不安に克つ思考 賢人たちの処方箋の書評


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不安に克つ思考 賢人たちの処方箋
著者:バーツラル・シュミルほか
出版社:講談社

本書の要約

気候温暖化をこれ以上進めないためには、現代人の消費スタイルを変える必要があります。気候変動を本気で食い止めたいなら、生活スタイルを「レス・イズ・モア」に変え、自分たちの生活水準を意図的に落としていく必要があります。

人口の減少が消費の増加をもたらす?

長期的に見れば、すべてを決めるのは、人口の伸びです。一見、人口が増えないのはいいことに思えるかもしれません。ところが、人口が増えなければ資源への負荷が軽くなるわけではないのです。むしろ社会が豊かになると、一家の人数が減るのに、一家の消費量自体は増えるといったことが起きます。人数の「減少」が消費の「増加」をもたらすのです。(バーツラル・シュミル)

カナダのマニトバ大学環境学部のバーツラフ・シュミル名誉教授は、人口の伸びにフォーカスしています。先進国では人口が減少していますが、社会が豊かになることで、資源に負荷を与えます。小家族化や単身世帯が増えることで、消費量自体はむしろ増加しています。

今後、私たちは今後、人口だけでなく、「消費」を意識すべきです。地球の住民、全員が平均的なアメリカ人の水準で消費をすることになれば、地球の資源を短期間で食い尽くしてしまいます。

デジタル化が進んでも、資源の消費が止まるわけではありません。アメリカ人が乗る自動車の平均重量は約2トンで、2トン分の鉄とププラスチックとガラスが使われています。インパネはデジタル表示になり、運転体験は進化していますが、自動車に2トンの原材料が使われている事実は、いまも昔も変わりません。  

アメリカ人が好むフォードのFシリーズは、30年以上売れ続けていますが、この車は以前よりも重くなっており、販売台数も増えています。ピックアップトラックを作るのに必要な原材料は、むしろ増加の一途を辿っているのです。

デジタル化が進むことで、世界中で何十億人が携帯電話を使うようになり、携帯電話の製造に必要な原材料の総量も増える一方です。  

経済の一部では非物質化が起きていますが、経済の全体が非物質化しているわけではありません。そこのところを取り違える人が多いようです。重要なのは、エネルギー消費の総量と使用原材料の総量です。対処しなければならないのは気候変動問題だけではありません。それが環境問題に関する私の立場です。

気候変動ばかりに注目されていますが、資源の浪費にももっと目を向けるべきです。地球温暖化の視点だけでなく、資源という視点で課題を解決していくべきです。世界中の人が豊かになる中で、生活水準を高いままに維持することは、今後難しくなっていくはずです。

「レス・イズ・モア」を気候温暖化防止のスローガンに!

奇跡的なエネルギー技術の発明がないかぎり、気候変動を本気で食い止めたいなら、自分たちの生活水準を意図的に落としていかなければならないのです。地球上の全人類が、カリフォルニア州サンタクララの住民のような暮らしを送りながら、同時に環境を理想の状態で維持しようとするのが無理な話なのです。単純に不可能なのです。

「2050年カーボンニュートラル宣言」を日本政府もようやく決断しましたが、国民の意識はなかなか変わりません。先進国が温暖化にブレーキをかけようとしているにも関わらず、温暖化がもっと進むと多くの研究家が考えています。

気温上昇が2度を超える確率が高くなる中で、海面上昇、ゲリラ豪雨、山火事の頻発などの問題に対処する計画を練らなければなりません。

著者は、現代人がいかに多くのものを無駄にしているのかに気づくべきだと言います。「合理的管理」を取り入れることで、地球の劣化を防げます。

私たちは生産した食べ物の40%を捨てています。米国が排出する温室効果ガスの約10%を農業が占めています。食糧生産のために、それだけの温室効果ガスを生物圏に放出しておきながら、毎年、食糧の30~35%、場合によっては40%を捨てているのです。

資源の浪費や無駄を省くことは様々な分野で可能です。欧米の人は携帯電話を1~2年で買い替えていますが、これも資源の無駄遣いにつながります。銅、ガラス、銀、金、レアアースを使った、きわめてエネルギー集約的な携帯電話をほんの少し長く使うことが、貴重な資源を守るのです。

アメリカ人の平均的な住宅の大きさは、1950年は90平方メートルほどでしたが、いまは230平方メートルほどになっています。家族の人数自体はその間、減っているにも関わらず、使わない部屋の住宅ローンを払っているのです。大きな家の建設や空調をコントロールするために資源が無駄使いされているのです。

消費を大幅に削れば、無駄を大幅に削減できます。「レス・イズ・モア」という標語がありますが、あれが気候変動に対する適応策のスローガンになるべきです。

地球温暖化を棒啜るためには、一つの問題だけに取り組んでいても結果を変えられません。世の中のシステムは複雑で、小さな課題を同時にいくつも解決していかなければなりません。一つの対策に一点集中するのではなく、無数の対策を実施し、人々の意識と行動を変えるべきです。

今回のコロナ禍で、移動が減り、地球環境に改善が見られましたが、コロナ禍が終息すれば、また人々は消費を復活させます。生活スタイルを「レス・イズ・モア」に変え、消費のマインドセットを変えることが重要ですが、贅沢を覚えた人間の行動はなかなか変えられません。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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