天才には多様なパターンがある!「天才たちの日課」の書評

どんなものを食べているか教えてくれれば、あなたがどんな人かいいあてましょう。(ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン) 何時に食事をして、そのあと昼寝をするかどうか教えてくれれば、あなたがどんな人かいいあてましょう。(メイソン・カーリー)

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フランシス・ベーコンは、朝早く起きて絵を4、5時間描きましたが
その後の午後の時間からは、自堕落な生活を送ります。
昼食後から深夜までは、酒浸りの生活で仲間との時間をエンジョイします。
一日2、3時間の睡眠と6本以上のワインを飲んでいたのにも関わらず
素晴らしい作品を生み出し続けました。
彼は二日酔いの方が良い作品を生み出せると豪語していたほどです。
一方、「太陽がいっぱい」で有名なパトリシア・ハイスミスはベーコンとは間逆で
執筆前に大量のアルコールを飲んで躁状態で、作品を書くことを習慣化していました。
彼女は人付き合いが苦手で、猫と100匹のカタツムリが友人だったとのことです。

作家のトーマス・ウルフは、夜に働くのが好きで
深夜の12時から仕事をはじめ、大量のコーヒーと紅茶を飲み
タバコを吸ったり、部屋を歩き回りながら、夜明けまで
作品を書き続けたと伝記作家は、記しています。
そして、彼はなんと冷蔵庫を机代わりに、立ったまま執筆をしていたのです!
天才にはいろいろな習慣があり、彼らの生活をのぞくと
何が正しいのかがわからなくなります。
   

天才たちの日課 メイソン・カーリー著)には
バルザックやピカソなど161人の天才たちの習慣が記録されていますが
彼らの生活は、意外である場合もあれば、イメージ通りの天才もいました。
クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々という本書の副題が
たとえ、天才であっても、素晴らしい生活を送ってきたわけではないと
私たちに教えてくれるのです。

個人の毎日の習慣は、ひとつの選択、または一連の選択の結果でもある。うまくやれば、さまざまな限られた資源ーたとえば時間(なによりも限られた資源)、意志、自制心、前向きな姿勢などーを有効に利用するための巧妙な仕組みになる。ゆるぎない習慣は、精神力の涵養につながり、感情の波に流されるのを防ぐ。これはアメリカの心理学者ウィリアム・ジェイムズが好んで取り上げたテーマのひとつだ。ジェイムズによると、人は生活の一部を無意識に送れるようにしたほうがよいのだという。よい習慣が身につけば、「頭脳に余裕ができ、真に興味深い活動分野へ進むことができる」。皮肉なことに、ジェイムズ自身はやらねばならないことを先延ばしにする癖があり、スケジュールを守るということがまるでできなかった。(メイソン・カーリー)

天才ですら、自分の理想の自分を追い求めてもできないことがあったようです。
あのウィリアム・ジェイムズですら、先延ばし癖が治らなっかたようです。
天才モーツアルトはあまりに忙しく、作曲の時間が取れないことに悩みます。
極端な早起きもいれば、深夜に起き出すタイプの天才もいます。
コーヒー派もいれば、アルコール依存型もいるなど、天才にはパターンはありません。
ただ、散歩好きとメモ魔が多いように感じました。

また、多くの天才たちは自分の強みと弱みを理解していました。
アンソニー・トロロープは早朝の執筆のために
5時前に自分を起こしてくれる執事を雇っていたのです。
彼は早起きの力を知っていて、多くの書籍をこの時間帯に執筆しました。

また、フェデリコ・フェリーニは、自分の職業を変えてしまいます。
孤独が嫌いな彼は、新聞記者をやめて、映画監督になるのです。

作家はなにもかも一人でできるが、自己管理が必要だ。朝七時に起きて、白い紙を相手に一人で部屋にこもっていなくてはならない。僕はなまけ者なので、そういうことはできない。自分を表現するのに最高のメディアを選んだと思うよ。僕にとって、仕事しながら他者と生活するというのは非常に貴重な経験だ。映画製作がそれを提供してくれる。(フェデリコ・フェリーニ)

また、人の意見を聞ける天才もいます。
よい作品を書くために集中することが必要だと考えたモートン・フェルドマン
ジョン・ケージの手法を真似て、自分の作曲スタイルを変えてしまうのです。

(ジョン・ケージ)ケージは、少し書くたびに中断して、書いたものをもう一度書き写すといい、といったんだ。なぜかというと、書き写しているあいだはその曲のことを考えているから、また新しいアィデアが浮かんでくるんだよ、と。そこで僕もそのやり方でやるようになった。作曲することと書き写すこと。その関係はすばらしい、ほんとに驚いてしまう。(モートン・フェルドマン)

本書では、村上春樹も紹介されていますが
彼は作品に集中するために、人付き合いをやめてしまいます。

読者は僕がどんなライフスタイルを選ぼうが気にしない。撲の新しい作品が前の作品よりよくなっているかぎりは。だったらそれが、作家としての僕の義務であり、もっとも優先すべき課題だろう。(村上春樹)

天才たちは、作品のために時間をコントロールします。
自分が集中できる方法を見つけ出し、作品に人生をかけるのです。
そこには様々なスタイルがありますが、努力という共通点があるのです。

本書は書くモチベーションを私に与えてくれました。
天才たちの日課 メイソン・カーリー著)を読み返すたびに
行動と習慣化のヒントをもらえます。
オススメの一冊です。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。

   

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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