【書評】その幸運は偶然ではないんです! J.D.クランボルツ

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その幸運は偶然ではないんです!
J.D.クランボルツ
A.S.レヴィン
ダイヤモンド社

30秒でわかる本書のポイント

結論: キャリアの8割は「偶然」で決まる。その偶然を意図的に引き寄せ、チャンスに変えるのが「計画的偶発性理論」である。
原因: 変化の激しい現代では、固定的なキャリアプランはすぐに陳腐化する。計画に固執しすぎると、目の前の新しいチャンスを見逃してしまう。
対策: 完璧な計画よりも「行動」を優先する。5つのスキル(好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心)を磨き、想定外の出来事を味方につける。

本書の3行要約

キャリアの成功を左右するのは緻密な計画ではなく、予期せぬ出来事を掴み取る力です。運を宿命として諦めるのではなく、自らの態度と行動で手繰り寄せる主体性を持つことで、変化の激しい時代でも新しい機会の扉を次々と開いていくことが可能になります。キャリアにおいては、失敗を恐れず、行動を続けることが重要なのです。

おすすめの人

・将来のキャリアプランが描けず、不安を感じている人
・「今の仕事は本当にやりたいことなのか?」と悩んでいる人
・真面目に計画を立てすぎて、身動きが取れなくなっている人
・予期せぬトラブルや変化を、チャンスに変えたいビジネスパーソン

読者が得られるメリット

・心理的解放: 「完璧な計画を持たなければならない」という重圧から自由になれる。
・行動力の向上: 小さな一歩(スモールステップ)が幸運を呼ぶメカニズムがわかり、動けるようになる。
・柔軟な思考: 失敗やアクシデントを「データ」や「強み」として再定義できる。

キャリアに大きな影響を及ぼす計画的偶発性理論とは?

想定外の出来事は常に起こります。その中のいくつかは、あなた自身の行動の結果として起きています。そしてその中のいくつかは、あなたのキャリアに大きな影響を与える可能性があるのです。(J.D.クランボルツ)

「イノベーション読書会」を毎月開催していますが、本日のテーマは「計画的偶発性理論」です。私の人生を変えてくれた一冊、その幸運は偶然ではないんです!を紹介します。

「キャリアプランをしっかり作りなさい」と言われがちな世の中で、ジョン・D・クランボルツマーク・レヴィンは、偶然を味方につけるための“別ルート”を示します。(クランボルツ博士の関連記事

結論から言えば、人生やキャリアを決めるのは、私たちの精密な計画よりも、予期せぬ出来事――つまり偶然――であることが多い、という主張です。

ただし、ここが本書の肝です。著者たちは「運」を神聖視しません。運は宿命ではなく、こちら側の働きかけで増やせるものだと説きます。そのための考え方が「計画された偶発性(Planned Happenstance)」です。

計画に頼るのではなく、偶然の力を活用するというのが著者のメッセージです。偶然が起きやすい環境を自分で用意し、起きた偶然をチャンスに変える。運を祈るのではなく、運用するという発想です。

成功している人の多くは、結果が確定していない段階でも、新しい機会に対してオープンで、まず試します。やってみて失敗を糧にします。

彼らは、そこで得たデータを使って、再び行動し、その過程で起きたアクシデントさえ「弱み」ではなく「強み」に変えていきます。

著者は、その共通点を“再現可能なスキル”として整理します。つまり、運の正体は才能ではなく、好奇心を持って、行動を続けることなのです。

この理論の説得力は、提唱者自身が「偶然の体現者」だった点にもあります。クランボルツは最初から心理学者を目指して一直線に走っていたわけではありません。

大学時代、テニスに打ち込んでいた彼に、コーチが何気なく言った「心理学でも専攻してみたらどうだ?」という一言があったとされています。もし彼が「自分はテニス一筋だから」とそのボールを見送っていたら、この理論は生まれていなかったかもしれません。彼は助言を拒まず、面白がり、すぐに一歩を踏み出しました。偶然を“運命”にせず、チャンスとして捉えたのです。

本書が挙げる「幸運」を生み出すための5つのスキルは、次の通りです。
・好奇心(Curiosity):新しい学びの機会を探し、覗きに行くこと。
・持続性(Persistence):失敗しても試行回数を減らさないこと。
・柔軟性(Flexibility):状況が変われば、自分の前提も変えること。
・楽観性(Optimism):機会を「自分にも取りにいけるもの」と捉えること。
・冒険心(Risk Taking):結果が不確実でも、小さく踏み出すこと。

自分の人生を振り返ると、プラン通りに進んだことのほうが少なかったと気づきます。体調が悪くなり、断酒を決意した44歳のとき、私は「ここから人生を変える」と腹を括り、出版を志しました。

文章を書く。SNSで発信する。著者や編集者に会いに行く。そんな小さなアクションを淡々と積み重ねていくうちに、気づけば道がつながっていて、やがて著者になれました。振り返れば、計画よりも「動いた結果として起きた偶然」に背中を押された局面のほうが多かったと思います。

その後、私はこの理論に出会いました。そして「偶然の力を、こちら側から活用しにいこう」と決めたのです。とはいえ運任せにしたわけではありません。

人生のビジョンをつくりながら行動量を増やす。偶然が起きたときに受け取れるよう準備しておく。さらに、他者のサポートを素直に借りる。計画と行動、偶然の力、そして周囲の支え。この4つを同時に回すことに集中しました。

その積み重ねの結果、社外取締役として上場を経験し、大学で教授として教壇に立つ機会にも恵まれました。どれも最初から一直線に狙っていた未来ではありません。でも、動き続けたからこそ偶然が起き、その偶然を受け取れる準備があったからこそ、人生が次の扉を開いてくれたのだと思います。

計画よりも、偶然の力が人生を決めることが多い!

