親切を周りの人に伝染させよう!デイビッド・ハミルトンの親切は脳に効くの書評

セレクト

池に落ちた小石がさざ波を起こし、対岸に浮かぶスイレンの葉を持ち上げるように、親切な行動はそれを目撃した人の気分を高め、別の人にもその親切を伝えようという気にさせ、ほかの人たちの気分まで高めていく。(デイビッド・ハミルトン)


Designed by Rawpixel.com

親切は伝染する?

デイビッド・ハミルトン親切は脳に効く書評ブログを続けます。親切は心や体の老化を防いだり、 人間関係を改善してくれます。また、親切を心がけると周りの人にも優しい気持ちが伝染し、世の中をよくしてくれることがわかってきました。

サラ・アルゴーとジョナサン・ハイトは、親切の研究に参加した162人の学生のその後の行動を調査をしました。 学生たちは親切によって、自分が得た体の感覚、やる気、自分でとった行動を詳しく記録したところ、親切な行為を目撃した学生たちは、胸があたたかくなり、自分が目にした親切と同じようなアクションを起こしたくなったと報告したのです。

親切をしてもらった学生たちは、感謝の気持ちを感じ、受けた親切に報いたいと思ったのです。その親切な行為を自分もしたいと考え、気持ちを高揚させていたのです。

高揚は、道徳的にすぐれた行動によって生じる。胸にあたたかく、オープンな感情を生み、自分でももっと立派なことをしようという動機づけをする。(ジョナサン・ハイト)

親切を目にすると気分が高まると同時に、心があたたかくなり、私たちは他の誰かに優しくしようとするのです。アルゴーとハイトは、先ほどの研究の一環として、114人の学生に3週間、自分が目にした親切を記録してもらいました。その後、学生たちは「誰かのためにいいことをしたくなった」「親切をした人のようになりたいと思った」「よりよい人間になりたいと思った」と報告したのです。高揚は親切をしたいという意欲を生み、それがモチベーションとなって、私たちは親切を実行します。親切によって高揚感が生まれ、周りの人に親切な気持ちが伝染していくのです。

ある研究で、高揚感が親切のモチベーションとなるかどうかを調べるため、道徳的な行動で高揚を生む動画を見るグループと、高揚を生まないほかの動画を見るグループを比較しました。高揚を生む動画には、アメリカの人気番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」が使われましたが、予想通り、この動画を見たグループは、高揚を感じ、幸せになったと報告したのです。

実は、この研究のポイントはそれだけではありませんでした。親切の効果は意欲を生むだけなのでしょうか?それとも実際の行動にまでつながったのでしょうか? 動画を見た参加者にある作業の手伝いを頼んだところ、手伝うという意欲を見せたのは、オプラの番組を見ていた人たちのほうが高かったのです。オプラの番組を見て高揚を経験した人たちは、 それ以外の人たちの2倍の時間、実際に作業を手伝ってくれたのです。

 

慈悲の瞑想によって、人に優しくなれる!

私は、親切な行為を見たことや、本当に困っているときに助けてもらったときのことを思い出すと、気分が上がることに気づいた。その後何時間も幸せな気分でいられることもある。気分をよくするのにとても有効なセルフヘルプの練習になる。 ただ、これは意図的に行わなければならない。

自分で気分をよくしようという意図があり、幸せな記憶をそのための手段として使うことで、私たちは幸せになれるのです。意識して幸せな記憶を思い出すことで、人に優しくなれ、以前するつもりだったのにできなかった親切を思い出し、実行できるようになるのです。

著者は、慈悲の瞑想の効果を指摘します。慈悲の瞑想をすると思いやりが深まった感じがするだけでなく、過去にできなかった人の手助けになることを実行しやすくなることを見つけました。 オンラインによる慈悲の瞑想の調査でも、瞑想後人に優しくなれることがわかりました。809人の参加者を無作為に、慈悲の瞑想をする人と軽いエクササイズに参加する人に分けました。その後、彼らにお金を渡し、慈善団体に寄付する機会を与えると、瞑想をした人のほうがエクササイズをした人よりも、寄付をする傾向が強かったという結果が出たのです。

