生産性を高めるための「進捗の法則」とは何か?

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企業内での創造的な仕事に関する最近の研究で、私たちはこれとそっくりな現象を発見した。知識労働者たちがつけた日誌を詳しく分析することで明らかになったのが、「進捗の法則」である。すなわち、仕事中に「感情」「モチベーション」「認識」を高める可能性があるすべての要素のうち、最も重要なのは「有意義な仕事の進捗を図る」ことである。そして人々は、そのような進捗を感じる頻度が増えれば増えるほど、創造的な仕事の生産性を長期的に高めやすくなる。(テレサ・アマビール&スティーブン・クレイマー)


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生産性を高めるための「進捗の法則」とは何か?

日々の進捗(小さな成功でもかまわない)は人々の感じ方や行動を大きく変えることができる。進捗の力は人間の本質に欠かせないものだが、ほとんどのマネジャーはそれを理解しておらず、進捗をテコにしてやる気を高める方法も知らない。

日々の進捗が生産性を高めることがわかっていますが、多くのリーダーはその重要性に気づいていません。テレサ・アマビールスティーブン・クレイマーとその調査チームは、参加したプロジェクトチームのメンバーに、平均4カ月の期間中、毎日eメールを送り、調査を行いました。調査対象となったプロジェクトはいずれも創造性を必要とするもので、たとえば台所用品の開発、掃除用具の製品ライン管理、ホテルグループの複雑なlT問題の解決などでした。

毎日のeメール調査では、 参加者の感情や気分、モチベーションのレベル、その日の職場環境に関する認識のほか、どのような仕事をしたか、どのような出来事が心に残ったかを尋ねました。7社の26のチームから計238人が参加し、書かれた日誌の数は全部で1万2000近くに上りました。その結果、インナーワークライフ(認識と感情とモチベーションの相互作用)が、プラスの時に生産性が高まることがわかったのです。

知識労働の分野では、インナーワークライフがプラス方向の時、つまり満足を覚え、仕事そのものに意欲を持ち、所属する組織や同僚のことを前向きにとらえている時に、創造性と生産性が高まることがわかった。また、そのようなプラスの状態では、人は仕事への責任感が高まり、周囲の人にもっと平等に接するようになる。インナーワークライフは日々変化するし、時に激変する。そしてパフォーマンスもそれとともに変動する。ある日のインナーワークライフがその日のパフォーマンスを左右し、場合によっては翌日のパフォーマンスにも影響する。

では、どのような出来事がプラスまたはマイナスの感情、モチベーション、認識を生じさせるでしょうか?インナーワークライフの誘因を探ることで、 調査チームは「進捗の法則(Progress Principle)」を見つけました。参加者の全体的な気分、具体的な感情、モチベーションのレベルをもとに、彼らにとって最良の日と最悪の日を比べたところ、「最良の日」をもたらす一番の出来事は、個人やチームの仕事の進捗であることがわかったのです。逆に、「最悪の日」をもたらす一番の出来事は、仕事の挫折や後退でした。

進捗の法則をわかりやすく表現すると、次のようになる。ある人が一日の終わりにやる気と満足を感じていたら、きっとその人には何か進捗があったのだ。ぼんやりとつまらなそうに重い足取りで職場から出てきたら、仕事がはかどらなかった可能性が最も高い。

参加者が書いた1万2000の日誌をすべて分析したところ、進捗と挫折はインナーワークライフの3つの側面(感情、モチベーション、認識)すべてに影響することがわかりました。進捗があった日は、参加者はプラスの「感情」を報告しました。一般的に気持ちが明るくなるだけでなく、喜びや思いやり、誇りも増していたのです。一方挫折があった日は、欲求不満が高まり、不安や悲しみが増えたのです。

進捗は「モチベーション」にも影響を与えていました。進捗があった日は、人々は仕事そのものへの関心や喜びを通じて内発的動機(好奇心や関心など、その個人の欲求によって生じる動機)を得ていたのです。挫折があった日は、内発的動機が弱いだけでなく、他人から認めてもらうという外発的動機(規則、金銭的インセンティブ、指示や命令によって生じる動機)も弱くなっていたのです。仕事上での挫折によって、人は無力感を覚え、仕事をする気が失くしていました。

進捗があった日には、人々は仕事に前向きなやりがいを感じていました。進捗があった場合、自分たちのチームは協力的であると考え、チームと上司の関係も良好であると答えたのです。チームの挫折があった日は、チームも上司もあまり協力的ではないと感じました。進捗によって「認識」も左右されてしまったのです。

 

リーダーは進捗のループを育もう!

