親切が老化を防いでくれる?

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年齢には2種類あることを知っておこう。暦年齢と生物学的年齢だ。暦年齢は誕生の年から数えた実年齢で、誕生日に祝う年齢だ。生物学的年齢とは、体の見かけの年齢であり、食習慣や運動の習慣、ストレスレベル、生活態度、そして親切かどうかなどによって変わる。生物学的年齢は、実年齢とちがっていてもおかしくない。(デイビッド・ハミルトン)


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親切が寿命を左右する?

デイビッド・ハミルトンの親切は脳に効く書評ブログを続けます。多くの人が遺伝子によって寿命が左右されると考えていますが、実際にはそんなことはありません。遺伝が人の寿命を左右する割合はわずか2、3割でしかないことがわかっています。

では、なぜ一つの家系で同じような寿命の人が何人も出るのでしょうか?寿命が遺伝に影響しますが、両親から子供に伝わるのは遺伝子だけではありません。食習慣や活動のレベル、生活態度、心の持ちかた(日常的なストレス源にどう反応するか)、行動、人とのつながりかたなど、遺伝子以外の多くの情報が伝わるのです。こういった親から学んだ習慣を足し合わせると、遺伝子よりも健康へ与える影響が大きくなるのです。

私たちは両親や祖父母から多くのことを学ぶ。何を食べるかは、出される食事から学んでいく。健康な両親からは健康な子どもが育ち、健康な大人になる傾向がある。甘いものが大好きな人は、たいてい両親か、どちらかの親が甘いもの好きだ。運動をする親は、しない親よりも子どもに運動をすすめる傾向が強い。また、子どもは、主に育児を担当した親と同じような自尊心を持つようになっていく場合が多い。これは、心の持ちかたと他人とのかかわりかた、人間関係の作りかたにも影響する。

ライフスタイルや生活態度、そして人に対する関わり方も寿命にかなり影響します。人との関係をよくすることが寿命によい影響を与えることがわかっているのですから、意地悪をするのをやめて、親切をするように意識を変えましょう。

実際、親切によって、以下の7つの老化プロセスを抑えることができます。
■筋肉の衰え
■迷走神経の活動低下
■炎症
■酸化ストレス
■NOの減少
■テロメアの短縮
■免疫老化 

まず、筋肉の再生から見ていきましょう。カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、筋肉再生の研究中に重要な発見をしました。幹細胞は、幸せホルモンであるオキシトシンが十分に分泌されない筋細胞に分化しないことがわかりました。このオキシトシンが足りないと、筋肉は再生されず、弱体化し、老化が進んでしまうのです。このオキシトシンは人とのつながり、親切によって分泌が増えますから、日頃から人に優しくするようにしましょう。

迷走神経の活動低下も親切で防げます。カリフォルニア大学バークレー校のジェニー・ステラーの研究によると、ボランティアの参加者に、悲しいできごと(家族の死)について語る人を撮影したビデオか、苦しんでいる人々(飢えている子どもたち)の写真、またはガンの子どもたちのビデオを見せました。もう一方のグループにはあたりさわりのない内容のビデオを見せ、比較したのです。その結果、同情と思いやりの気持ちをもっとも感じたと報告した人たちが、迷走神経の活動度が一番高いことがわかりました。

また、ノース力ロライナ大学チャペルヒル校の心理学者、バーバラ・フレドリクソン教授のチームの研究結果からも親切の効果を見出せます。65人の男女に6週間にわたり毎週、慈悲の瞑想(他人を思いやる瞑想)を毎日実践してもらいました。瞑想をしないグループも作り、その効果を比較しました。6週間後、慈悲の瞑想をした人の迷走神経の活動性は大きく増えていたのです。思いやりと親切を習慣的に心がけることが、迷走神経の活動性を高め、老化を防いだのです。

不安やストレス、しつこい怒りは、フリーラジカルを生み、酸化ストレスの原因となるので、老化を早めます。親切はオキシトシンを分泌させ、そのオキシトシンが肌のフリーラジカルを除去してくれます。親切は肌の老化スピードを遅くし、見た目にも影響します。親切をしてオキシトシンを増産すれば、目に見える老化のサインであるシワができるスピードを遅らせることもできるのです。

 

「マザー・テレサ効果」を信じ、親切を実践しよう!

