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スタンフォード式 人生を変える人間関係の授業
著者:デイビッド・ブラッドフォード,キャロル・ロビン
出版社 : CCCメディアハウス
本書の要約
「自己開示」、「前向きなフィードバック」、「発展を促すフィードバック」、「ピンチの解消」、「問題解決に向けた共同作業」など、人間関係をよくする著者たちのアドバイスを実践することで、豊かな人間関係を築けるようになり、幸せな時間を増やせます。
格別な関係の6つの特徴
人間関係は濃淡が異なる連続体のようなもの。一方の端には、リアルの接点のないごく浅い関係、反対側の端には相手に理解され、支えられ、全面的に受け入れられていると感じられる濃密な関係がある。(デイビッド・ブラッドフォード,キャロル・ロビン)
デイビッド・ブラッドフォード,キャロル・ロビンの「インターパーソナル・ダイナミクス(人間関係の力学)」の授業は、スタンフォード大学MBAの学生の9割が受講するという人気授業です。著者たちは、人間関係には格別な関係があることを見つけ、これを授業で深掘りしています。格別な関係は、自分で築き上げることができ、以下の6つの特徴があることがわかっています。
1、あなたも相手も素の自分でいられる
2、互いに弱い面をさらけ出せる
3、本音をさらけ出しても批判されないと確信できる
4、互いに率直に議論できる
5、意見の相違があっても前向きに対処できる
6、相手の成長や発展を応援し合える
1から3は自己開示の特徴で、自分を素直にさらけ出すことで、嫌な気持ちになることを減らせます。4から6はフィードバックと対立がよい結果をもたらすことを示しています。
格別の関係の場合、互いに率直に相手に意見し、忠告された側も警戒することなく、それを学びのチャンスだと受けとめられます。相手の問題点を指摘する行為は、2人の関係に本気で向き合う覚悟の表れであり、相手の成長の後押しにもなるとわかっています。
どれほど良好な関係を築いていても、対立することはあります。しかし、衝突を恐れていては、いら立ちの原因が奥底に潜んでしまい、なんの解決策ももたらしません。お互いにきちんと指摘して適切に向き合えば、関係を深められるようになります。逆に、言葉にせずに放置してしいると、大きなトラブルが引き起こされます。
深い人間関係を築くには、結果がわからない段階で自己開示のリスクを取る勇気が不可欠です。「先に自分をさらけ出す」ことを心がけ、相手に受け入れられるようにしましょう。心から望む人間関係を構築したければ、主体性を持ち、まずは自分の情報を開示することから始めましょう。
勇気を持って、自分の失敗を自己開示することで、相手との信頼関係を構築できます。自分をさらけ出すことが、人間関係をよくする第一歩なのです。自己開示を行うことで、お互いが適格なアドバイスができるようになります。
自分の表面的なイメージばかり伝えるのも、別の意味での「沈黙」になります。SNSで自分を演出ばかりしていると、相手はあなたの本来の姿を知ることができません。17世紀のフランスの文学者フランソワ・ド・ラ・ロシュフコーが語ったように、「われわれは他人に見せる自分の姿を偽るあまり、最後には自分自身に対しても自分を偽るように」なっていくのです。
ひとたび異なったイメージが定着すると、そのイメージに沿うよう振る舞わなければなりません。これが続くと本当の自分がますます理解されなくなっていき、自分を不幸にしてしまいます。自分を孤立させ、秘密を増やしても意味がありません。見せられる部分がどんどん減ってしまうと、やがては人間関係が希薄になり、寂しい人生を送ることになります。
格別の関係では、問題点を指摘して解決できるおかげで、いら立ちのタネがくすぶったまま長期的なダメージをもたらす心配はない。互いへの忠告を学びのチャンスととらえられるおかげで、同じ問題が再発するリスクも軽減できる。
実際、著者2人の関係も一時は縁が切れる瀬戸際まで追い込まれましたが、格別な関係を維持しようという2人の努力のおかげで、関係を修復できたと言います。
人間関係をより深くする方法とは?