進捗の法則が働くためには、仕事がそれをする人にとって有意義なものでなければなりません。人間には有意義な仕事をしたいという根深い欲求があります。働き手にとって重要な何か、もしくは誰かに価値を提供することができれば、十分意義があるのです。

目標が高かろうが控えめであろうが、それが仕事をする人にとって有意義である限り、またその人の努力がそれにどう貢献するかがはっきりしている限り、目標へ向けての進捗は、インナーワークライフを活性化できる。

優れたリーダーは進捗を社員に伝えるようにすべきです。また、同時に仕事の価値を否定するような行動を避けなければなりません。

調査結果によると、リーダーの振る舞いによって、人が意欲を失っていた事例が見つかりました。 社員がやる気と責任感を持ち、満足するために、マネジャーは何をすればよいのでしょうか。「進捗への支援」以外に、「最良の日」によく見られる誘因である「触媒」と「栄養分」を提供すればよいのです。
「触媒」は、仕事を後押しする行動です。
■自主性を認める
■十分な資源や時間を提供する
■仕事を手伝う
■問題や成功から率直に学ぶ
■アイデアの自由な交換を認める
「栄養分」は、対人的な支援行為です。
■敬意と評価
■激励
■快適感
■協力の機会

触媒と栄養分は、人々の仕事に対する認識、さらには自分自身に対する認識をポジティブにします。リーダーが仕事の意義深さを伝えることで、部下は自分の携わった仕事が重要で価値があるものだと捉え、よりアクティブになれます。

インナーワークライフはパフォーマンスの原動力である。絶えざる進捗があってこそ、優れたパフォーマンスを実現できる。そして、その進捗はインナーワークライフを強化する。「進捗のループ」と呼ぶ、自己増強的な利点の好循環が可能となる。

リーダーは1日1日の意義ある進捗を促す 「進捗のループ」を育む ようにすべきです。この進捗のループによって、組織が強くなり、好循環が生まれるようになるのです。

リーダーは、人々の有意義な仕事の進捗を支援することにより、インナーワークライフだけでなく組織の長期的パフォーマンスを改善することができます。組織が強くなることで、それがインナーワークライフをさらに強化してくれます。

進捗の法則が意味する第2のポイントは、マネジャーは部下のモチベーションや満足感を保つために、彼らの心理を読もうとあせる必要はないし、複雑なインセンティブに頼る必要もないということである。基本的な敬意や配慮を怠らない限りは、仕事そのものの支援に集中すればよい。

有能なマネジャーになるためには、マイナスのフィードバックをやめ、プラスのフィードバックループを働かせればよいのです。このようにリーダーが進捗のマネジメントを重視すれば、人材のマネジメントだけでなく、組織全体のマネジメントがうまくいくようになるのです。

有意義な仕事における部下たちの着実な進捗を促し、その進捗を可視化し、部下たちに上手に接すれば、彼らは優れたパフォーマンスに必要な感情、モチベーション、認識を経験しまあす。その優れた仕事の積み重ねが、組織を強くし、目標達成の原動力になるのです。

まとめ

26チーム、238人に数か間リアルタイムの日誌調査を行った結果、やりがいのある仕事が進捗するようマネジャーが支援すると、メンバーの創造性や生産性、モチベーションや同僚性が最も高まることがわかりました。
リーダーがこの「進捗の法則」を理解し、部下に正しいフィードバックを行うだけで、組織が強くすることがわかっています。

参考図書 マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力 ハーバード・ビジネス・レビュー 幸福学

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