一酸化窒素(NO)が減少すると体内のシステムが維持されなくなります。NOは血液循環を健全に保ち、血液や栄養分を筋肉、皮膚、心臓、肺、脳に運んでくれます。NOは筋肉に酸素を供給し、エネルギーと耐久力を生んでくれるのです。代謝を健全にしたり、集中力や記憶力を高めることもわかっています。ルイス・イグナロ博士はこのNOを「奇跡の分子」と呼んでいます。

しかし、このNOは年齢とともに濃度が下がってしまいます。NOの不足が老化を引き起こす原因の一つになっているのです。

人のことを親切に考えるだけでいいのだ。人に笑顔を向けたり、人の話に耳を傾けたり、人の一番いい面を見て、欠点ばかり気にしないようにしたりするだけでいい。それで私たちのNO濃度は上がる。

NOも親切によって、増やすことが可能です。先ほどの慈悲の瞑想もNOによい影響を与えるので、瞑想を日常生活に取り入れましょう。

最近、話題のテロメアも老化に関係しています。テロメアははDNAの末端部分で、靴ひもの先端についているプラスチックの覆いのようなものです。この覆いがないとひもを穴に通せません。テロメアがすり切れると、DNAがほぐれ、細胞は死んでしまうのです。テロメアの長さは生物学的年齢を測るもっとも正確な指標になっています。テロメアの磨耗を防ぐことが、遺伝子レベルでの強力なアンチエイジングになるのです。このテロメアの摩耗も親切と思いやり、心理的サポートで防げることがわかっています。

最後の老化の原因の免疫老化は、加齢に伴い免疫系が徐々に衰えていくことを言います。親切や思いやりがこの免疫老化にもよい影響を及ぼすことがわかってきました。ハーバード大学で132人の学生たちに、マザー・テレサが親切をする50分間のビデオを見せたところ、内容に心を動かされた学生たちは気持ちを高揚させました。ビデオを上映する前後に、学生たちの唾液が採取され、免疫成分である分泌型免疫グロブリンA(s-lgA)の量をチェックしました。学生のs-lgAの量は、マザー・テレサのビデオを見ることで大幅に増えました。そればかりか、一時間後に測定したときもまだその量は多かったのです。映像のテーマである「愛の人間関係」について、学生たちが深く考えたことで、体内の免疫系も活性化されました。この研究結果は、親しみをこめて「マザー・テレサ効果」と呼ばれています。

ハートマス研究所で行われた実験では、参加者s- lgAのレベルを測定してから、5分間誰かを気づかい、思いやる気持ちを維持してもらいました。5分後、s- lgAの量をもう一度測定したところ、参加者のs- lgAの量は大幅に上昇しました。また、上昇した値が通常量にもどるまで、6時間もかかったのです。親切や気づかい、人とつながったと感じるときに、私たちの免疫系は活性化されるのです。

誰かから共感を示されたときにも免疫系が変化することがわかっています。例えば、医者から共感を示されると、私たちはリラックスできます。相手に話を聴いてもらっている、なぐさめられていると感じると、医者にかかるストレスが軽減できるのです。同時に免疫系の反応も変わり、病気からの回復速度も早まるのです。

人に親切な気持ちをもったり、共感し合うことで、私たちの体は反応します。マザーテレサ効果を信じて、日頃の自分の行動を見直し、仲間に対して優しい気持ちになりましょう。それを繰り返すことで、私たちは体と心を若返らせることができます。

まとめ

老化の原因である7つの要素(筋肉の衰え、迷走神経の活動低下、炎症、酸化ストレス
、NOの減少、テロメアの短縮、免疫老化)に、親切や思いやりの気持ちがよい影響を及ぼします。人に親切をしたり、つながりを強化することで、私たちは幸せになれるだけでなく、老化も防げるのです。

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