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LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる
著者:ケイト・マーフィ
出版社:日経BP
本書の要約
人は腋に落ちないとき、何か変だと思っても話を続けてしまいます。相手の話をしっかりと理解し、確認することを面倒だと思うと失敗する確率を高めてしまいます。相手の話をしっかり確認することを習慣にすると、私たちは騙されなくなります。また、深い質問を重ねるうちに、チャンスの入り口を見つけられるようになります。
人はなぜ騙されるのか?
「自分の聞きたいようにしか聞かない」人はだまされやすい。(ケイト・マーフィ)
ジャーナリストのケイト・マーフィのLISTEN――知性豊かで創造力がある人になれるの書評を続けます。人はなぜ騙されてしまうのでしょうか?騙される原因は相手にあると考えがちですが、実は自分の方にも原因があります。嘘はたいがいの場合、お互いの協同作業から生まれると著者は指摘します。
嘘にまつわる物語には、嘘をつく人物と、自分の聞きたいようにしか聞かない人物が登場します。人は自分は騙されないと考えますが、恋愛やお金、病気に関わる話を聞く際には、その言葉を信じたいという気持ちが働き、聴く力が損なわれしまいます。
詐欺師のメル・ワインバーグは、嘘つきと聞き手の協同関係を理解していました。詐欺師は被害者よりも生まれつき聞き手として優れているわけでもなければ、人間的に欠陥が少ないというわけでもありません。両者の違いは、詐欺師は「聴く」ことが稼ぎになるため、聞き手としてより多くの場数を踏んでおり意欲も高いという点です。詐欺師は相手の信じたいという気持ちを利用しているのです。
自分にできることは何もない、と言ってしまったら、相手の希望を台なしにすることになる。だれにだって希望は必要だ。だからこそ、ほとんどの人は私らを警察に通報しないんだ。私らが言っていることは本当だと望み続けているから。(メル・ワインバーグ)
複数の研究により、意欲の高い人ほど、物事を正確に認識できることがわかっています。詐欺の被害者は、そのときの自分の生活にとって詐欺師のつくり話があまりにも魅力的なため、正確に話を聞くよりも信じたいという気持ちを優先させてしまいます。相手の話を信じたいという気持ちが、人から聞く力を奪ってしまうのです。
しつこい質問からチャンスが見つかる?
自分がだまされたときのことを思い返してみると、正直に言って、そのときは気づけなかった点や、意図的に気づこうとしなかった点があったはずです。急かすような言い方、事実を並べてもなぜかつじつまが合わない、質問をすると相手が語気を強める、もしくは怒る、言っていることと顔の表情が何か一致しない、なぜかはわからないけれど、胸がざわざわするなどです。
私たちは、嘘や真実をしょっちゅう見逃しています。だれかがあまり筋の通らないことを言っても、ほとんどの場合、私たちはそこで会話をとめて、確認することはありません。
つじつまの合わない話を聞いても、たいていの場合、人はそれをスルーし、話を続けてしまいます。 頭の回転が悪いと相手に思われたくないために、説明を求めたがらないこともあります。
ミシシッピ大学でコミュニケーションを研究するグレアム・ボディは、「理由が何であれ、相手の言っている意味がよくわからないときに、人は話をとめて尋ねるのを躊躇してしまう」と指摘します。 ボディは「つじつまが合わない会話を取りつくろうことは絶対してはいけない」と教えています。それが重大な失敗の最大の要因だからです。
ありとあらゆるものに意味がある、ということを前提にしなければいけません。もし何かが腋に落ちなければ、注意を払う必要があります。(グレアム・ボディ)
人は腋に落ちないとき、ほとんどの場合は何か変だと思っても話を続けてしまいます。しかし、そこで話をとめて、確認することで私たちは騙されなくなります。
相手の話をしっかりと理解し、確認することを面倒だと思うと失敗する確率を高めるだけでなく、チャンスの入り口も見逃してしまいます。
人が本当に理解できるのは自分だけです。ですから、世の中を自分の視点からしかみられないのは自然なことです。他人の論理や動機は自分と似ているものだと、私たちは決めつけをしてしまいます。この決めつけが失敗の原因になるのです。
話のつじつまが合わない時には、確認を怠らないようにしましょう。人の話をもっと注意深く聞いたり、もっと深く質問したりするとインスピレーションが働くようになります。聴く力を活用し、相手との丁寧な会話を続けるうちに、チャンスを見つけられるようになるのです。
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