格別の関係とは、単なるスキルや能力の寄せ集めではなく、これまでとはまったく異なる生き方を模索すること。その先には魔法のような世界が広がっている。
人間関係を改善するためには、2つの重要な「アンテナ」を張り巡らせる必要があります。一方のアンテナは外に向けて、もう一方のアンテナは自分の内面に向けるようにします。内向きのアンテナだけでは、相手を理解できませんし、外向きのアンテナだけでは自分を見失ってしまいます。
内向きと外向きの2つのアンテナを駆使することで、その場の状況と2人のニーズに最もフィットした行動を起こせるようになります。2つのアンテナの感度が高まると、他者とのあらゆる関わりを学びのチャンスととらえられるようになるのです。
関係を深めたい相手がいれば、著者のアドバイスや事例を参考にできます。互いを知るというステージから、徐々に、率直かつプライベートなコミュニケーションへと足を踏み入れていきます。相手への理解が深まるにつれて、新たな共通項に気づき、信頼が積み重なります。
人間関係が築けるようになると、心の内をさらけ出し、弱みを見せても大丈夫だと思えるようになります。このサイクルを繰り返しながら関係が発展していくと、表面的な付き合いの相手には話さないような職場の悩みや子供との対立についても話せるようになっていきます。
互いが大切な存在になるにつれて、関係の複雑さも高まっていく。果たすべき義務や相手への期待が増え、同時に衝突のタネも増加する。でも、相手にイラっとしたときに衝突のタネに向き合って解決できれば、2人の関係はさらに強まり、相手への希望や不満を率直に伝えやすくなる。そして、よりオープンで誠実で健全な関係が構築されるにつれて、力の不均衡が消え、両者の満足度は同じレベルに落ち着いていく。
プロセスを経るうちに、お互いへの関わり方も身についていきます。必要なときには助けを求め、不要なときは断れるような、持ちつ持たれつの関係をつくれるようになります。
例え、対立が生じても、対処法がわかっている関係になれれば、お互いが心強いサポーターになり、悩みを話し合い、意見を言い合い、結果としてさらに成長できるようになります。
その関係をさらに進化させたいのであれば、リスクを冒して心の内をさらけ出すレベルを劇的に引き上げる必要があります。この時点で、両者ともすでにこの関係に多大な「投資」をしているため、その分リスクも高まります。
2人の仲を引き裂きかねない対立のタネがあった時に、寝た子を起こさないほうがいいと考え、まったく話題にしないという選択もあり得ます。その場合、2人の関係は続きますが、それ以上関係は深まりません。
一方、問題に向き合う選択をした場合、そこで縁が切れてしまうかもしれませんが、もし対立を完全に乗り越えられれば、絆が一段と強まり、格別の関係に足を踏み入れられるようになります。
深い関係を築くには長い時間がかかる。即座に距離が縮まる魔法はない。われわれは関係を深めるスピードや方向性に関するアドバイスを提供するが、それを実現するには両者の協力が不可欠。つまり、関係を発展させたいという意欲と能力があるかを含め、この先の展開は相手次第だ。あなたが影響を及ぼせる面もあるとはいえ、相手をコントロールするのは無理なのだから。
変化には比較的楽に起こせるものと、多大な困難を伴うものがあります。どんな変化も人間関係の魔法のなかで起きると捉え、大切な人との関係から逃げないようにしましょう。
厳しい状況に直面すると、「自分には無理」と言いたくなる誘惑に駆られるものですが、「今」のあなたには難しいだけで、自分を成長させられれば、対立も回避できるようになります。キャロル・ドゥエックの「しなやかマインドセット」を人間関係にも取り入れ、未来を明るくするために、本書のノウハウを身につけましょう。
著者たちは、本書に書かれた内容を実践すべきだと指摘します。効果を最大限に発揮するために、自分の人間関係の改善から始めてみましょう!自分自身と相手を本気で知ろうとすることで、人間関係はよくなり、結果、リーダーの資質も高められるのです。本書の教訓を実践し、無用な対立を減らし、より強固で幸せな関係を築きましょう。
「自己開示」、「前向きなフィードバック」、「発展を促すフィードバック」、「ピンチの解消」、「問題解決に向けた共同作業」など、人間関係をよくする著者たちのアドバイスを実践することで、豊かな人間関係を築けるようになり、幸せな時間を増やせます。
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