川上徹也氏の物を売るバカ2 感情を揺さぶる7つの売り方の書評

あなたが「モノ」を買ったり、店で飲食したりする時、大きく二つの消費スタイルがあるはずです。それが「勘定的な消費」と「感情的な消費」です。(川上徹也)


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「勘定的な消費」と「感情的な消費」

川上徹也氏はモノの消費スタイルには2種類あると物を売るバカ2 感情を揺さぶる7つの売り方の中で述べています。「勘定的な消費」とは、「理性」を重視した消費で、値段、実用性、利便性、知名度などを勘定して選ぶ買い方です。「価格」と「品質」のバランスを考え、合理的に行う消費活動です。普段の買い物や食事などで、人はコスパを重視し、値段や品質を確認します。

一方の「感情的な消費」が最近話題になっています。理性で考えると役立つものではないし、ちょっと値段は高いのですが、人は感情を揺さぶられることで、アクションを起こすことが多くなるのです。好きなミュージシャンのライブ後やスポーツチームの勝利後に私たちは気持ちが動き、ついついグッズを買ってしまいます。記念日などにはちょっと奮発して、おしゃれなレストランを選ばないと家族との関係が悪くなりす。家族や友人へのプレゼントを選ぶ時も、勘定よりも感情の方を優先する消費になりがちです。

本書には築地青木の「会議活性化弁当」の事例が紹介されています。このお弁当は一見するとただの幕の内弁当なのですが、よく見ると中にカードが入っています。そのカードには以下のメッセージが書かれています。

このお弁当は、脳を活性化させる成分や、精神的な疲れを取る成分が入っていると言われている原材料を主に使用しています。また揚げ物が入っていないので、胃もたれがしません。食後、血液が胃に集中するのを防ぎます。よく噛んでお召し上がり下さい。このよく噛むという行為は、脳の咀噛野の血流をふやし、脳を活性化させます。良く噛むと唾液も良く出ます。この唾液中のガスチンという蛋白質が味覚を敏感にさせ、食べ物の味をより楽しめるようになります。裏面もどうぞ↓

理性的に考えれば、お弁当一つの食材に含まれている成分だけで脳が活性化するわけがないことはわかります。しかし、このメッセージのおかげで人は勘違いします。もともと、「築地青木」の弁当は、昼休みを利用した会議、研修・セミナー中の昼食として利用されていました。お弁当を食べた後の会議では眠くなるのが当たり前なので、生産性が下がります。その状況を打破し、頭が冴える弁当を食べてもらうことで、顧客に貢献することにしたのです。

商品説明が書かれたカードの裏面には「言葉のデザート」という仕掛けが施され、日々顧客を喜こばせています。

自分がエンジョイ+会社もエンジョイ=みんなワッショイ!

この「言葉のデザート」はお弁当ごとに違い、40種類以上あり、さらにだめ押しで次のフレーズが社名とともに書かれています。

御社の会議が活性化され、アイデアが雪崩のように出ますように。

「会議活性化弁当」の値段は通常のお弁当よりも少し高いのですが、とても人気があるそうです。あのガイアの夜明けにも取り上げられるなどメディアでも話題になっています。お弁当は「食材」「味」「値段」などをウリにしますが、「会議が活性化する」というセールスポイントに感情が揺さぶられるので、少しぐらい高くても購入してしまうのです。「勘定」ではなく「おもしろそう」「ここにしかない」と「感情」が揺さぶられるからこそ、人は購入というアクションを起こすのです。

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ほめて顧客を感動させる!

