スリニ・ピレイのハーバード×脳科学でわかった究極の思考法の書評

非集中と集中の両方を活かす方法を学べば、きっと今よりもすばやく効率的に考えたり、問題を解決したりできるだろう。集中と非集中のスイッチを意識的に切り替えるリズムを身につければ、きっとあなたの求める生産性、創造力、独創性、そして幸せが手に入る。面白いことに、非集中力を鍛えることで、いざというときに集中力を研ぎ澄ますことさえできるようになる。なぜなら、集中と非集中は表裏一体の関係にあるからだ。(スリニ・ピレイ)


photo credit: Dimitris Graffin Iera Odos st., Gazi – Ιερά Οδός, Γκάζι via photopin (license)

集中と非集中のバランスを取ろう!

ダイヤモンド社さんからスリニ・ピレイハーバード×脳科学でわかった究極の思考法を献本いただきました。早速、気になったポイントをまとめてみます。生産性を上げるためには集中力が必要だと私たちは考えがちですが、これだけでは結果が残せないことがわかってきました。あまりに集中しすぎると他の情報が見えなくなり、答えを発見できなくなります。過集中によって、脳が疲れ、硬直化させてしまうのです。ハーバード・メディカル・スクールの精神医学臨床准教授で脳科学の専門家の著者は、それを避けるために非集中によって、バランスをとるとよいと指摘します。では、非集中とはどういう状態なのでしょうか?

非集中とは、脳がいざというときにすぐさまフル回転し、創造力を発揮できるよう、脳をリラックスさせるプロセスです。

非集中の状態になると扁桃体の活性化が抑えられ、心がリラックスする。前頭極が活性化し、創造力が高まる。前島の活動が高まり、自己認識が強化される。「襖前部」と呼ばれる脳の部分の影響力を制限する。前頭前皮質の活動を取り戻し、思考をフル回転させ、疲労を抑制する。長期記憶を向上させ、重要な経験を引き出せるようにする。

非集中によって、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の活動が高まります。DMNとは安静時に活性化し、集中的なタスクに最り組んでいる最中に通常不活発になる脳の領域です。このDMNが集中するうえでもっとも重要なことがわかっています。集中的なタスクに取り組んでいるときに、DMNが不活発にならないと集中力が阻害されてしまうのです。非集中のスイッチを自分で意識的に入れられるようにすると私たちはクリエイティブな存在になれるのです。散歩やシャワー、編み物、ガーデニングなどあまり頭を使わない作業によって、脳は非集中モードになり、休息しながら、脳の中で過去の記憶をつなぎ合わせているのです。この非集中によって面白いアイデアが突然浮かんでくるのです。

以下の7つの習慣を取り入れると脳を非集中モードに切り替えられます。

・夢想・物思い・想像・空想・独り言・体を使う・瞑想

そして、その時間を確保するために「未定表」を作るとよいと著者は言います。集中と非集中のスイッチを切り替える決まりきったタイミングや回数はありませんが、集中したら非集中の時間を確保しましょう。45分間集中するたびに15分間の休憩を取るのがいちばん効果的だそうです。未定表に15分間の非集中タイムを書きこんだり、リマインダーをセットすると便利です。非集中タイムでは、音楽を聴く、クロスワード・パズルを解く、ゲームをするなど、きつくない作業をしましょう。スマホを持たずに近所や公園を一回りするなど、立ち上がって体を動かせばいっそう効果的です。そうすれば、机に戻るまでは、仕事ができないというメリットがあります。

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落書きが脳のストレスを緩和する!

