレンディピティ(偶然の幸運)が大きな役割を果たしてきたことは間違いありません。しかし、イノベーションはセレンディピティだけで起こるわけではありません。いつどこで起こるかはもちろん、なぜ起こるのかが十分にわかっていないのです。

イノベーションはほかの都市と自由に交易した都市で盛んだった。アイデアが出会ってつがい、新しいアイデアを生み出せる場所だ。イノベーションは脳のなかではなく、脳と脳のあいだで起こる集団的現象である。そこにこそ現代世界が学ぶべき教訓がある。

アイデアが生殖するとき、イノベーションが起こります。人びとが出会って、物やサービスや考えを交換する場所「都市」で起こるのです。イノベーションは孤立している場所や過疎の場所ではなく、交易と交換が盛んな場所で起こっています。 

イノベーションの歴史は、驚くほど一貫したパターンを示しています。それは突然起こるわけでなく、ほぼ常に緩やかな流れで起こっているのです。その途中で何度も方向を間違えながら、ようやく形になり、顧客から支持されるようになるのです。

イノベーションは最初の数年は期待はずれであることが多く、いったん軌道に乗ってようやく予想を上回る。私はこの現象を「アマラ・ハイプサイクル」と呼ぶ。

著者は、アマラ・ハイプサイクルは「15年後」に起こると指摘します。新技術は、初期の黎明期を経て期待が高まり、それがピークに達した後、幻滅期に入ります。その後、具体的な活用事例が増える啓発期を経て、人々がそれを使うようになります。

実は、イノベーションを起こしたとされる天才の活動の裏には、無名の人たちの様々な発明が隠されています。イノベーションがゆるやかな進化的プロセスですが、「突然のひらめき」とされるのは、ここに理由があります。人間の本性と知的財産制度が、イノベーションを1人の天才の功績に変えてしまうのです。

天才たちは自分のイノベーションに関する特許を確保し、守るために人生を台無しにしています。本来、研究開発に使える時間を裁判に当てることで、貴重な時間を他社が特許を使えないことで、進化のスピードを送らせてしますのです。1人が技術的な突破口を開き、別の人がその製造方法を考え出し、3人目が普及するくらい安くする方法を練り上げることで、ようやく普及への道を歩んでいくのです。

そして、イノベーションは様々な技術や環境が絡み合い、ほぼ同時にアイデアが生まれてきます。1人の天才が現れなくとも、やがて時代の要請に基づいたイノベーションが誰かの手で起こされるのです。

イノベーションが人々の暮らしを豊かにする!

なぜ大企業はイノベーションが下手かというと、官僚的で、現状での既得権が大きく、顧客の関心や実態や可能性に注意を払うのをやめるからだ。したがって、イノベーションが盛んになるためには、門外漢、挑戦者、そして破壊者が足場を築くことを促すか、少なくとも許すような経済活動を行なうことが、きわめて重要である。

イノベーションは自由から生まれます。課題を解決したいという人々の自由で独創的な試みがあり、失敗が許される土壌があるから、イノベーションが起こるのです。創造力にあふれる人たちが自由に実験する場があるから、可能になるのです。

エジソンやフォードなど天才は、「とにかく試すこと」を続けています。 誤りへの寛容があるからこそ、新しい何かが生まれるのです。 自由に遊ぶことが好きな人たちの方が、予想外のものを見つける可能性が高いと著者は言いいます。 規制が厳しい環境ではイノベーションが生まれづらく、試行錯誤が許されない場所では進化が止まってしまうのです。失敗を許さない空気が、大企業からイノベーションを起こりづらくしています。

私たちはイノベーションのおかげで仕事の生産性を高めることで、自分のやりたいことに時間を使えるようになりました。イノベーションによって、生活水準が高まり、自由な時間を増やせたのです。過去の技術の蓄積が、私たちの労働時間を減らし、娯楽や勉強のための余暇を生み出しました。もし、イノベーションがなければ、人類はいまだに採集生活から抜け出せず、自由な時間などなかったはずです。

「1人の天才が世界を変える」という思い込みはもう捨てて、人との協業を意識しましょう。自由な時間と人とのコミュニケーションを増やすことで、アイデアの交換が始まります。他者の脳とのつながりを作る方が、1人で悶々と考えるより、よい結果をもたらします。自由かつオープンでいることが、私たちに幸せを運んできてくれるのです。

よいアイデアを思いついたからいって、それを1人の力で実現できるわけではありません。誰かが協力し、それを安価に提供することで初めて、人々の暮らしが豊かになるのです。アイデアを独り占めするのではなく、未来の私たちの子孫のために、協働することを選びましょう。知的財産を確保するために裁判に無駄な時間を使うよりも先行者利益を狙った方が、はるかに価値があるという著者の考えに共感を覚えました。

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