楠木健氏の戦略読書日記の書評

書物の新しいページを1ページ、1ページ読むごとに、私はより豊かに、より強く、より高くなっていく。(チェーホフ)

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photo credit: P. Marioné bouquiner une peinture via photopin (license)

読書をするときには姿勢が大切である。本をあまり目に近づけないように、といった物理的姿勢も大切だが、心の構えはもっと大切だ。著者や登場人物と対話するように読む。対話をすることによって自分との相対化が進む。本当は生身の優れた人間と直接対話できればいいのだが、そういう人は遠くにいたり、忙しかったり、死んでしまっているのでなかなかかなわない。そこに相手がいないときでも、いつでもどこでも誰とでも、時間と空間を飛び越えて対話ができる。ここに読書の絶対的な強みがある。

楠木健氏は戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉の中で
読書の醍醐味を上手に説明しています。
私たちは、読書によって、著者や登場人物との対話を手軽に楽しめます。
優秀な経営者や歴史上の人物に時間を割いてもらうことはできませんが
本を読むことで、柳井正氏やレイ・クロックと対話できるのです。
わずか1000円や2000円の投資で、その人の思考力や行動力、専門性を学べます。
多くの素晴らしい人生をわずか数時間で手に入れることができるのです。

特に、経営者の自伝を読むことで、経営者との対話を何度も重ねることができます。
この積み重ねによって、戦略や経営のセンスを学べます。
時間と空間を飛び越えて、優秀な経営者たちとの対話を楽しむことで
歴史と戦略を同時に学べるのです。
ノウハウ書を読んで、スキルを学ぶのではなく
経営者の自伝や著作を読むことで、私たちはセンスを鍛えられるのです。

戦略のセンスを磨くためのいくつかのアプローチのうちで、読書はもっとも 「早い・安い・美味い」方法だ。本格的なフランス料理のフルコース (=商売丸ごとを自ら経験して、試行錯誤を通じてセンスを磨く)には及ばないけれども、相対的に低コストで、時間をかけずに、いつでもどこでも日常のルーティンとして生活に取り込めるというのが読書の素晴らしいところ。

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読書は経営のセンスを磨き、戦略ストーリーを構想するための筋トレであり、走り込みである。即効性はない。しかし、じわじわ効いてくる。三年、五年とやり続ければ、火を見るより明らかな違いが出てくるはずだ。

読書は経営センスを磨き、戦略ストーリーを考えるための筋トレなのです。
本書に書かれている楠木氏の多くの書評から
私たちは戦略ストーリーの組み立て方やセンスの磨き方を学べます。
楠木氏の思考に大きな影響を与えた内田和成氏や吉原英樹氏などの幅広い書評を読むことで
スキルではなく、センスを鍛えることの重要性を学べます。

コンテキストのないネットの文章やノウハウ本をいくら読んでも
私たちは戦略思考やセンスは育めません。

理屈っぼくいえば、センスとは「文脈に埋め込まれた、その人に固有の因果論理の総体」を意味している。平たくいえば、「引き出しの多さ」。優れた経営者はあらゆる文脈に対応した因果のロジックの引き出しを持っている。しかもいつ、どの引き出しを開けて、どのロジックを使うかという判断が的確、これもまたセンスである。経験の量と質、幅と深さが「引き出し能力」を形成する。

骨太の良書を選び、著者や経営者との対話の繰り返すことで
私たちは、脳の引き出しを増やせるのです。
読書によって、私たちは経験の量と質、幅と深さを作り出せるのです。

そのためのセンスを養うための近道はありません。
引き出しのためには、幅広い読書、それも手強い良書の選択が欠かせないのです。

スキル系のものはとにかく歯切れがいい。ビジネス書でいえば、 「◯◯式思考」とか 「一分でわかる!」という類のものだ。しかし、センスはそうした 「クリスピーなワンフレーズ」では表現しきれない。

センスに溢れる優れた経営者には、ほかの経営者の自伝や評伝をじっくり読む人が多い」という
楠木氏の言葉を読んで、読書の幅をもっともっと広げたくなりました。
読書のカテゴリーが狭いとセンスを磨けないことを今回、本書を読むことで痛感しました。

本書で紹介されている柳井正氏の経営姿勢に刺激を受けたので、以下引用します。

戦略ストーリーを構築する経営者の能力は、どれだけ大きな幅で、どれだけ高頻度で、どれだけ速いスピードで具体と抽象を行き来できるかで決まる。具体的な問題や案件の表面を撫でているだけでは、優れた戦略ストーリーは生まれない。最終的な意思決定は常に具体的でなければならない。しかし、その一方で抽象度の高い原理原則がなければ、しかもそうした原理原則がきちんと言語化され、言葉で意識的に考え、伝えられるようになっていなければ、筋のよい戦略ストーリーはできない。

具体と抽象のレベルアップを図ることが私の今後の目標となりました。
そのために楠木氏が紹介している書籍を何冊もKindleで購入しましたが
自分を鍛えるために、早速、今日から熟読したいと思います。

私の好きな本や自分の著書をピックアップしています。
ぜひ、書籍の表紙をクリックしてご一読ください。

     

    

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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