多くの人々はマルチタスキングの”能力”を、仕事ができる証のようにとらえている。しかし、短期的には結果につながったとしても、その効果は怪しい。複数のタスクを実際に終えることができたとしても、マルチタスキングのせいで燃え尽き、クタクタになってしまうことも多い。

現代人はマルチタスクによって脳を疲弊させています。多くのタスクをこなすことで、
脳の懐中電灯は電池切れになり、目の前の道がぼやけてしまうのです。著者はこの状態を「脳ふらつき症候群」と呼んでいますが、この状態に陥るとDMNに悪影響を及ぼします。ケプ・キー・ローと認知神経科学者の金井良太は、メール、テレビ、インターネットなどと複数のメディアを同時に利用する人々を調査しました。その結果、マルチタスキングを行う人々は、いちどにひとつの端末しか利用しなかった人々と比べ、矛盾を検出する脳の領域である前帯状皮質の灰白質密度が低かったのです。さらに悪いことに、マルチタスキングをするほど、DMNと前帯状皮質の接続が悪くなり、混乱、不快感、忘れっぽさなどが生じ、集中しようとすればするほど集中できなくなってしまうのです。ストレスは一定限度を超えると、よいストレスも悪いストレスに変わってしまい、脳をカオス状態へと導きます。DMNの機能は阻害され、認知のリズムが失われてしまうのです。

この悪循環を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか?DMNにリズムを取り戻し、「ストレス」を解きほぐせばよいのです。医学生のふたつのグループの調査結果を見ると、DMNのリズムを取り戻すヒントが見つかります。一方は研修医プログラムに応募中で、医師のキャリアのなかでも格段に高いストレスを受けている人たち、そして、もう一方はまだ研修医になる段階までいっておらず、それほどストレスを感じていない人たちです。あまりストレスを感じていない医学生と比べ、研修医プログラムに応募中の学生のDMNは脳の残りの部分とあまり接続されておらず、脳のループから除外されていることがわかりました。さらに、脳の矛盾検出中枢が脳内のカオスを長期化させていたのです。常に神経を張り詰めて待ち、結果はどうだろうかと考えていると、脳にカオスと疲労が生じてしまうのです。

自分の脳を活性化したければ、生活の中にストレスを軽減する行動を取り入れればよいのです。脳を使いすぎるのをやめ、リッラクスする時間を確保するのです。特に、運動と瞑想は効果的で、どちらもDMNの機能を正常化させ、脳を本来の調子に戻す働きをしてくれます。また、独り言を用いて、あなたの置かれている状況を「もうすぐ過ぎ去る激動の時期」「スーパータスキングの練習を集中的に行う時期」と前向きにとらえ直すのもよいでしょう。こうすることで、扁桃体の活動が低下し、DMNがよみがえり、認知のリズムが正常に戻るのです。

医科大学院時代の私の場合、45分間連続で勉強したあと、ちょっとした遊び(屋外の散歩、友人とのおしゃべり)をするだけでストレスが和らいだ。集中力の限界は人それぞれだし、何をしているかによっても少し異なるが、ストレスを脱水症状と考えるとわかりやすい。1日じゅうこまめに水分補給をすれば喉が渇かなくてすむように、こまめに休憩補給をすればストレスに押しつぶされずにすむ。

集中した後は、遊び心のある楽しい作業を追加したほうが効果的です。その作業に没頭することで、脳は再び元気になってくれます。私も集中した後は、近所の神社に散歩に出かけたり、瞑想をするようにしています。気分転換のために一時間に1回手を洗うことも意識しています。

心理学者のロバート・バーンズは、落書きが心の内部の働きについて多くを語ると述べています。電極を通じて脳と接続された脳波図が針で脳の活動を記録するのと同じで、手を通じて脳と接続された落書きも脳の活動を明らかにするということです。2007年までの44人のアメリカ大統領のうち26人は、なんとみずからも認める落書き好きだったのです。もっとも忙しい大統領が落書きでリラックスをしていたのですから、効果を期待できそうです。私も落書きを日々の習慣に取り入れようと思いました。

まとめ

自分の脳を疲弊させないためには集中と非集中のバランスを取ることが重要です。難しい仕事の後には、15分程度のリラックスタイムをもうけましょう。運動、散歩、瞑想、落書きなど自分にフィットした方法を見つけ、それを習慣に取り入れることで脳が活性化します。

     

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。
■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。

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