問題解決 ― あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術
高田貴久, 岩澤智之
英治出版
本書の要約
問題を解決するためには、WHERE・WHY・HOWの3つのポイントをしっかりとつなげ、問題を検討していくことです。問題についての情報収集、原因についての情報収集をロジカルに行い、真因を明らかにします。その後、対策につての情報集を行い、HOWの精度を高めることで、適切な対策を導けます。
問題解決のための2W1H
問題解決の手順を知らないと、適当に対処してしまったり、無駄に多くの時間を費やしたり、考えることが難しくてあきらめてしまったりと、よい結果にはならない。そうこうしているうちに、いつしか問題が大きくなり、手に負えなくなってしまう。そうなれば、もうお手上げだ。(高田貴久, 岩澤智之)
問題解決の手順とは、あなたが直面するあらゆる問題の解決策を考え、実行するための手順になります。問題に直面するすべての人、すなわち誰にとっても役立つものであり、これを身につけることでビジネスはもちろん、日常生活の問題についても解決策を導くことができます。
著者たちは、「問題解決」の手順を明快な7つのステップに分類します。この7つのステップに沿って考えることで、組織の重要な問題を炙り出し、それを解決できるようになります。
①問題解決の手順・・・問題に直面したとき、どう考えるべきか
②問題の特定・・・どこに問題があるのかを絞り込む方法
③原因の追究・・・なぜ問題が発生するのか、広く深く検討する方法
④課題の設定・・・高い問題意識をもって<あるべき姿>を構築する方法
⑤対策の立案・・・発生した問題、設定した課題について、対策の立て方
⑥対策の実行・・・着実に立案した対策を推進するうえでのポイント
⑦結果と定着化・・・対策実行後に結果を評価し定着させる方法
今日は①問題解決の手順、②問題の特定、③原因の追求について、紹介したいと思います。
問題解決の手順とは、以下の2W1Hで問題を精査することです。
(1)WHERE…問題がどこにあるのか 問題の特定 (どこどこ分析)
現在の問題を俯瞰的に見て、そのなかのどこが問題なのか、どこを最優先に取り組むべきなのかをしっかり考えたうえで、問題を絞り込みます。問題を確定したあとにはm必ず周りの人に「合意を取りつけておく」ことを忘れないようにします。
(2)WHY……その問題の原因は何か 原因の深掘り (なぜなぜ分析)
情報やデータに基づき、広くさまざまな可能性を検討しながら、「本当の原因はなぜなのか?」を究明します。
(3)HOW……ではどうすればよいか 打ち手の考察
原因に対する対策を複数考えたうえで、最も効果が高く、費用が安く、時間的にも速くできるもの、などを優先的に選んでいく必要があります。
原因が明確でないのにもかかわらず、HOW思考に陥ると暗闇で鉄砲を打つようなものでうまくいきません。まずは自分が「HOW思考の落とし穴」に落ちずに、「WHERE・WHY・HOW」のステップで解決策を見出すようにしましょう。同時に周囲の人にもしっかりと「WHERE・WHY・HOW」を伝えることで、周囲の人たちを「HOW思考」に引きずり込まないようにすべきです。
大切なことは、WHERE・WHY・HOWの3つのポイントをしっかりとつなげ、問題を検討していく姿勢です。問題についての情報収集、原因についての情報収集をロジカルに行い、真因を明らかにします。その後、対策につての情報集を行い、HOWの精度を高めることで、適切な対策を導けます。
問題を特定することの意義
問題の所在を明らかにしないと、無駄が多くなり、正しい解決策を導くのに時間や労力がかかります。問題を特定するためには、次の3つを明らかにすべきです。
①問題の全体を正しく捉える
全体を決めてから、もれなくだぶりをなくす(MECE)
②問題を適切に絞り込む
WHEREの視点で、同次元で問題を分解する。売上の場合には新規顧客やリピーター、エリアごと、年齢ごとなどの切り口を設けて、売上を分解します。
切り口を考える際には、以下の4Hで考えるようにするとヒントが見えてきます。
●WHEN ……いつ起きた問題か(季節や時間帯)
●WHERE……どこで起きた問題か (エリア)
●WHO………誰が起こした問題か (性別、年代別)
●WHAT ……何についての問題か(商品カテゴリー)
売上、コスト、技術・性能系、製造・品質、業務などに4Hに沿って、考えることで、問題の所在が徐々に明らかになっていきます。感度のよい切り口がいくつか見つかったら、それらを組み合わせて「正しく全体をとらえ、MECEなるように」問題を絞ります。その際、ロジックツリーや問題所在マトリックスを作成することで、問題を整理できます。
③論拠をつけて問題を特定する
論拠をつけて問題を特定することで、議論の後戻りを防げます。問題箇所を特定し、論拠付するためには
以下の4つを意識しましょう。
●増加または減少が多い
●改善の可能性が高い
●全体に占める割合が大きい
●波及効果が大きい
「本当にそこが問題なのか?」をしっかりと議論して全員で合意形成をおこなうには、「強い情報」をそろえて、間違いなくそこが問題であると主張し、確認しておくことが必要だ。
外部情報、第三者情報、定量情報などの強い情報を用いて、具体的な論拠付を行い、問題を特定します。
次に原因を追求しますが、ここでなぜなぜ分析が役に立ちます。「WHEREで特定した問題」をゴールに、そこから原因を掘り下げて「なぜ、なぜ」とつなげていきます。(因果の構造図を作成)WHYを5回繰り返して、それをストーリーにし、ぬけもれを防ぎます。原因から結果に矢印を書き、重要だと思われる原因を明らかにしていくのです。その際、事実と推測を明確に区別することが重要になります。
主たる原因が特定できたら、その原因にフォーカスし、問題の所在を明らかにし、手を打つ場所を決めます。
■〈深く〉掘り下げる
①WHEREで絞り込んだ問題から掘り下げる
②「なぜ」を繰り返す
③論理の飛躍に気をつける
④打ち止めになるまで掘り下げる
■〈広く〉掘り下げる
⑤もれなく幅広く可能性を考える
■〈正しく〉掘り下げる
⑥事実で確認をする
⑦正しい日本語で掘り下げる
⑧「自分を主語」として掘り下げる(他責をやめ、自責のスタンスで考える)
対策を打ち、問題を解決することを第一義に考えると、必ず「自分を主語」として、すなわち自責の視点で、自分がやれていなかったことは何かという観点で考えを深めていく必要があります。
成功している経営者やリーダーは、自責の意識が高い人ほど、自分の責任として深く原因を掘り下げ、真の原因にたどり着く努力を重ねています。彼らは真因を明らかにすることで、つねに効果の高い対策を考案でき、成果に結びつけているのです。
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