高校を卒業したばかりのある賢い若者の言葉を借りると、将来の計画を立てるときには、〝鉛筆で書いて、消しゴムを手元に用意しておいたほうがいい〟ということです。

変化が激しくなる時代には、若い頃のビジョンを実現することも大切です。ただ同時に、新しいことへ挑戦することも、立派な選択肢になります。

著者は、計画を立てること自体に反対していません。反対しているのは、続けるほど「意にそわない」と明らかになっている計画に、意地でしがみつくことです。

想定外の出来事をキャリアに活かすとは、コントロールを手放すことではありません。むしろ逆で、役に立つ偶然が起きやすい環境をつくり、その偶然から生まれるチャンスを掴む技術を身につける、ということです。偶然性に頼ることを恥じる必要はありません。偶然は、ときに自分が思いもしなかった扉を開けてくれます。

そして正直に言えば、どの人のキャリアも、程度の差こそあれ偶然の影響を受けています。 一つの夢に一生懸命になるのは素晴らしいことです。ただ、夢に「一点集中」しすぎると、途中で現れる別のチャンスを無視したり、拒否したりしてしまうことがあります。

夢を追うことと、視野を閉じることは別物です。 だからこそ、計画を変更することは失敗ではありません。計画が変わるのは、むしろ自然なことです。学びを重ねるうちに、もともとの夢が自分に合わなくなっていくこともあります。それは失敗ではなく、自分をアップデートすることです。好奇心を持ち続けることで、次に挑戦すべきことが必ず見つかります。

本書のエッセンスをいくつか紹介します。
・夢が破れたら別の道へ進む。
・夢は一歩ずつ試す。
・悪い選択肢に固執しない。
・アドバイスには耳を傾けつつ、最後は自分で決める。
・状況が変わったら優先順位を見直す。
・行動を起こすことで情熱を生みだす。
・ライフプランと“結婚”しない。
・他の選択肢にもオープンでいる。

失敗を恐れず行動を続けるうちに、自分ひとりでは到達できない場所へ、他者が橋を架けてくれる瞬間が増えていきます。行動するから偶然が起きます。偶然が起きるから選択肢が増えます。

選択肢が増えるから次の行動が加速します。私はこの循環こそが、キャリアを前に進める現実的なエンジンだと思っています。 キャリアに行き詰まりを感じている人や、将来に不安を感じている人に、本書は強くおすすめできます。

幸運は、積極的に活動している人々に「起こる」という傾向があります。

キャリアに行き詰まりを感じている人や、将来に不安を感じている人に、本書は強くおすすめできます。「完璧な計画」を持たなければならないというプレッシャーから解放し、その代わりに、探求し、失敗し、思いがけない場所でチャンスを見つける自由を手渡してくれるからです。

次の一歩は完璧でなくてかまいません。小さくていいので、行動することが大事です。偶然は、動いている人にだけ、次の扉を開く力をもたらしてくれます。私はそのことを、本書とクランボルツ博士のさまざまな言葉から学びました。

結論として、人生を変えるのは「完璧な計画」ではありません。「動ける計画」と「動き続ける自分」です。想定外は避けるものではなく、拾いにいくものです。今日の小さな一歩が、数年後の大きな偶然につながっていくのです。

本書のまとめ

・キャリアに大きな影響を及ぼす「計画的偶発性理論」とは?
クランボルツ博士が提唱するこの理論の核心は、「運の正体は才能ではなく、行動の結果である」ということです。成功者の多くは、最初からゴールが見えていたわけではありません。

・幸運を引き寄せる「5つのスキル」
本書では、偶然をチャンスに変えるために必要なマインドセットを5つに整理しています。
好奇心(Curiosity): 新しい学びの機会を探し、覗きに行くこと。
持続性(Persistence): 失敗しても試行回数を減らさないこと。
柔軟性(Flexibility): 状況が変われば、自分の前提も変えること。
楽観性(Optimism): 機会を「自分にも取りにいけるもの」と捉えること。
冒険心(Risk Taking): 結果が不確実でも、小さく踏み出すこと。

「将来の計画は、鉛筆で書いて、消しゴムを手元に用意しておいたほうがいい」 この言葉通り、計画に自分を縛り付けるのではなく、状況に合わせてアップデートし続ける柔軟性こそが、現代のキャリア戦略における最強の武器となります。

・「動ける計画」が人生の次の扉を開く
著者は計画そのものを否定しているわけではありません。否定しているのは、「自分に合わないとわかっている計画に、意地でしがみつくこと」です。 夢に一点集中しすぎると、視野が狭まり、横から流れてきた素晴らしいチャンスを無視してしまいます。キャリアに行き詰まりを感じたときこそ、この「計画的偶発性」の出番です。

ライフプランと“結婚”しない 行動を起こすことで情熱を生みだす 悪い選択肢に固執せず、別の道へ進む これらのエッセンスを実践することで、自分一人では到達できなかった場所へと、他者や環境が橋を架けてくれるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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