カリフォルニア大学リバーサイド校のジョセフ・チャンセラーの研究は、親切が職場に広がることを裏づけました。研究では、実験の参加者を無作為に「与える人」(親切な行為をする人)と「受けとる人」(親切な行為をしてもらう人)、対照グループ(与えることも受けとることもしない)に分けました。調査結果を見ると親切の波及効果がわかります。与える人も受けとった人も共に幸せを感じましたが、受けとった人はさらに「恩送り」(ペイ・フォワード)という形で、誰か別の人に親切にすることを選びました。親切はまさに伝染するのです。

カリフォルニア大学サンディエゴ校の教授ジエームズ・ファウラーとイエール大学のニコラス・クリスタキスは、波及効果について多くの研究をしています。2人は、感情が社会的ネットワークにより伝染することを明らかにしました。一人が幸せに感じると、まわりの人たちも幸せに感じ、さらにそのまわりの人たちも幸せに感じ、そのまわりも……というしくみを見つけたのです。二人は親切についても同じような研究を行い、その最初の科学的研究で、親切のさざ波がどれくらい波及するかを測定しました。

彼らは「公共財ゲーム」という実験経済学で使用されるゲームを応用しました。このゲームでは、プレーヤーはそれぞれみんなか利用できる公共財に資金を出し、集まったお金は何倍かに増やされ、プレーヤー全員に分配されます。プレーヤーは、ゲーム終了時に手持ち金を自分のものにできるので、出資額が多い人と少ない人が出てきます。出資額が多い人は、一般に全員が得することを考えているとされ、向社会的だとみなさています。ふつうはそれぞれの出資金額は人に明かさないことになっていますがファウラーとクリスタキスはほかのプレーヤーが出した金額がわかるようにゲームを再設計しました。公共財のための資金に誰かが平均よりも大きな貢献をした場合、つまり誰かが人より親切にしようとしたときの反応を調べようとしたのです。

ゲームは参加者を毎回変えて何回か行い、参加者それぞれが毎回別のプレーヤーとゲームを行うようにしました。その結果、1人がほかの人よりも大幅に高い金額を出すと、同じゲームに参加していたプレーヤーは、次のゲームで平均以上の金額を出すことがわかりました。1人の人間の親切は、ほかの人がその例にならうきっかけとなったのです。そして、1人の親切が、続く何回かのゲームに波及しました。ファウラーとクリスタキスの計算では、波及効果は「3次の隔たり」、つまり最初に平均以上の金額が出されてからさらに3回のゲームにまで及んだのです。

ファウラーとクリスタキスのいう「3次の影響ルール」を実生活に当てはめると私たちが親切にすると、影響を受けた誰かが親切になり(3次)、その誰かから影響を受けた人が親切になり(2次)、その人から影響を受けた人が親切になる(3次)のです。もちろん、現実には1度に1人以上の人に影響を与えますから、その人たちもさらに多くの人たちに影響を与えるとファウラーとクリスタキスは指摘しています。

平均すると、あなたが親切な行動をすると、4人の人に影響を与え、その4人はそれぞれが4人ずつに親切にして影響を与え、その人たちがさらに4人ずつに影響を与える。すると、あなたはたった一度の親切な行動で、間接的に64人を助けることになる(4×4×4)。その大部分は一生会うことのない人たちなのだ。

つまり、親切をすると知らないうちに何十人、いや何百人もの人に影響を与えている可能性があるのです。あなたの小さな親切が世の中に影響を及ぼすと考え、人に優しくすることを習慣に取り入れてみましょう!

まとめ

親切には波及効果があります。自分が親切を始めることで、世の中をよくできるのです。自分が目にしたり、受けとったり、自分がしたりした親切について、人に話すことで、親切が周りの人に伝染していきます。親切について語る会を立ち上げたり、SNSで親切について書いてもよいのです。親切な行動を目にしたり、知ったりすることで高揚を感じる人が増えれば増えるほど、親切の輪が広がっていくのです。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

Loading Facebook Comments ...

コメント