人口減少、少子高齢化、車離れで自動車教習所のビジネスは年々厳しくなっています。そんな中、顧客を感動させ、成功している自動車教習所があります。三重県の南部自動車学校は「ほめちぎる教習所」として人気になっています。2代目の加藤光一氏は東京の自動車教習所で修行したのち、1993年に30歳で入社しました。

加藤氏は、まず理念づくりに取り組み、その後、1997年には入校から卒業まで1人の指導員が担当する「担任制度」を導入します。これを実施することで、教員の姿勢が大きく変わり、指導が熱心になったと言います。2004年には三重県下で普通車入校者数1位となり、2011年には三重県初の合宿免許を導入し、県外からも生徒が来るようになりました。今も三重県での入校者第1位の記録を続けています。

加藤氏は「ほめられると運動技能の習得が高まる」という新聞記事を目にし、ほめるを教習所に取り入れました。おこられた経験が少ない現代の若者には、おこるよりもほめる方が能力を引き出せると考え、教習所の運営方針を変えてしまったのです。

「怖いイメージがある自動車教習所の中で独自化できる」ということで「ほめる」を前面に押し出すことにすると他の教習所や指導員OBから、ネガティブな意見が相次ぎました。しかし、加藤氏は、そんな意見に負けずに2013年2月「ほめちぎる教習所」としてリニューアルオープンし、勝負をかけたのです。

生徒が、S字力ーブでクルマを脱輪させても、教官は叱るのではなく「よくすぐ止まれたね」と言っていいところを探します。他にも「前より速度がよくなっているよ」「ブレーキがうまいね」など、とにかくほめちぎって生徒のモチベーションを上げるのです。

ほめるを導入することで、生徒数が4年で30%近く大幅に増えました。ほめる指導によって、生徒が自信を持ち、免許の合格率も大きくアップしたのです。多くの卒業生から「ほめられるとやる気が上がる」「運転が楽しくなった」という声が届くようになり、教習所のファンが増加し、地域でのシェアも高まりました。

ほめちぎることで、教師と生徒が一緒になって免許取得を目指す「協創」関係も生まれました。生徒の教官に対する信頼感が深まるだけでなく、会社の雰囲気もよくなり、職員の離職率も下がりました。顧客をほめることでNPSがアップし、生徒数が増え、売り上げも上がったのです。顧客と教師に「協創」関係が生まれることで、eNPSもアップしたのです。このほめるプログラムはどんな職場でも使えると思います。ほめることがチームを強くし、顧客に貢献できるようになるのです。

南部自動車学校には「親感謝プログラム」というもう一つのウリがあります。生徒が子供の親への感謝の気持ちを表すことで、交通事故を削減しようという試みです。入学から教習までの間、担当指導教官からおりにふれ、親に感謝する気持ちを呼び起こす働きかけをします。クライマックスとなる卒業式では、親に対する感謝が沸き上がってくるようなビデオを流します。親からあらかじめ預かっておいた手紙を渡し、生徒には親に対する手紙を書かせます。さらに最後には、教官たちが総出で拍手で送り出します。

ビデオ、手紙、教官たちの姿によって、卒業式が感動的な体験になります。中学や高校の卒業式以上のプログラムによって、事故を起こさないという気持ちが芽生えます。親への感謝の気持ちが、生徒に安全運転をさせ、その結果、実際に卒業生の事故率が4年で半減したそうです。顧客の感動体験をタッチポイントごとににつくりだすことで、南部自動車学校は生徒を増やし、事故率まで下げてしまったのです。

アメリカには感動を増やすアプローチをすることで売り上げが9倍になったという事例もあるそうです。顧客体験(CX)をよくし、感情を揺さぶることで消費活動は活発になるのですから、顧客との関係の中で感情を揺さぶる仕掛けを考えましょう。
本書には7つの感情を揺さぶる売り方が紹介されています。
1、体験(Experience)
2、心動く(Moved)
3、世界観(Outlook on the world)
4、共創・協創(Together)
5、インスタ映え(Instagenic)
6、ここにしかない
7、懐かしい(Nostalgia)
顧客を感動させる仕掛けを7つの方法から考え、勘定ではなく、感情で行動させるストーリーを作りましょう。

まとめ

「勘定」ではなく「おもしろそう」「ここにしかない」と「感情」が揺さぶられるからこそ、人は行動を起こすのです。顧客とのタッチポイントごとに感情を揺さぶる仕掛けを用意することで、人は感情で消費するようになります。本書の7つのメソッドを活用し、顧客に感動を与え、自社のファンを増やしましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。
■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。

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