親切によって感じることあたたかさ、高揚感、刺激、精神的なつながりは体に影響をもたらす。恥ずかしくなると顔が赤くなり、興奮すると心拍数が上がるように、親切によって心で感じることは、脳と体、とくに心臓に影響するのだ。(デイビッド・ハミルトン)
親切は脳と体、特に心臓に良い影響を与える!
デイビッド・ハミルトンの親切は脳に効くの書評ブログを続けます。親切を習慣化することで健康を維持できると著者デイビッド・ハミルトンは述べていますが、それにはオキシトシンとよばれるホルモンが関わっています。親切によって生み出されるオキシトシンが、心臓と動脈にさまざまなプラスの効果をもたらしているのです。
オキシトシンは母と子が絆を結ぶうえでも大きな役割を果たしている。そればかりか、父と子、兄弟や友人同士、大人同士、動物同士、人間と動物の絆も深める。そのため、オキシトシンは「絆のホルモン」ともよばれている。人や動物の関係、コミュニティを一つにする接着剤の役割を果たしている。
絆のホルモン・オキシトシンによって信頼関係も生まれます。オキシトシンが豊富に分泌されると、人への信頼感が増すことがわかっています。オキシトシンによって、恐れや不安を生む脳の扁桃体の活動を抑えることができます。社会不安障害がやわらぐことで、活発になれ、人との良好な関係を作れるようになるのです。
アメリカ、ペンシルバニア州のロゼトという町で、ほぼ50年にわたり住民に対する調査・研究が行われました。なんと1960年代の調査では、45歳未満で心臓病で死亡した住民が一人もいなかったのです。心臓病患者の割合が世界で一番高いアメリカで、ロゼトだけが心臓病に苦しんでいなかったのです。(ちなみに45歳未満の住民がはじめて心臓発作で死亡したのは、1971年のことでした。)
世界中の研究者がロゼトで水質検査や食事の調査、大気検査まで行いましたが、住民が心臓病で死亡しない理由を合理的に説明できずにいました。長期間の広範囲にわたる研究の結果、驚くべき理由が見つかりました。実は、心臓病を防いでいたのは住民同士を固く結ぶ絆だということがわかりました。
住民同士が親しいコミュニティには、助けあいという特徴がある。心理学では「向社会的行動」とよばれる、他人の利益のためにする行動だ。たとえば、分かちあうこと、協力すること、助けること、与えることつまりは親切のことだ。そういう状況では、当然オキシトシンがたっぷりと分泌される。
以前はオキシトシンは脳内で生成されてから、血流に分泌されると考えられてきました。最近の研究では、心臓でもオキシトシンが作られると考えられています。ロゼトの住民同士の強い絆によって、オキシトシンが生み出されることで、心臓病のリスクが低下していたのです。脳と心臓でオキシトシンがたくさん分泌することで、「心臓保護作用」が働き、ロゼトの住民を救っていたのです。
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絆のホルモン・オキシトシンの効果とは?
オキシトシンは、動脈の内壁にある細胞をやわらかくする。
すると血管は広がり、拡張する。これで次の三つのことが起きる。①動脈にもっと血液が流れるようになる。② 心臓をはじめとする臓器にもっと血液が届くようになる。③ 血圧が下がる。
オキシトシンによって、私たちの血圧が下がり、最終的には心臓発作を予防できるのです。
そして、オキシトシンは親切によって生み出されます。動脈の壁には、
親切がオキシトシンを生み、オキシトシンはNOとANPを生み、
NOとANPは動脈を拡張し、血圧を下げる。いわば、「 ドミノ効果」が体内で起きることになるのだ。親切以外でも、 あたたかい気持ちのやりとり、思いやり、愛、愛情、分かちあい、セックス、ハグ、人や動物との絆など、 オキシトシンを生む感情や行動なら、同じような効果を得られる。
親切によって生まれるNOは人体でもっとも重要な物質です。ノーベル生理学・医学賞を受賞したルイス・イグナロ博士は、NOを「奇跡の分子」と呼んでいます。 NOは心臓と血管の病気を予防し、病状を改善してくれます。
NOはいわゆる悪玉(LDL)コレステロール値を下げ、善玉(HDL)コレステロールと悪玉コレステロールとのバランスを保ってくれます。これで、心臓病や脳卒中につながる動脈内でのプラークの蓄積を防いでくれます。 反対にNOが減ってしまうと、動脈の老化が進み、筋肉や臓器、皮膚へ届く血流が減ってしまうのです。
つまりNOが減ると、体内で老化が早く進むのだ。 親切が動脈にとってのバイアグラだというのは、そういうわけだ。親切は動脈を元気にし、若く、健康に保ってくれる。
私はコレステロールが高いのですが、このNOの働きを読んで、利他的に生きることを決めました。小さな親切の積み重ねによって、多くの生活習慣病が防げるのです。親切な心をもち、お互いに励まし合うことでオキシトシンが作られます。親切な行為を考えたり、そういった体験を思い出してもよいと言います。人やペットに対して、優しい気持ちになることで、オキシトシンが分泌され、私たちは健康を維持できるのです。逆に、人に敵意を感じると心臓と結果に悪影響を及ぼしますから、自分の感情をしっかりとコントロールしましょう。
まとめ
親切は私たちの気分を高めてくれ、心臓によい影響を与えます。お互いに優しくしたり、親切なことを思い出すだけでも高揚感が生まれます。親切な行為によって、体内で絆ホルモンのオキシトシンが分泌されます。 オキシトシンが分泌されると、NOとANPが放出され、その結果、動脈が広がり、血圧が下がるのです。親切を習慣化して、生活習慣病になるリスクを減らしましょう!
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